2015年
私家版
『花蔭論』は武藤雅治(1951 - )の小句集。
武藤雅治は歌誌「月光」会員。句集に『かみうさぎ』他。
『花蔭論』は6月13日から28日までの約2週間の躁鬱的気分変動の産物として出来たという。
はひまはる
根の
くらがりの
眼(まなこ)かな
*
古道を
あゆむに
葉むら
ふいに
さわぎぬ
*
匂ひつつ
湿れる
空や
花の陰(ほと)
*
ひとり来て
ひとり
出て行く
トイレかな
*
鮎川に
鮎が
上れば
死後となる
*
一輪の
花を
かこんで
お弔ひ
*
くらやみに
たこが
たはむれ
はしやすめ
*
全国に
金魚
一匹
夏の闇
*
砂山の
砂に
埋もれて
安保かも
*
慰安夫も
ゐない
ゐないと
兵隊が
*
しろうりを
よく食ふ
ものは
よく
嗤ふ
*
影だけを
残して
花の
伽藍堂
*
くびすぢに
息
吹きかけて
めくら坂
*
山梨に
海を
忘れて
帰宅する
*
昏れて
なほ
須藤徹よ
渚の子
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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