BL小説がだんだん増えてきた。
「ふらんす堂通信」に連載している「BLな俳句」に鑑賞文だけではなく、毎回自作句10作を出しているのでその“取材”のためである。今回の「ふらんす堂通信」147号で12回目・計120句となり、似た発想も増えてきたことから何か仕入れなければまずいと思ってのことだが、1冊読んで出来るのはせいぜい1句、あとはむやみにBL本が増えていくばかり。
大体は「ジャケ買い」ならぬ、「ジャケ不買を免れたもの」である(ラノベにくらべるとカバー絵が妙に下手な場合が多いのだ)。
J・G・バラード『狂風世界』創元推理文庫・1970年
《どこから吹いてくるのか、烈風は徐々に風速を強め、世界の諸都市は次々と崩壊の一途をたどった。捲き上がる砂塵、猛威をふるう風、人々は抗すすべもなく食糧と飲料水をたずさえて地下壕での生活をはじめた。建物は倒壊し、砂嵐が襲う。波浪は海岸地帯をなめ、河川は涸渇し、火災が頻発する。世界はいずこからともなく吹き募る東風の前に屈しようとしている。科学は、自然の猛威の前に膝を屈するのか! 「沈んだ世界」「燃える世界」「結晶世界」の前駆的作品として奇才J.G.バラードが放った長編処女作。》
川端康成『掌の小説』新潮文庫・1971年
《唯一の肉親である祖父の火葬を扱った自伝的な『骨拾い』、町へ売られていく娘が母親の情けで恋人のバス運転手と一夜を過す『有難う』など、豊富な詩情と清新でデリケートな感覚、そしてあくまで非情な人生観によって独白な作風を打ち立てた著者の、その詩情のしたたりとも言うべき“掌編小説”122編を収録した。若い日から四十余年にわたって書き続けられた、川端文学の精華である。》
収録作品=骨拾い/男と女と荷車/日向/弱き器/火に行く彼女/鋸と出産/バッタと鈴虫/時計/指環/髪/金糸雀/港/写真/白い花/敵/月/落日/死顔の出来事/屋根の下の貞操/人間の足音/海/二十年/硝子/お信地蔵/滑り岩/有難う/万歳/胡頽子盗人/玉台/夏の靴/母/雀の媒酌/子の立場/心中/竜宮の乙姫/処女の祈り/冬近し/霊柩車/一人の幸福/神います/帽子事件/合掌/屋上の金魚/金銭の道/朝の爪/女/恐しい愛/歴史/馬美人/百合/処女作の祟り/駿河の令嬢/神の骨/夜店の微笑/夫人の探偵/門松を焚く/盲目と少女/母国語の祈禱/故郷/母の眼/三等待合室/叩く子/秋の雷/家庭/時雨の駅/貧者の恋人/笑わぬ男/士族/質屋にて/黒牡丹/日本人アンナ/雪隠成仏/離婚の子/顕微鏡怪談/踊子旅風俗/望遠鏡と電話/鶏と踊子/化粧の天使達/白粉とガソリン/縛られた夫/舞踊靴/楽屋の乳房/眠り癖/雨傘/喧嘩/顔/化粧/妹の着物/死面/舞踊会の夜/眉から/藤の花と苺/秋風の女房/愛犬安産/ざくろ/十七歳/わかめ/小切/さと/水/五拾銭銀貨/さざん花/紅梅/足袋/かけす/夏と冬/笹舟/卵/滝/蛇/秋の雨/手紙/隣人/木の上/乗馬服/かささぎ/不死/月下美人/地/白馬/雪/めずらしい人
サロート/ロブ=グリエ/C・モーリアック『世界文学全集65 アンチ・ロマン集』筑摩書房・1970年
半村良『鈴河岸物語』祥伝社文庫・1995年
《幕末、嘉永年間――。異国の脅威に揺れる世情をよそに、江戸の下町・鈴河岸にある一丁長屋では相も変わらぬ職人衆の暮らしが続いている。剣次郎は鈴作りの錺職人。代々伝わる“長十手”は、どんな刀より硬い代物で、彼の自慢だ。ある日、剣次郎は町方与力から、辻斬りの刀を折れとの密命を受けた。どこかの殿様が、名刀の試し斬りをしているらしいのだ……。》
