『乱雑な部屋』は西村小市(1950 - )の第1句集。
作者は「街」「童子」会員、「いつき組」組員。
薄氷をつついて妻の顔を見る
三月や小石の少しあたたかく
こだまする防災無線花便り
震へをりすずめが喰らふ蝶の羽根
ファッショとは束のことなり水菜切る
冷やし中華ヘイトスピーチ背後より
大ジョッキ干して楷書が丸くなる
炎暑の日歯科医の胸のやはらかさ
秋風や姉となりたる二歳の子
暗き森半分溶けてゐる茸
幾千の蜻蛉群れなし山を越ゆ
空澄みて公会堂のオムライス
読み跡のなき古書開く秋の夜
北風や文化ちりとり閉まる音
降る雪や赤は決意の色である
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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