『市川葉俳句集成』は市川葉(1930 - )の既刊3句集『楪』『春の家』『小諸の空』に、未刊行の第4句集『一炊の夢』を加えて編まれたもの。多くの散文を含む。
市川葉は「鷹」同人。
春燈や小松左京に惚れぬいて
こすもすや指から眠る赤ん坊
茸売や通天閣は上まで灯
ひるがほはけむりくさしと思ひたる
去年今年海星の如きいのち欲し
籐椅子の揺れをり母のゐるやうに
台風圏貝の吐きたる淡きもの
天空のオゾンホールや神の旅
牛小屋に無用の鏡黄砂降る
寝るための豆電球や初蛙
冴返る極彩色の腑分絵図
蝉の穴火山鳴動つづきをり
仰臥して時間大尽草の絮
インスタントコーヒー熱し狩の宿
綿虫の日向や永久に夫不在
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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