2015年
角川学芸出版
『一粒の麦』は岩崎喜美子(1930 - 2014)の第3句集にして遺句集。
岩崎喜美子は「沖」「門」同人。
昨2014年6月10日、この句集の選句を担当した鳥居真里子との電話から2時間後、急逝されたという。
鳥はひかり人は影曳き日脚伸ぶ
竹皮を脱ぐや歴史の裏おもて
木の瘤は聞き耳らしき神渡し
針山の中は我が髪久女の忌
紙風船富山の風の音したり
絵天井は池大雅や春幽し
砂文字の謎めいてをり鳥雲に
静寂の記憶忘れじ終戦日
雨に生れ雨に朽ちたる毒茸
月光に歩き出しさう雪だるま
台風接近避難させたる陶狸
SLの黒や麦の芽二寸ほど
一粒の麦が穂となる登四郎忌
秋夕焼健やかなりし今日も過去
はやばやと大蛇酔ひゐる里神楽
※本書は御遺族より寄贈を受けました。記して感謝します。
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