松岡裕太『気絶するほど幸せな主従関係ッ!』ガッシュ文庫・2012年
《高嶺家執事の翔也の下に、新人の年下男メイド・柚流がやってきた! 「一目惚れだ」といきなりキスされてしまう翔也だが、実は同じ主人に仕える秘書・絢人とセフレ関係。絢人のドSなHテクに翻弄されながらも愉しんでいたけど、それが柚流にバレた…? 「他の男と寝るなんて許さない」柚流が翔也のコカンにハメようとするのは――ててて貞操帯ッ!? 俺様メイドとドS秘書が、執事を調教!?新感覚☆3P?エロティック調教ラブ!》
山藍紫姫子『クリームな僕』花丸文庫BLACK・2012年
《僕は、最高のセックスを提供できる理想の性奴として改造された人型仔猫、湊。競りにかけられたのちに、連れていかれたのは、大きなお屋敷だった。そこには、僕を躾けてくれる、車椅子の飼い主、加賀田様が待ち受けていたんだ。キスだって初めてなのに、尻尾の付け根をいじられて、敏感になってく自分のカラダにドキドキしゃう。さらに躾けの一環として、加賀田様の目の前で、銀色の、綺麗な綺麗な人猫シャオと繋がるように命じられて!?――耽美の女王が、小さな獣たちを愛で尽くす表題作ほか『天児』『ディナーには僕を』等収録。 》
ジョン・ブラナー『テレパシスト』創元推理文庫・1975年
《テレパシストとは言葉を使わずに他人との精神交流ができる者のことである。国際連合ではこうした超能力者が国家間の調停者として働いていた。私生児で不具という不運な星の下に生まれたジェラルド・ハウサンは、ある日、自分がテレパシストであることに気づきウランバートルにある世界保健機構に勤めることになった。彼は六千マイル離れた人間にさえも精神を投射することが、そして、あらゆる人間の悩みを解消させることができる最大のテレパシストだった。超心理学の世界を克明に活写したユニークなSF》
藤村信『中東現代史』岩波新書・1997年
《国際政治・経済を左右し、和平・共存の努力と対立・紛争が交錯する「中東」を、私達はどれほど理解しているだろうか。第二次大戦後からスエズ戦争の五六年、六日間戦争の六七年、イラン革命の七九年、湾岸戦争の九一年―時代の結び目を明確にしながら、この五十年の動向と背景を、定評ある国際ジャーナリストが的確かつ平易に解説する。》(「BOOK」データベースより)
松岡裕太『あきれるほど幸せな政略結婚ッ!』ガッシュ文庫・2011年
《「養子縁組…じゃなくてケッコン!?」老舗高級旅館の息子・凛太郎は、経営が危うくなった旅館の金策のため、贔屓の不動産グループの社長の養子になることになった。子供のいない老夫婦の子供になるもんだと思って連れてこられた屋敷には、20代半ばの若い男! こ、この人が社長!? 「養子=嫁入り」!!?? でも、家のためなら養子でも嫁にでもなってやるぜ! と男らしく覚悟を決めてベッドイン!?「よっしゃ、来いコノヤロー!」 おバカでキュートで漢らしい、トンデモ花嫁のHなおツトメ❤》
森本あき『生徒会長は今日も憂鬱』もえぎ文庫ピュアリー・2008年
《庶民ながらも名門私立校の生徒会長を務める秋実は、生徒会の仲間たちとともに、学園内外の評価をも左右する文化祭展示用のステンドグラス作りに追われていた。刻一刻と迫る完成締め切り時間にあせる秋実。しかし、そんな秋実を支えてくれたのは、いつも秋実にだけイジワルな学園のカリスマこと副会長の長春で――。恋心が交錯する、副会長×生徒会長の甘く激しい手探りの初恋》
アーサー・C・クラーク『渇きの海』ハヤカワ文庫・1977年
