ぼーっとしている間にすぐひと月経ってしまって、また書影コーナー。
磯崎新/聞き手 横手義洋『日本建築思想史』太田出版・2015年
《巨匠・磯崎新による初の歴史書。
「堀口捨己―丹下健三―磯崎新―妹島和世」という4人の建築家を軸に、1920年から2020年までの日本建築思想を語り尽くす。》
原田多加司『屋根の日本史―職人が案内する古建築の魅力』中公新書・2004年
《城郭や寺社を訪れるとき、まず目に入るのは屋根である。遠くからでもキラキラと光って目立つ屋根は、権威や崇高ささえ感じさせる。このような日本の屋根は、どのようにして発達してきたのだろうか。葺材の重さに耐え、雨漏りと戦いながら、職人たちの創意と工夫によって素材や構造を進化させ、独自の美を生みだしてきた。国宝等の修復を数多く手がけてきた檜皮葺職人が、自らの経験をふまえて語る屋根の通史。》(「BOOK」データベースより)
佐高信・早野透『丸山眞男と田中角栄―「戦後民主主義」の逆襲』集英社新書・2015年
《軍国ファシズムを告発した戦後民主主義の思想的支柱・丸山眞男と、憲法改正には目もくれず民衆の生活向上に邁進した“コンピューター付きブルドーザー”田中角栄。辺境の少数者や、共同体のはぐれ者まで含めた、庶民が担うデモクラシーこそ政治の根幹であるとし、戦争体験とその悔恨を原点に、戦後日本を実践・体現した二人の足跡を振り返る。右傾化への道を暴走する安倍政権が「戦後レジームからの脱却」を唱える今こそ、国家による思惟の独占を阻み、闘い続けるための可能性を問う、闘争の書。 》(「BOOK」データベースより)
仲正昌樹『精神論ぬきの保守主義』新潮選書・2014年
《保守は何を守るのか? “真正保守”とは一線を画す入門書。
日本の“真正保守”は、なぜやたらと社会を“革新”したがるのか? 保守とネット右翼・愛国主義はどこが違うのか? ヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエク……西欧の保守思想の源流から、本来の保守が持つ制度的エッセンスを取り出し、民主主義の暴走から社会を守るための仕組みを洞察する。》
小松左京『氷の下の暗い顔』角川書店・1980年
《氷結した暗い湖面の底に沈んでいる青みがかった灰白色の巨大な「顔」。長さ十数キロ、幅7~8キロもある途方もない大きな「顔」だ。どう見ても、人間の――地球人の痩せた男の顔だった。今にも死にそうな重病人の、苦痛にみちた表情をしている。
なぜ、そんな巨大な「顔」が、それも銀河系をはるか2百万光年も離れているNGC224(アンドロメダ星雲)の中の小恒星のわびしい惑星上にあるのか。また、これほどスケールの大きい彫刻を、誰がどんな技術を駆使して作ったのだろうか。地球上の海狸に似たこの星の原住民たちも、その成因をまったく知らないという。
一惑星上にあらわれた巨大な「顔」の謎、“心を感ずる木”が解き明かす秘密。本格SFの最高傑作!》
収録作品=歩み去る/劇場/雨と、風と、夕映えの彼方へ/氷の下の暗い顔
小松左京『時也空地球道行』読売新聞社・1988年
《江戸時代の大べらぼう牙次、与太、3世紀邪馬台国のタヅメ、未来人サンザらが著者、カメラマンを巻きぞえにし、時空迷路を通って放浪の旅に出発した。中国南宋末期の成都、杭州から13世紀後半のキプチャク汗国へ迷い、16世紀初めから20世紀のボルゴグラードへ、そして紀元前6世紀のミシシッピの古代ケルト人に会う。時間、空間を越えて飛翔し、繰りひろげるSF超大喜劇。》(「BOOK」データベースより)
高馬三良訳『山海経―中国古代の神話世界』平凡社ライブラリー・1994年
