2015年
私家版
喜多昭夫(1963 - )の歌集『悲しみの捨て方を教える』から。
前著『君に聞こえないラブソングを僕はいつまでも歌っている』以降の183首を収録。
著者は「つばさ短歌会」主宰、「井泉」所属。
はい、いいえ どちらを丸で囲むかで生死が決まるアンケートあり
側溝に捨てられている皺くちゃのアルミホイルは原罪だろう
手についた粘土の高い液体だ 死というやつを「坊や」と呼んだ
「しそつくね、いかがですか」と言う君に悲しみの捨て方を教える
雪の夜のスライスチーズのかなしみを頒けあうような恋をするかな
揺さぶりをかけられている「マリア像にでも欲情するんでしょ、馬鹿ッ」
たましいがよろこんでいるそのままのステップで君は改札抜ける
裸体からかがやきいづる音のあり白石茉莉奈は雪国だろう
傍らで目立たぬように手を延べて譜面をめくる人のよろしさ
宝くじ売り場の小さなボックスの中で二人は暮らしはじめる
「プラトーン」でかかってたあのアダージョだ バンドエイドでつくる十字架
何の芽がでるかわからぬ種を蒔く 次席はかなりさびしい場所だ
人生はお菓子のおまけのようなもの お菓子は神が食べてしまった
壁ドンをされてる人もする人も見ている人も恥ずかしくなる
名も知らぬ赤き小さき実を摘みき師をもつことは恋であるゆえ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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BARBER - ADAGIO FOR STRINGS - 9/11 TRIBUTE - (ALSO USED IN THE MOVIE "PLATOON") - PROMS - 2001 - VOB
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