《降り積もる微細な塵は、膨大な時の果てにいつしか広大な海をなし、月世界にただ一隻の船を浮かべる。風も波もない塵の海原を、22人の男女を乗せて進む観光船セレーネ号。だが、彼らの夢想だにしなかった危機が、刻一刻と迫りつつあった。突然の地殻変動、渦まく塵の海、そしてセレーネ号は、〈渇きの海〉へ姿を没したのだった! 必死の救助活動がつづけられるものの、その任にあたることができるのは、二人乗りのダスト・スキーのみ。はたして、この絶体絶命の危地を切り抜けることは可能か? 精密な論理によって構築された世界に、息づまる人間ドラマを展開する不朽の名作。》
アーサー・C・クラーク『地球帝国』ハヤカワ文庫・1985年
《宇宙飛行に欠かせぬ水素を豊富に産出する土星の衛星タイタン。この極寒の地に、マケンジー一族は華麗なる一大王朝を築きあげていた。時は2276年、おりしも近づくアメリカ建国500年祭に、タイタン代表としてマケンジー一族三代目ダンカンが招聘されることとなった。太陽系全域に広がる植民地に対し、すべての面で絶対の優位を占める地球。その地球へ豪華客船で向かうダンカンには、祝典参加のみならず、王朝の存続を左右する密命が課せられていたのだったが……!? 世界的巨匠が、該博な科学知識と真摯な哲学的洞察をまじえて、宇宙へ進出する人類の未来を謳いあげる傑作!》
松岡裕太『Sの遺伝子』ガッシュ文庫・2006年
《SMクラブ経営でサディストの両親の遺伝子を受け継いだ杏太の夢は、もちろん立派なSになること! なのに見目が可愛いのが目下の悩み。両親の店でSの修行をしていたところ、Mとして現れた男・成海に、立場逆転で意地悪な言葉と巧みな愛撫でイカされてしまった…!! しかも成海は教師として杏太の高校に赴任してきたのだ!俺のモノになればもっと感じさせてやるなんて成海は言うが、Mに仕込まれるなんて自称・Sサラブレッドのプライドが許さない! この勝負、どうなる。》
森本あき『そんなサービス困ります』白泉社花丸文庫・2012年
《温泉旅館――それは密惑の至れり尽くせり空間。
①心地いい湯 ②美味な食事 ③こまやかな心遣い、と三拍子揃えばまさに極楽。けれど……
「そこっ…や…、洗わな………っ」
いくらサービスとはいえ、偶然鉢合わせしたからといって、裸の若旦那に全身を流されるのは困る!だって相手はこっそり片想いしている人。そんなことされたら、は、反応…しちゃう…!
「ぼくが満足するまで、洗わせてもらいますよ」
拒否権はなし!? 癒やしの宿の究極のおもてなし❤》
大藪春彦『マンハッタン核作戦―甦った伊達邦彦』角川文庫・1980年
《――巨大な悪、それは常に善意の仮面を被り、富と権力とを手中に収めている。そして大衆を見えないところから操作し、自分の勢力を拡大しようとしているのだ――。
髪にパーマ、身体に染料……伊達邦彦は今、黒人に変装してニューヨーク黒人居住区に潜入していた。それは、英国情報部が、以前起きた50億円強奪事件を黒人秘密結社ブラック・モスクの仕業と睨み、その奪還を命じて彼を送り込んだのだ。
殺人、売春、黒人と白人のテロが渦巻くアメリカで、セクシーな一匹狼・伊達邦彦が巨大な権力に牙をむく!》
大藪春彦『戦いの肖像』角川文庫・1974年
《――水島の手刀が突き剌さった。瞬間、男の顔はひん曲がり、首の後ろを破って骨が露出していた。すでに、男は死の痙攣をはじめた……。
現金輸送車を襲い、殺人を犯した水島はもう引き返せない。彼の前には、野望達成のための戦いがあるだけだ!