《想像上の世界を縦横に走る山脈とそこに息づく草木・鳥獣・虫魚、鬼神・怪物。無名の人々によって語り継がれてきた、中国古代人の壮大な世界。解説=水木しげる》
ヘミングウェイ『危険な夏』角川文庫・1971年
《一九五九年の夏、
ヘミングウェイはスペインに渡った。
真夏の午後、
強烈な陽ざしのもとでくりひろげられる、
闘牛。
悪魔的な誇りに駆られて
危険な業を競い合うふたりの闘牛士を描き
「生のさなかの死」を浮彫りにしたルポルタージュ。》
収録作品=危険な夏/密告/蝶々と戦車/戦いの前夜/屋根の下で
高将にぐん『マジカル少女系男子』プリズム文庫・2012年
《一見、どこにでもいる普通の高校生の悠馬のバイトは、ちっとも普通ではない。なんと、魔法少女「メリー・メアリー」に変身して、街の平和を守るのが仕事なのだ。高校に通いながら自称・悪の帝王「ツリー・ベル」と戦う悠馬は、昼ご飯を食べるために入った中華料理店でサラリーマンと相席になった。そのサラリーマンは、瞳も髪の色も違うけれど、ツリー・ベルにそっくりで──!?》
杉原賢彦・前島秀国・暮沢剛巳編『アートを書く! クリティカル文章術』フィルムアート社・2006年
《美術、音楽、映画......言葉にできない感動をどう言葉にするか。マニュアルには載っていない、プロの文章を目指す書き方講座。ダ・ヴィンチからヒッチコックまで、書き方の核心に大胆に迫る!》
草上仁『ラッキー・カード』ハヤカワ文庫・1990年
《幸運勘定管理コンピュータによる幸運再分配システムが人々の幸運を支配している社会。すべての人々のラッキー・カウントは、それぞれのラッキー・カードに表示されている。――先週まで、おれの幸運勘定は人並みだった。だが、思わぬ会社の倒産、そして、恋人との別離、新しい恋人とのカジノでのギャンブルと運命は急転回し、ラッキー・カードはまさしく運命を支配するカードとなった……ラッキー・カードに運命を翻弄される男の悲劇を描く表題作ほか、甲冑を身にまとった異星種族の定めを描くデビュー作「割れた甲胃」等、多彩な短篇を収録。》
収録作品=夜を明るく/セルメック/割れた甲冑/牛乳屋/ラッキー・カード/ウォーターレース/可哀相な王女の話
菅野完『日本会議の研究』扶桑社新書・2016年
《安倍政権の背後にいるとされる保守系団体、「日本会議」の真実
安倍政権における閣僚のほとんどが所属している「日本会議」。「日本会議」は誰のために何をなそうとしているのか? 日本改憲勢力の真実の姿とは?》
池澤夏樹『パレオマニア―大英博物館からの13の旅』集英社文庫・2008年(桑原武夫学芸賞)
《大事なのはいいものが残ること。作者の名がなくてもそれ白身の力で生き残るようなものを作ること。だからそれを作った人間は美しいものを作っただけで幸福。五千年前のメソポタミア、二百五十世代重ねた昔の人と、人の精神の基本形は変っていない。古代妄想狂を自称する男が大英博物館で気に入った収蔵品を選び、それが作られた土地を訪ねる、知的興奮に満ちた旅。第8回桑原武夫学芸賞受賞。》
三浦雅士編『ポストモダンを超えて―21世紀の芸術と社会を考える』平凡社・2016年
《現代日本の叡智とさまざまな分野にわたる気鋭の研究者がリレー形式で議論を闘わせた連続シンポジウム。混沌とした芸術の現状と未来を見据え、噴出する問題提起、知的格闘の記録。》(「BOOK」データベースより)
蓮田善明/伊東静雄『蓮田善明/伊東静雄』近代浪漫派文庫・2005年
収録作品=有心(今ものがたり)/森鴎外/養生の文学/雲の意匠(蓮田善明)/伊東静雄詩集/戦後の日記ヨリ(伊東静雄)
北杜夫『怪盗ジバコ』新潮文庫・1987年
