« 2015年11 月 | メイン | 2016年1 月 »
「外大短歌」(発行:東京外大短歌会、編集:永山源)第6号(2015年11月)から。
山頂の古城ホテルの空に見るアンダルシアの野の夕焼けを 三井 修
踊るため生まれてきたい ふるさとの氷柱のような身体が欲しい 永山 源
コーンからアイスが垂れてうつむけばどっと瞼に押し寄せるもの 木村 友
新卒も既卒も冷たき黒を着て滅ぶる銀河の一部とならん 高畠亮輔
見えぬ水をひとりへ注ぎ、軽くなる一方の水差しだわたしは 石川美南
カーテンの碧のみずたま氾濫し草間彌生が手を振っている 上條素山
2015年ふらんす堂
『櫻翳』は藺草慶子(1959 - )の第4句集。2002年から2015年夏までの239句を収録。
著者は山口青邨に師事。黒田杏子指導の木の椅子句会、古舘曹人指導のビギンザテンに学び、「屋根」「星の木」所属。
枯れすすむなり夢違(ゆめたがひ)観世音
十人の僧立ち上がる牡丹かな
鶏頭の離ればなれに倒れけり
わが身より狐火の立ちのぼるとは
揺れながら照りながら池凍りけり
土を出て茎なまなまと彼岸花
月光に蝕まれゆくごとく座す
一対のものみないとし冬籠
よろこびは晩年に来よ龍の玉
水底のすみずみに日や年詰まる
おほぞらはつかむものなし春疾風
花影のうへをはなびらさばしれる
白靴や奈落といふは風の音
自らの蘂に汚れて百合ひらく
屑金魚花の如くにあつまりぬ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
*****************************************************
BEETHOVEN Symphony No.7 in A,Op.92 OTTO KLEMPERER
最近のコメント