“華麗なコーナリング”で、モータースポーツ界を沸かせた天才レーサー水島哲夫の栄光と破壊工作。彼の翳の生活がいま、はじまった。
凄まじい破壊力を秘めた大藪アクションの最高傑作!》
ポール・アンダースン『銀河よ永遠なれ』ハヤカワ文庫・1973年
《宇宙をおのれの住み家とし,一生を星々の間で過す宇宙の放浪者〈ノーマッド〉――彼らの宇宙船が五隻消息を絶ったことから、原因を究明すべく未知の辺境“X領域”へ飛んだペリグリン号の一行は、そこで人類文明とは全く異質の古い文明に遭遇した。緑したたる山野を駆ける比類なく美しい人々。個人を越えて種族が一体となり,大自然と、万物と生命をわかちあう安らぎの世界……。アロリ人と人類と、その対立は真に宿命的なものなのだろうか? 不思議な力によって捕虜とされた一行は、そこに住みつくこととなるが……》
ポール・アンダースン『焦熱期』ハヤカワ文庫・1983年
《千年に一度、恒星アヌが惑星イシュタルに接近する〈焦熱期〉――旱魃につぐ旱魃、突如発生する竜巻、昼夜を分かず天空に輝く太陽……半人牛馬に似たイシュタル人の文明は千年ごとに崩壊の危機をむかえる。だが、今回は、異星文化調査のためにイシュタルに駐在する地球人科学者の一団が、積極的援助を試みようとしていた。援助が端緒についたとたん、地球とナクサ星との戦争の勃発、イシュタル人の蛮族による北部文明地への侵攻が始まり、事態は思いもかけぬ方向へ急展開する……アメリカSF界の重鎮が、緻密な描写と大胆な構威力で徹底した異世界を構築する傑作長篇SF!》
ロバート・イーグルストン『ホロコーストとポストモダン―歴史・文学・哲学はどう応答したか』みすず書房・2013年
《ホロコーストは世界の見方を根底から変えた。証言、フィクション、歴史論争…膨大な応答を明晰に解読、直接経験していない大量死の記憶をいかに継承するかを問う。》(「BOOK」データベースより)
テリー・イーグルトン+マシュー・ボーモント『批評とは何か』青土社・2012年テリー・イーグルトン+マシュー・ボーモント『批評とは何か』青土社・2012年
《自らの思想、遍歴、そして全著作を語り、批評家に課されているものとはなにかを明らかにする必読のインタビュー。》(「BOOK」データベースより)
南原兼『騎士はそれを我慢できない❤』もえぎ文庫ピュアリー・2009年
《母の再婚によって、義兄・アーネストのいる寄宿制男子校ローザミア音楽院に転入した御剣百合也は、そこで幼馴染の奏真と再会する。しかし東寮のキングであるアーネストと、西寮のキングで奏真の従兄弟のレインは犬猿の仲。さらにアーネストの騎士に選ばれた百合也は、学園祭の夜に檄のドレス姿のまま学内の塔に幽閉され、レインの騎士の奏真に無理やり身体を奪われてしまう・・・・・・。騎士と騎士の切ない恋物語。》
松本清張『わるいやつら(上)』カッパ・ノベルス・1970年
《総合病院の院長・戸谷信一は三十二歳。病院経営には関心がなく、骨董品収集と女漁りに熱中している。彼はいま、四人の女と交渉がある。独身の洋裁店主・槇村隆子、家具商の妻・横武たつ子、銀座に本店をもつ装身具店の経営者・藤島チセ、それに亡父の愛人だった婦長の寺島トヨ……。戸谷の心は、矢貌で資産家の槇村隆子にきまっている。ほかの三人の女は利用すればよい。利用価値がなくなったら……戸谷に役意が芽生えはじめた――。
本書は、清張文学を代表する社会推理巨編である。》