《史上最強の怪盗が現れた! 全世界を股にかけ、これまでに盗んだ額は一国の国家予算をはるかに超える。南海の孤島のヤシの実から共産圏の金の延棒まで、盗めるものは何でも盗む。48を越える国語を自由にあやつり、老若男女どんな人間にも姿を変え、その正体は誰も知らない――
ジェームズ・ボンドや明智小五郎もお手上げの、「怪盗ジバコ」のユーモアあふれる活躍を描く連作8編。》
梶山季之『せどり男爵数奇譚』河出文庫・1983年
《紳士は「セドリー・オン・ザ・ロックス」と飲み物を注文した。私は、そのオーダーを訊いて、〈あッ! あの人だ!〉と思い当ったのである――「紳士」との偶然の再会をきっかけに「私」が引込まれる人生の裏街道。“せどり男爵”とは、そも何者か? “セドリー・カクテル”とは? 古書界を舞台に、次々と繰り広げられる謎とサスペンスにみちた奇譚の数々……梶山文学の超異色作、初めての文庫化!》
収録作品=第一話 色模様一気通貫/第二話 半狂乱三色同順/第三話 春朧夜嶺上開花/第四話 桜満開十三不塔/第五話 五月晴九連宝燈/第六話 水無月十三么九
立松和平『遠雷』河出文庫・1983年(野間文芸新人賞)
《押し寄せる都市化の波に土地を手離し、生活の根を洗い流されて崩壊する農村。土着の人々と新設団地の軽やかな女たちが入り混じる過去と現在の狭間。残された農地を武器に、土着の闇と現代の空白に突き立てる青年の奔放な生命のはとばしり。――時代の情況を骨太い構想のなかに搦めとり、立松文学の代表作とされる野間文芸新人賞受賞のロングセラー。》
高橋たか子『空の果てまで』新潮文庫・1983年
《「私のすぐそばに存在する者は、私は絶対に許せない」――肌を寄せあって安心するような生き方に対して敵意を抱く久緒は、自分に親しく接する者はどんな人でも我慢ができない。彼女は熱い情念を秘めて友を憎み、夫の愛を拒否し、子供への思いを断ち切り、自我の孤独地獄をさすらう。“悪”に賭けたひとりの女の悲惨と栄光の中に、魂の劇を熾烈に捉え、女の恐るべき心の暗部を描く長編。》
小林久三『二人の聖徳太子』カッパ・ノベルス・1990年
《結婚式の十日前、池沢玲子の婚約者・水谷冬樹が突然失踪! 水谷は、古代史研究サークル「斑鳩の会」で、聖徳太子に秘められた謎を井波さわえと追っていた。さらに、鳥取県・白兎海岸で、水谷らしき死体が発見された直後、玲子のもとに水谷から評び出しの手紙が舞い込む! はたして水谷の生死は!? そして事件に潜む聖徳大子の謎とは? 時間を越えた疑惑の答えを求め、玲子は、父・恭一とともに鳥取、岡山へとぶ!
古代史の巨星・聖徳太子に隠された驚愕の真相! 斬新な発想で、古代と現代を見事に融合させた著者会心の書下ろし歴史ミステリー秀作!》
《聖徳太子は、古代史の最大のスターである。古代史ばかりでなく、日本歴史の最大のスターだともいえるだろう。だが、その実体はとなると、謎のヴェールにつつまれている。法隆寺の謎ともからんで、聖徳太子の存在すら疑う歴史の研究家もいる。聖徳太子は、一体、いかなる人物だったのか。法隆寺は、どんな性格の寺だったのか……。
推理作家の立場から、私は聖徳太子の謎に挑戦してみた。その結果、意外な結諭にたどりついたが、私は、この結論に自信をもっている。
聖徳太子の実像は? 反論を期待している。
「著者のことば」》
《ロス疑惑、グリコ・森永事件などの実際に起こった未解決事件に名推理を展開した小林久三は、この作品で歴史推理に挑戦する。謎多き英雄、“聖徳太子”にスポットをあて、彼の真の姿に追っている。古代史の謎に、大胆なメスを入れた新説にご注目ください。》
小林久三『灼熱の遮断線』角川文庫・1977年
《一週間前から妙な電話が続いた。その男は、一方的にしやべり電話を切った。しかも、このところ毎日、おれは誰かに尾けられている!
