2015年
書肆山田
『楡時間』は打田峨者ん(1950 - )の第2句集。連作中心。去年『光速樹』が出たばかり。
他に私家版句集『暴君龍忌』(1989年)というのがあるらしい。
著者は、句柄から察しがつく通り無所属。
刳(ク)り舟に遠流(ヲンル)のミイラ 天の川
次の間にココシュカが駄馬うち時雨(シグ)れ
黒き地球儀 ヒトラー伍長の黄金分割
ベラスケス 銀器の乳に蠅溺れ
地下百階 核シェルターに夏雲雀
花冷えの象牙の耳栓 バルトーク
サティ・黒猫・ソシアル・箪笥・マカーブル
名月やルームシェアーの李白・杜甫
初富士を映してテレビ 黄金(キン)の黙(モダ)
春泥領 けふ央(ナカ)ほどの干反(ヒゾ)り初(ソ)む
恩愛や栄螺(サザエ)のわたの深みどり
円丘を旋(メグ)る巡礼 麦は黄に
そしてまた 春
骨笛を出(イ)で入(イ)る虻(アブ)よ 楡の丘
手榴弾‥ならぬ白球 つくづくし
塁満てり》海胆(ウニ)!《聳え立つ地平線
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Varèse, Ionisation, Ensemble Intercontemporain
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