《人間はだれでも心の中に“悪い”願望をもっている。ただ、それを口や行動に出さないだけである。法律や道徳に圧えられ、世間の非難を恐れて、抑制している。
しかし、その願望は人間の意識の中で、勝手に徘徊している。一度、表皮が破れると、それは外側に奔出する。もはや、当人にもどうしようもない。
この小説は、そういう群像を推理小説的手法で描いて、人間性を探ってみたかった。
「著者のことば」》
《一九七〇年は、松本清張にとって新たな出発点になろう。正月早々、雪の吉野路から熊野路を踏査、文壇登場以来、初の“書下ろし推理巨編”の取材を行なった。民俗学や歴史遺産の宝庫といわれるこの地の見聞から、どんな現代的テーマを引きだすか……。この日を期して、原稿執筆の量を絞ってきたが、成果は近い。》
松本清張『わるいやつら(下)』カッパ・ノベルス・1970年
《総合病院の院長・戸谷信一は、病院の経営には無関心、もっぱら骨董品収集と漁色に明け暮れている。彼は独身で美貌のデザイナー・槇村隆子にプロポーズしたが、彼女の反応は冷たい。一方、横武たつ子が、夫殺害の疑いで財産を失うと、戸谷は婦長の寺島と共謀、彼女を殺害。さらに藤島チセの請いをいれて、彼女の夫を注射で殺す。戸谷の書いた死亡診断書は区役所に受理され、完全犯罪は成功した。そして、武蔵野の雑木林の中で、彼は、秘密の共有者・寺島婦長の首を絞めた……。(上巻のあらすじ)》
《悪の生態を浮彫り (文芸評論家)尾崎秀樹
日本の文学は悪の典型を描くことにかけては弱いとされてきた。しかし、『わるいやつら』にはむき出しになった悪の生態がみごとに浮彫りされている。戸谷信一をはじめ、彼と関係をもつ女性たちは、いずれも現代の欲望に駆られた亡者たちだが、それらの悪が善によってではなく、むしろ悪そのものによって問いつめられているところに、この作品の魅力がある。作者は社会と人間に対する審間官の眼をもって、その裏に立っているのだ。》
《松本清張は構想につまると、時・場所を選ばず、タクシーに乗ることが多い。走る密室の中で窓外の風景の変化をぼんやり眺めているうちに、新しいヒントを摑むのだ。でき上がったストーリーを、編集者に語りながら、その反応を見るときの彼の眼は、別人のようになごやかにみえる。》
水戸泉『生徒会長と紳士なケダモノ』学研もえぎ文庫・2010年
《武田彩斗は、幼い頃何者かに呪いをかけられ、満月になると淫乱化する体質の持ち主。その性欲の処理は、親の代から仕えてくれている真田家の末裔・透にさせていた。そんな折、彩斗が所属するサッカー部の試合が満月の日に行なわれることが決まる。案の定試合中に感じてしまい、さらには休憩中に相手チームの主将に襲われ手淫されてしまった彩斗だったが、それを真田に見られてしまい……!? 水戸泉が描き出す、高校生同士の濃厚&爆笑エロコメ決定版!》
ルートヴィッヒ・ウィトゲンシュタイン/イルゼ・ゾマヴィラ編『ウィトゲンシュタイン 哲学宗教日記―1930-1932/1936-1937』講談社・2005年
《死後42年たって新発見された幻の日記。『論考』から『探究』へ―大哲学者が書き残した、自らの思考の大転換、宗教的体験、そして苛烈な内面の劇!真の信仰を希求する魂の記録。》(「BOOK」データベースより)
神香うらら『桃色☆王子―胸の秘密はミルキーピンク』プラチナ文庫アリス・2009年