江島悟郎は、伝染病の“国内侵入”を未然に防ぐ平凡な検疫事務官にすぎない。情夫をつくって家出した妻、心臓病の5歳の男の子は保育所に預けられ、母のいないわびしさにじっと耐えている。そのおれに何故、尾行者が……。
ベトナム戦争で非人間的な細菌戦を遂行した情報組織の存在と密入国幇助を強制され、国際事件に巻きこまれた検疫官の戦慄! 著者最高の長編サスペンス・ミステリー。》
高橋たか子『誘惑者』講談社文庫・1983年(泉鏡花文学賞)
《噴煙をあげる大島三原山に登った女子大生二人。だが暗闇を懐中電灯を頼りに下山したのは一人だった。しかも一月前にもまったく同じ事があった! 死にゆく友人二人に同行し火口に佇たせる自殺幇助者の行為の謎を執拗に追い、豊饒な物語世界に、凄絶な魂のドラマを構築した長編野心作。泉鏡花文字賞受賞。》
眉村卓『短話ガチャンポン』双葉文庫・2015年
《五二歳の杉田は、意識だけが中学時代に戻るという体験を繰り返すようになった。その真相とは?(「杉田圭一」)一九歳の坂本明の前に現れた、奇妙な顔。代償を払えば死ぬときの状況を選ぶ権利を与えてくれるというのだが(「臨終の状況」)。アルファベットのAからはじまりZまで、思いつくままに綴られた26編の全編書き下ろしショートショート。現実と仮想を仕切る回転ドアを行き来してみませんか?》
田村和紀夫『交響曲入門』講談社選書メチエ・2011年
《交響曲には「構造」と「論理」がある。「交響曲の父」ハイドンからモーツァルト、ベートーヴェンをへてブラームス、ブルックナー、マーラーへ。前代の課題を引きつぎつつ交響曲というジャンルに自らの個性を加えてゆく各作曲家の創意と工夫の跡を丹念にたどりながら名曲の高峰を経巡る、もう一歩深い鑑賞への誘い。》(「BOOK」データベースより)
山下裕二・橋本麻里『驚くべき日本美術』集英社インターナショナル・2015年
《「君たちは日本美術について何も知らない――
どれだけ鋭く見るか!」(山下裕二)
敷居が高い、難しいと思われている日本美術。
だが少年マガジンの表紙で"美術"と出会い、つげ義春のマンガに衝撃を受けて美術史家になった著者・山下裕二流の日本美術の見方・楽しみ方を知れば日本美術はもう怖くない!
縄文土器から現代アートまで《日本美術を知識にとらわれず「いまここにあるもの」として鋭く見る方法》を愛弟子・橋本麻里が徹底的に聞く!
水墨画から、屏風、茶碗、建築、明治工芸、マンガ、現代美術まで
国宝8点、重文7点を含む名品30点以上をカラー掲載。
《この線》《この色》《この空間》――
驚くべき日本美術の名品の見所はここだ!》
大澤真幸『自由という牢獄―責任・公共性・資本主義』岩波書店・2015年
《二〇世紀末以降の今日、十分に許容度の高い自由な社会に生きているはずのわれわれは、しかし、どこか空虚で奇妙な息苦しさを伴う、ある意味で「過剰な自由」のなかに置かれている。これはどういうことか。大澤自由論の理論的な輪郭が最もクリアに提示される本書は、単行本化が待ち望まれていた「自由の牢獄」「責任論」「“公共性”の条件」という三つの重要論考と、資本主義と人間の自由をめぐる書き下ろし論文で構成。不平等や格差の問題の根底にある「自由」という難題こそが、いま、最もアクチュアルで本質的な主題として論じられる。》(「BOOK」データベースより)
松岡裕太『あきれるほど幸せな政略結婚ッ!』ガッシュ文庫・2011年
《「養子縁組…じゃなくてケッコン!?」老舗高級旅館の息子・凛太郎は、経営が危うくなった旅館の金策のため、贔屓の不動産グループの社長の養子になることになった。子供のいない老夫婦の子供になるもんだと思って連れてこられた屋敷には、20代半ばの若い男! こ、この人が社長!? 「養子=嫁入り」!!?? でも、家のためなら養子でも嫁にでもなってやるぜ! と男らしく覚悟を決めてベッドイン!?「よっしゃ、来いコノヤロー!」 おバカでキュートで漢らしい、トンデモ花嫁のHなおツトメ❤》
