2015年
私家版
『神器に薔薇を』は豈同人・夏木久の句集。
それ以外の著者情報はわからず。
立春や箪笥の奥に誰かをり
春灯の厠にひびく越天楽
ゆつくりと彼女枯野を脱ぎ始む
家族みな写真に入り花筏
蛇穴に入る珈琲を淹れてから
その口が入口春の器への
クラインの壺にも愛の水中花
どう見ても歯科医帰りの芒かな
他界へはただ道なりに天高し
ふたりして髭剃る鏡には桜
言ひ忘るる階段のこと鳥雲に
風光るジャスミンティーを淹れしまま
もうすでに壺に嵌つてゐる夜長
潮騒を讃へ神器に薔薇を挿せ
車椅子春の湖ばかり見て
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Galina Ustvolskaya - Composition №2
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