《バーデンバッハ王国の王子・カイザーは、ルメール王国の王子・ルカに正式にプロポーズ。幼い日に愛を誓い合った二人だが、ルカは「王子同士で結婚なんかできない」と断ってしまう。その後、謎の病に倒れたカイザー。その病を治すには、なんとルカの乳が必要で――!? 乳が出るという薬草を飲んで、ルカは治療として夜ごとカイザーに愛されることに! どんどん淫らに敏感になっていく乳首と身体にルカは……? 豪華☆袋とじは、短編小説&こすると香るシールつきピンナップ!》
馬場優『オーストリア=ハンガリーとバルカン戦争―第一次世界大戦への道』法政大学出版局・2006年
《1914年7月、オーストリア=ハンガリー(ハプスブルク帝国)のセルビアへの宣戦布告によって、第一次世界大戦の火ぶたが切って落とされた。戦渦は瞬く間に広がり、ヨーロッパのほとんどの国家、さらにはアメリカ、日本などを巻き込んで「世界戦争」へと発展していった。この戦争の直接的な原因はサラエヴォ事件であったが、なぜオーストリア=ハンガリーは軍事的手段に訴えたのであろうか。本書は各国の外交書や膨大な未公刊一次資料を駆使して、二度のバルカン戦争を経たオーストリア=ハンガリーが諸「大国」との協調路線から軍事力依存の外交政策へと転じてゆく過程を、世界の火薬庫といわれたバルカン半島の歴史的背景を踏まえながら詳細に描きだす。》(「BOOK」データベースより)
赤川次郎『探偵物語』カドカワノベルズ・1982年
《辻山は探偵事務所に勤める41歳。くたびれた背広とヨレヨレのコート。責任感もあり真面目なのだが、やることはドジばかり。そろそろクビが危くなってきた。そんな彼に仕事の依頼がきた。仕事は、あと5日で両親のいるアメリカに出発するやんちゃで古風な女子大生直美の監視兼ボディガードとおもりだ。物語はたった5日の間――。ギャングの大ボスと元愛人、辻山の元妻、刑事達が入り乱れて……。中年探偵とフレッシュな女子大生のコンビで送る、書下しユーモア・ミステリー。》
《作者のことば
「青春」という言葉は、多少時代遅れになりつつあるようだ。
その点では、「探偵」という存在も、似たようなものだ。
そこをあえて、「探偵物語」と題をつけ、青春が遠い昔になった探偵と、
今青春のただ中の女性との冒険を書いてみた。
こんな「青春」、こんな「探偵」なら、まだその辺に転がっているかもしれないな、
と思っていただければ幸いである。》
赤川次郎『愛情物語』カドカワノベルズ・1983年
《赤ん坊の時捨てられ、気立てのいい仲道治子に育てられた美帆は、すくすく成長した。いま、十六歳になった美帆は、鳴りやまぬ拍手の中にいた。カーテン・コールが何度もくり返された。天才バレリーナとしての輝かしい未来をつかんだのだ。このすばらしい青春をくれたあの人は、いま何処に。美帆の小さな冒険と大きな愛の旅が始まった――。人気最高潮の赤川次郎が放つ、青春ラブ・サスペンス。角川映画化決定。〈監督・角川春樹 主演・原田知世〉》
《●作者のことば
「親子の絆」なんていうつなが、最初からあるわけではない。
それは努力して編んで行くものだ。
もっとも、当節「瞼の父」などははやらない。
この主人公が親を捜して旅に出るのも、感傷よりは好奇心からで、
それが思いがけない冒険と、出合いを生む。
これは「たまたま」親子になった男と少女の物語だ。》
チャールズ・ディケンズ『二都物語』新潮文庫・2014年