松岡裕太『泣けるほど幸せなオシオキッ!』ガッシュ文庫・2011年
《「僕はメイドだから…性的な奉仕をする覚悟です」もとお坊ちゃんで、今は親の残した借金のために働いている大河は、幼なじみでクラスメイトの幸路の家でメイドをすることになった! 幸路は幼稚舎で出会った時から大河のことが大好きと言って憚らない男。大河にとっては、大切な友人だが、「恋人」とは考えられないっ!! でもメイドになったからには、ご奉仕と称してエッチなことさせられる…!と覚悟して行く大河だが…!? ツンデレメイドに貞操帯・つけ耳&しっぽ――愛あるお仕置き❤》
松岡裕太『気絶するほど幸せな主従関係ッ!』ガッシュ文庫・2012年
《高嶺家執事の翔也の下に、新人の年下男メイド・柚流がやってきた! 「一目惚れだ」といきなりキスされてしまう翔也だが、実は同じ主人に仕える秘書・絢人とセフレ関係。絢人のドSなHテクに翻弄されながらも愉しんでいたけど、それが柚流にバレた…? 「他の男と寝るなんて許さない」柚流が翔也のコカンにハメようとするのは――ててて貞操帯ッ!? 俺様メイドとドS秘書が、執事を調教!?新感覚☆3P?エロティック調教ラブ!》
大塚英志『「おたく」の精神史―一九八〇年代論』星海社新書・2016年
《「おたく」はいかにして形成されていったのか――! 大塚英志だからこそ書けるとっておきの80年代論、待望の復刊。》
森本あき『そんなサービス困ります』白泉社花丸文庫・2012年
《温泉旅館――それは密惑の至れり尽くせり空間。
①心地いい湯 ②美味な食事 ③こまやかな心遣い、と三拍子揃えばまさに極楽。けれど……
「そこっ…や…、洗わな………っ」
いくらサービスとはいえ、偶然鉢合わせしたからといって、裸の若旦那に全身を流されるのは困る!だって相手はこっそり片想いしている人。そんなことされたら、は、反応…しちゃう…!
「ぼくが満足するまで、洗わせてもらいますよ」
拒否権はなし!? 癒やしの宿の究極のおもてなし❤》
森山侑紀『世界で一番可愛いあの子』講談社X文庫・2007年
《「和也、君を僕の妻に迎える。君は誰よりも幸せな妻だ」
世界で一番不思議な高校生・水野和也は、母方に脈々と受け継がれた特殊な能力により、男子高校生でありながら、ときに美少女に変身することがある。そしてまた、小田切真澄という男の婚約者がいたりもする。
男同士で結婚なんかできるものか!! そう叫んでいた和也だが、ある日、とんでもない変化が身体に現れてしまう。愛が呼ぶのは嵐か、それとも……!?》
中田耕治『ルクレツィア・ボルジア(上)―ルネサンスの妖精』集英社文庫・1984年
《1840年、一人の少女が生まれた。ルクレツィア・ボルジア。動乱と騒擾の絶えないローマとその周辺。都市間の裏切りと妥協。法王の座を狙う買収と談合》混乱と暴力のなかで成長していくルクレツィアとその兄チェーザレ。異様な登場人物たちが演じるルネサンスという舞台に彼女が見たものは何であったか?》
中田耕治『ルクレツィア・ボルジア(下)―華麗なる恋と死』集英社文庫・1984年
《華麗な恋の遍歴ののち、近隣のフェラーラへ嫁ぐことになったルクレツィア。豪華絢爛な輿入れ。彼女の美貌と魅力はたちまち人々を夢中にさせ、狂宴が繰りひろげられる。ときにささやかれる兄との恋――。兄チェーザレは業病に悩まされながらも戦いに明け暮れ、妹もまた恋と陰謀に囲まれ、奇しき運命に操られる。
解説・竹内紀吉》
大槻はぢめ『下剋上は恋の華!』もえぎ文庫ピュアリー・2008年
《日本史教師の伊達雪彦には悩みがあった。成績優秀・眉目秀麗な生徒会長の石田克也が所構わずHなイタズラを仕掛けてくるのだ。そんなふたりの間には、両家の力関係にまつわる先祖代々の盟約もあって…!? 超オレ様生徒会長×クール系美人教師の下剋上ラブ❤》
柳ジョージ『ランナウェイ―敗者復活戦』集英社文庫・1983年
