『陸沈』は齋藤愼爾(1939 - )の第6句集(『齋藤愼爾全句集』と『齋藤愼爾句集』を除いた勘定)。
末黒野(すぐろの)に天降(あも)りし瓦礫涅槃像
生絹着て母縒りあはす縊り縄
斧始めどの人柱から始めよう
萍の生えそめ魔界入り難し
身に入みて塔婆と原子炉指呼の間
霞むにはなぜか魂が暗すぎる
枯山から葬の手順を指図せり
蝉の穴千年ののち墓一基
寒木を攀(よ)づるや茸になりきつて
海の底ひ雛壇傾ぐ紅く青く
混沌の滴りとして身の幽か
化野に箒木剪らむと身を入るる
汝と我非在となりて雲に鳥
枯蔓の肋ごときをたぐり寄す
血漿の椿と戯れ座敷わらし
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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