《フランスの暴政を嫌って渡英した亡命貴族のチャールズ・ダーネイ、人生に絶望した放蕩無頼の弁護士シドニー・カートン。二人の青年はともに、無実の罪で長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せる。折りしも、パリでは革命の炎が燃え上がろうとしていた。時代の荒波に翻弄される三人の運命やいかに?壮大な歴史ロマン、永遠の名作を新訳で贈る。》(「BOOK」データベースより)
野田秀樹『彗星の使者・宇宙蒸発』新潮社・1986年
《昭和のシェークスピア野田秀樹のおかげで今日も感動体験ができる。空飛ぶコツを捜してあたふたと駆け回る少年トブ・ソーヤ。人類飛翔の希いを天空高く繰り広げ、ガリレオやガリバーまでもまき込んでしまった夢の結末やいかに》(「BOOK」データベースより)
田中彰『深海ザメを追え』宝島社・2014年
《サメ研究38年の第一人者が語る、個性派58種と追跡のストーリー。》(「BOOK」データベースより)
森山徹『オオグソクムシの謎』PHP研究所・2015年
《『ダンゴムシに心はあるのか』が各紙で絶賛された著者が、深海生物オオグソクムシの研究成果を中心に動物の「個々の心のあり様」に迫る。》
キャサリン・ハーモン・カレッジ『タコの才能―いちばん賢い無脊椎動物』太田出版・2014年
《8本足に3つの心臓をもち、変幻自在に皮膚の色を変えられる不思議な生物タコ。太古の昔から人間はタコに魅了されてきた。長年の研究にもかかわらず、その生態はいまだ謎に満ちている。狩りの達人であり、人の顔を見分け、過去の行動を記憶し、パズルを解くこともできる。タコの奥深い才能は、いったいどこまで広がるのか?謎に迫るタコの生物学、驚くべき能力に着目した科学研究、4000年におよぶ人類との歴史、そして世界各地の文化を網羅。タコのすべてがわかる「タコ学」決定版。》(「BOOK」データベースより)
エドモンド・ハミルトン『透明惑星危機一髪!―キャプテン・フューチャー』ハヤカワ文庫・1973年
《火星に難事あれば火星に、金星に怪事件あれば金星に! 三人のフューチャーメンと愛機コメットを駆って星々の間を縦横無尽、宇宙正義と平和のために、敢然と悪に立ち向かうわれらが英雄キャプテン・フューチャー! 冥王星の刑務所から,奇怪にも看守達の目の前で宇宙船ごと消え失せた希代の悪漢ウル・クォルンの行方は、全惑星警察機構の必死の捜索にもかかわらず、ようとして知れなかった。以来続発する怪事件の数々に、ついに太陽系政府主席はキャプテン呼び出しを決意する。お待ちかね宇宙大冒険活劇の決定版、いよいよ本文庫初登場!》
栗本薫『伊集院大介の冒険』講談社文庫・1986年
《東京から特急で二時間ほどの山中に山科警部の親戚がオープンしたばかりのペンションに幽霊が出没、客足もすっかり途絶えているという。霊能者を装った伊集院大介が乗り込んだ翌日、雪で孤立したペンションに謎の殺人事件が! 山科警部を相手に、ご存じ名探偵・伊集院大介の推理が冴える傑作七編。》
収録作品=殺された幽霊/袋小路の死神/ガンクラブ・チェックを着た男/青ひげ荘の殺人/獅子は死んだ/鬼の居ぬ間の殺人/誰かを早死させる方法
阿刀田高『夢判断』新潮文庫・1983年