《ポール・アンカに息をのんだ。学生バンドを作った。初めて酒を飲んだ。グループ解散。音楽を捨てた。サラリーマン生活も三日目で退職した。失恋。そしてロンドンヘ……。挫折を繰り返し、もがき続けあがきながら必死で生きた。R&Bシンガー・柳ジョージが誕生した。これは柳ジョージが熱っぽく語る、青春へのメッセージ。》
エド・マクベイン『被害者の顔』ハヤカワ文庫・1976年
《夏が近づくころ、夕方の街はいっとき静まり返る――アニイ・ブーンが殺されたのもそんな夜だった。酒屋のガラスの飛散したフロアにうつ伏せに倒れた彼女の周囲は一面血の海だった。バート・クリングは被害者の身許を洗っていった――丹念に忍耐強く。そして、明らかになったのは被害者の複雑な顔だった。貞淑な妻、優しい母、インテリ女性、情婦、酔いどれ……。どの顔が残忍な殺人者を招いたのか? しかし容疑者はいずれも堅固なアリバイを持っていた。警察活動の実態をセミ・ドキュメントな手法で描く好評の〈87分署シリーズ〉》
真鍋博・星新一『真鍋博のプラネタリウム―星新一の挿絵たち』新潮文庫・1983年
《夜空にきらめく星たちを地上に写し出すプラネタリウム。そのプラネタリウムのように紙上に写し出された星の投影図(星新一の挿絵)の数々。真鍋博の雑誌掲載の挿絵と星新一の文庫本初収録のショートショート、「はじめての例」「幸運の未来」「夢のような星」ほか6編と「ボッコちゃん」「おーい でてこい」「親善キッス」などのさわり部分65編でおおくりするデュエット集。》
福永武彦『幼年』河出文庫・1985年
《思い出そうとしても思い出せない、薄明の時間。けれども夢の感触、匂い、くりかえしあらわれる情景などが、いまも私をそこへ誘うことをやめない、源初の時――幼年。生れたばかりで失った母への憧れを闇に辿り、死への恐れと親和とに導かれながら涯しない虚無の空間に連なる、これは記憶をつらぬいてされる純粋な遡行の旅である。福永文学を解く鍵となる作品であり、最良の結晶として輝く。》
収録作品=幼年/伝説/邯鄲/風雪/あなたの最も好きな場所/湖上
梶山季之『カポネ大いに泣く』角川文庫・1984年
《大西鉄五郎は、9歳の時、サーカス一座に攫われ、アジア各地を転々とした後、渡米興業ですっかりアメリカが気に入ってしまった。その後一座を脱走したが、さすがサーカスにいただけに、いろんな特技を身につけ喧嘩には滅法強い。いつも朴歯の下駄をつっかけているが、これが凄い武器になる。懐には小型ピストルをしのばせ、10メートル先に立てた絹針を射落としたことから“ガン鉄”の渾名があった。
この男が、1930年代のアメリカの闇の帝王――酒の密造、売春宿・賭博場の経営、殺人など、犯罪をほしいままにしたギャング、アル・カポネを大いに手こずらせたというのだから、驚くではないか。痛快傑作小説の決定版!》
収録作品=カポネ大いに泣く/ルーズベルト大いに笑う/めりけん無宿/甘い廃坑
月舘あいら『恋する魔物と愛する守護者』B-PRINCE文庫・2014年
《幼い頃に想いを寄せていた朔也と十年ぶりに再会した光太郎。清純なかつての面影はなく、妖艶な美しさを持つ青年となった朔也は、強すぎる祓魔師としての力を制御するため、淫魔と契約したのだという。光太郎は淫魔に性の快楽を捧げる朔也の「恋人」となり、朔也を抱くことにしたのだった。
愛を確かめる行為とは違う、淫欲を満たすための交わりに胸の軋みを覚えていたある日、光太郎をも巻き込んだ霊絡みの事件が起こり…!?》
森山侑紀『世界で一番不思議なあの子』講談社X文庫・2007年
《「真澄くんは和也くんの婚約者だよ」
清く正しい男子高校生として、水野和也は父親とふたり慎ましい生活を送っていた。ところがある日、突然、意識を失い倒れてしまう。そして、目覚めたとき、男のはずの身体はとびきりの美少女になっていて、おまけに婚約者まで現れたから、さあ大変!!
