2016年7月
青磁社
『そらまめ』は宮澤明壽(1930 - )の第1句集。
作者は「炎環」会員。
そら豆や黙認の眼となりゐたり
桜蕊散りつくづくと地べたなる
恋猫の妖しき背中すべり出す
薄氷のゆらりと天の動きたる
和綴本ふんはり開く朧の夜
きさらぎの光りの中の子の遺影
西日受けとめペカペカの中華街
何処か違ふ違ふと叫ぶ大西日
夏蝶の乾きし音を捉へけり
少年の世はカキクケコ青林檎
きらびやかに本堂寒し忌を修す
どことなく三日の部屋といへるもの
手にあまることはそのまま小つごもり
鮟鱇の残りし口を片付ける
風花や子の遺したる髭剃機
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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