《人間は夢の中で将来起きることを予見できるのだろうか? 赤い色の夢を見ると、その夢が必ず実現されるという青年の話「夢判斯」。毎週届く奇怪な殺人依頼の手紙と毒入りコーラ事件との不気味な結びつきを暗示する「あの人をころして」。プロの結婚詐欺師にコロリと欺かれたかに見えた自称ハイミスの意外な正体とその復讐「蜜の匂い」。現代人の深層心理を揺さぶる恐怖と笑いの14編。》
収録作品=あの人をころして/柳の下のジンクス/銀座の恋の物語/蜜の匂い/ベター・ハーフ/殺意/海が呼ぶ/凶事/自殺クラブ/紅白梅の女/演技/夢判断/干魚と漏電/勝ち馬情報
都筑道夫『フォークロスコープ日本』徳間文庫・1982年
《フォークロスコープ――著者自身の造語で、過去現在未来を一覧する日本民話絵図の意を侍つ。かつて上梓された『宇宙大密室』が芯になっているが、その配列順序を変え、短篇集としての狙いを明確にさせた上で、新しく3篇を追加して編集したものが本書である。追加した3篇のうち、鼻たれ天狗を主人公にした「恋入道」は、本書のために書下した未発表のものである。
――(著者自身による解説より)》
収録作品=鼻たれ天狗/かけざら河童/妖怪ひとあな/うま女房/恋入道/一寸法師はどこへ行った/絵本カチカチ山後篇/猿かに合戦/浦島/変身/頭の戦争/カジノ・コワイアル/宇宙大密室/凶行前六十年/イメージ冷凍業/忘れられた夜/わからないaとわからないb
池波正太郎『殺しの四人―仕掛人・藤枝梅安』講談社文庫・1977年
《この世に生きていてもためにならない奴を消す。それが殺しの定法だ。ハリの名医が表看板だが、極悪人の殺しを請負って、闇から闇へと葬る非情な裏稼業。吹矢の名手彦次郎を相棒に、什掛人・藤枝梅安必殺の殺し針が急所に突きささる。梅安・彦次郎コンビの人間味を追求しつつ、闇の活躍を痛快に描いた短編連作。》
大藪春彦『骨肉の掟』角川文庫・1974年
《暴力団東光会の賭博場へ飛び込んだ二見沢は、愛用のコルト・パイソンを速射した! そこにいた男たちの顔や腕が吹っ飛び、血潮が床一面まっ赤に染める。現金を強奪、女を楯にして彼が脱出しようとした瞬間、二階から一斉射撃の轟音がして……。
アメリカのマフィア本部から日本に派遣されて来たすごい奴。彼は本部にたてをつき、暴利を貪る日本支部を粛清しにやって来たのだ。
スリルとサスペンスに溢れる、本格アクション小説の傑作! 巻末に、詳細な大藪春彦作品リストを収録。》
ディック・フランシス『利腕』ハヤカワ文庫・1985年(アメリカ探偵作家クラブ賞・英国推理作家協会賞)
《厩舎に仕掛けられた陰謀か、それとも単なる不運なのか? 絶対ともいえる本命馬が次々とレースで惨敗を喫し、そのレース生命を断たれていく。馬体は万全、薬物などの痕跡もなく、不正の行なわれた形跡は全くないのだが……片手の敏腕調査員シッド・ハレーは昔なじみの厩舎から調査を依頼された。大規模な不正行為や巧妙な詐欺事件の調査を抱えながら行動を開始するハレーだが、その行手には彼を恐怖のどん底に叩きこむ、恐るべき脅迫が待ちうけていた! 『大穴』のシッド・ハレー再登場。 MWA、CWAの両賞に輝く、シリーズ中屈指の傑作。》
円堂都司昭『戦後サブカル年代記―日本人が愛した「終末」と「再生」』青土社・2015年
《敗戦からの復興後も、私たちは戦争・環境破壊・災害などによる「終末」以後の光景を繰り返し幻視しつづけてきた―。戦後の歩みの全貌を「終末カルチャー」の歴史として描き出す、日本文化論の新たなる決定版! 》(「BOOK」データベースより)
最近のコメント