男の子? それとも女の子? 美少女と美少年をいったりきたりの世界で一番不思議な物語、登場❤》
玉木ゆら『Green Light―グリーンライト』ディアプラス文庫・2007年
《頭がよくて、スポーツ万能で、性格がよくて、おまけに男前な夏木はまるで王子様。捻くれ者の泉は、昔は彼と仲良しだったが、ささいなことが原因で疎遠になっていた。同じ高校に進学したけれど、たまに話すとケンカ腰になって、夏木の取り巻きと揉めてしまう。そんなある日、なりゆきで夏木とデートをすることになり……!? 幼なじみ二人の、甘くてしょっぱいティーンエイジ・ラブ!! オール書き下ろし。》
うえだ真由『みにくいアヒルの子』ディアプラス文庫・2004年
《我が儘だけど元気いっぱい、みんなのアイドル朱里は、ダサくてさえない幼馴染・和威に密かに片想い中。和威がどんなに優しいか、自分だけが知っている。このままずっとそばにいて、いつかこの気持ちに気づいてほしい——そう思っていたのに。なんとその和威に、彼女ができたというのだ!! 服装を変え髪型を整え、どんどん格好よくなってゆく和威に朱里は焦り始めるが……? メルヘン・リリック・アクチュアリー!!》
二條暁巳『彼は俺の愛しい暴君』セシル文庫・2011年
《ヨーロッパの小国アルプアズーリで、住み込みの家庭教師をするために日本からやってきた真琴。お金持ちの家での仕事だとは聞いてはいたものの、なんと雇い主はその国の大公で、教えるのは6歳の王子だという。しかも会ってみると大公は、送り狼で真琴に手を出そうとした傲慢な男だった。強引な要求ばかりの大公に反発する真琴だったが、なついてくる王子は可愛いし、いつしか心は揺れて……。》
角田喜久雄『風雲将棋谷』時代小説文庫・1981年
《稀代の義賊、流れ星の雨太郎と仁吉の娘お絹は、蠍道人黄虫呵の罠にはまり敵同士となる。自らの証をたてるため黄虫呵に挑む雨太郎。彼を慕い運命の梅に苦悩するお絹。だが、二人を見守り救いの手をさしのべる托鉢憎がいた。謎の地、将棋谷にまつわる秘密を暴くべく、雨太郎等は山深い秘境を目指すが……。将棋谷の当主雪太郎を探す女性朱美をはじめ、多彩な登場人物が繰り広げる謎解き手法を用いた伝奇時代小説の傑作!》
高柳芳夫『『禿鷹城』の惨劇』新潮文庫・1984年
《西ドイツ・デュッセルドルフの日本商社の支店長が密室で殺され、金庫から二百万ドルが消失していた……。折しも、ウィーン郊外のドナウ河を見下す古城を改造したホテル『禿鷹城』では、日本政界の黒幕を囲んで日本商社重役たちの秘密会議が開かれていた。大口径鋼管輸出の受注をめぐり必死の策謀をくりひろげる彼らを襲ったのは、デュッセルドルフに続く連続密室殺人だった……。》
吉行淳之介編『奇妙な味の小説』中公文庫・1988年
収録作品=暑さ(星新一)/秘密(安岡章太郎)/さかだち(柴田錬三郎)/うまい話(結城昌治)/召集令状(小松左京)/思いがけない旅(河野多恵子)/わが愛しの妻よ(山田風太郎)/スパニエル幻想(阿川弘之)/勝負師(近藤啓太郎)/暗い海暗い声(生島治郎)/二重壁(開高健)/手品師(吉行淳之介)/脱出(筒井康隆)/黒描ジユリエットの話(森茉莉)/白夜の終り(五木寛之)/夢の中での日常(島尾敏雄)
多和田葉子『傘の死体とわたしの妻』思潮社・2006年
《たづなを解かれたことばは縦横無尽に弾け飛び、意味の穴やお尻の穴、あらゆる穴をのぞきこむ。言語の境域で物語をあやつる魔術師・多和田葉子、待望の本邦初詩集。》(「BOOK」データベースより)
椎名誠『ハリセンボンの逆襲』文春文庫・2005年
《香水ベタベタの凶臭男、ビーチサンダルお断りの高慢ホテル、宇宙語を喋る今時の文壇バーの娘。そんなモノは置いといて、心優しき鮫に会いに海に潜ろう。馬にまたがり釧路川の雪解けのぬかるみを行こう。北のサンマや朝イカ、黄金色のジャガイモに、天高く馬は肥え、赤マントもしみじみ肥えていくのであった。解説・沢野ひとし》
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。