2015年
深夜叢書社
行方克己(1944 - )の紀行文集『世界みちくさ紀行』から。
初めはカメラが主であったのが、次第に句作が増えていく。
概ね一人でツアーに参加しての旅行なので、同行者といったものはいないことが多く、旅先の予備知識もあまり仕込まないで行くらしい。
初旅のオリーヴ畑行けど行けど スペイン
スコールや廃墟いましむアナコンダ カンボジア
民といふ髭面往き来冬の暮 モロッコ
ロバの瞳にうつりて我も初景色 モロッコ
冬の汗クフの迷路を這ひ出でて エジプト
方舟をナイルに浮かべ冬の靄 エジプト
初日まみれにピラミッドてふ四角錐 エジプト
レリーフのファラオに初日及びけり エジプト
地の果てに奈落のありて滝落す 南米
一蝶の挑みてやまず滝の壁 南米
仏頭もネオンまとへり花祭 スリランカ
行く夏の靴の山なる靴一つ アウシュヴィッツ
夏雲に岩上屋を架して住む シチリア
シチリアンブルーに染まれわが夏シャツ シチリア
神殿をまろび落ちたり恋雀 シチリア
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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世界遺産アブ・シンベル神殿の移動
コメント
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