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ネットプリント誌「セレネッラ」第5号(2015年9月)から。 参加3人の各6句と短文「それぞれの《猫》」を掲載(短文にも反歌的な句がついているので1人計7句になる)。方眼紙にみづいろの罫小鳥来る 金子 敦階の埃に糸やきりぎりす 中山奈々墓のなき詩人の忌日桃を食ふ 中島葱男*****************************************************Yello - Desire
2015年角川書店 『猫の町』は篠塚雅世(1966 - )の第1句集。序文:鍵和田秞子。 篠塚雅世は「未来図」同人。鳥の巣のいつかこはれるやう作る骰子の角の丸みや猟名残グリーンサラダほとんど空気聖五月鳥渡る明朝体の生れし日姻族といふ寂しさに石蕗の花白秋や敷居踏まぬといふ教へ半纏の藍の褪せしも菊の頃墨流すごとくに稚魚や山笑ふサーファーの花のごとくに散らばりぬ寒晴や目を開きゐる餌の鼠冷たさや水中マイクが拾ふ音葱坊主宙に泛べて猫の町生くるためならで物食ふ心太草くぐることに倦みたり秋の蛇蕪のすぐ煮え天体は運行す※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。*****************************************************Eurythmics - You Have Placed A Chill In My Heart
9月9日から10日にかけての大雨で、栃木・茨城から東北各地にまで大きな被害が出た。 土浦市も避難勧告が出たせいか、心配するメールや電話を何件かいただいたので、状況報告を簡単に。 うちは台地に建っているので下からの浸水はありませんでしたが、かなり雨漏りしました。 震災のときに落ちた屋根は一応修理できたのですが、その後大雨の度にかなりひどく漏るようになり、何度か修理し直してもらったものの、それでも駄目で、今回も同じ箇所がダダ漏れ、一階二部屋の天井板がずぶ濡れ、しみだらけになりました。 また瓦屋さんに見直してもらいましたが、瓦や漆喰の問題ではなさそうなので、後日、別の業者に窓枠などを見てもらうことに。 大雨・雨漏りを老朽家屋で一人で受けていると緊張と心労がひどく、二三日具合が悪くなっていました。 まだ全身ゴチゴチに凝っていますが、今回の水害の中では被害のうちに入らないでしょう。
2015年ふらんす堂 『草の王』は石田郷子(1958 - )の第3句集。 石田郷子は「木語」で山田みづえに師事、その終刊後「椋」創刊、代表。「星の木」にも所属。 第1句集『秋の顔』で俳人協会新人賞。寝冷えせし手足を伸ばす父亡き朝髭振つてゐるこほろぎの怖ろしき我が机銀漢の尾に据ゑてある水仙の小さなかほの犇めきぬ花エリカ悼み心の突然に前世も淋しかりしと夏帽子錦秋の二階のこゑのよく笑ふコスモスの中に雀のあらそへる愛猫のとぶむささびのやうにとぶ春風や淵の色せる陶のもの秋風やいたく老いたる氏子衆少年の投げつけしもの蝉の殻凩や古布に棲む蝶や鳥蛾を食べて小玉鼠も冬ごもり狼のたどる稜線かもしれぬ※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。*****************************************************Merce Cunningham Dance Company at BAM: Second Hand
2015年ふらんす堂 『泉』は杉山久子(1966 - )の第3句集。 杉山久子は「藍生」「いつき組」「ku+(クプラス)」所属。第2回芝不器男俳句新人賞受賞。露の世にボーカロイドのうたふ愛永眠も不眠もあはれ鳥雲にラブホテルある日土筆にかこまるゝ吊られゐて潜水服の中おぼろ花びらをすべりおちたる昼の蟻漂流物海月の群に遇ふころかかなしみと呼ぶ秋草の冠を手をつなぐ影をながめて秋祭石の扉の冷ゆるむかうへ行きたしと捨てられしバナナの皮と本の帯未来とは鍬形虫の背の光鳥渡るお骨を拾ふ列につく茶の花に日差し碁盤の上に猫かき揚げにして白魚のねぢれやう春の星ひとつ大きくぬれてあり※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。*****************************************************HMO (Hatsune Miku Orchestra) - Kimi Ni Munekyun (HD 720p)
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2015年7月号から。七夕や老舗の菓子のうすごろも 嶋田麻紀冷麦で中庸の徳説かれけり 松浦敬親ダッコちゃんペコちゃんサトちゃん昭和の日 井口あやこ
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「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2015年6月号から。葛餅の大きな三角死が近し 嶋田麻紀フクシマの避難者と見る植田かな 松浦敬親所在不明になりたき日あり葱坊主 鹿志村のぼる古書店へ祭囃子の角曲がる 草野大作春の波大和沈みしところより 山﨑百花
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「翔臨」(編集発行:竹中宏)第83号(2015年6月)から。 彌榮浩樹「山本健吉のウロボロス―悪癖による自己侵蝕」、前号で訃が伝えられた中野真奈美の百句再録を掲載。底冷えの目玉うらがへせば朱泥 竹中 宏老白梅生まれたばかりのごとく逝き踊りはじむ父の享年過ぎてより 今小路小百合蚊柱やひらがなばかりの古今集 小山森生くれなゐの混じる祇園の霙かな 伍藤暉之少年の全身俯瞰桜かな 小林千史いつせいにデータの消ゆる春嵐 百尾庸子*****************************************************ディベルティメント第15番(モーツアルト)
「若竹」(編集発行:加古宗也)2015年8月号から。 創刊1000号記念特集号。写真復刻版「若竹」創刊号も附録につけた252ページの大冊。 特集は「加古宗也総論」と「四十代の読む鬼城」。 後者には田口茉於、杉山久子、橋本直、山根真矢、榮猿丸、津川絵理子、牛田修嗣、鴇田智哉、関悦史、関根かな、田中亜美、中村安伸、塩見恵介、明隅礼子、小林奈穂、鶴岡加苗、如月真菜、矢野玲奈が寄稿。 別に特別寄稿として「俳句は進化しているか――村上鬼城再読」。小川軽舟、栗田やすし、岸本尚毅、中村雅樹、柴田奈美が寄稿。軽暖や今も足尾に浄化槽 加古宗也麦秋や指もて試す研ぎ具合花葛やかすかにひびく揚水機鰯雲波止に鯨の神輿置く 高橋冬竹(若竹俳句賞受賞作家競詠)百名山揃へし古書肆夏に入る 市川栄司(若竹俳句賞受賞作家競詠)*****************************************************Mahler : Symphony No.8 / Inoue Michiyoshi - Nagoya Mahler Festival Orchestra
「俳句新空間」(発行:北川美美・筑紫磐井)No.4(2014年夏)から。 ウェブマガジン「blog俳句新空間」の句を紙の冊子にまとめたもの。 筑紫磐井「八月の記憶――従軍俳句の真実」を掲載。川名大との論争の続き。長崎県軍艦島に潜入タモリ一行 大本義幸レース編み蓬莱山まで急ぐなり 坂間恒子来世紀冥王星のかき氷 佐藤りえ空高き終着駅の岳樺 津髙里永子氷山の月が溶け出すウイスキー 豊里友行蜘蛛の囲やウルトラマンの来さうな夜 仲 寒蝉小突き合ふ少年の恋夏蓬 中西夕紀無意識に選ぶ卵や稲光 秦 夕美ひょうたんや世界の外に聖地ある 堀本 吟初期化せし全身全霊夏百夜 もてきまり*****************************************************軍艦島の記録
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