閑中俳句日記（別館） －関悦史－

「静かな場所」No.14（2015年3月）

　「静かな場所」（発行：対中いずみ）No.14（2015年3月）から。

　青木亮人の連載「はるかな帰郷―田中裕明の「詩情」について―」は8回目。



金柑をつぎつぎ過(よぎ)る車掌かな　　　彌榮浩樹（招待作品）

だしまきにみやこの鴨が降りてゆく


天上の光やはらか歯朶を刈る　　　対中いずみ

いま晴れてきて水鳥のまじりあふ


残されて父の長生き野紺菊　　　満田春日

つぎつぎと違ふ蜻蛉の見えてきし　　　森賀まり

秋灯は無人の町の信号機　　　和田　悠

絨毯やブリキの車走らせて　　　木村定生






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Annie Lennox - God Bless The Child

 

「里」2015年3月号

　「里」（発行：島田牙城、編集：仲寒蝉）2015年3月号から。

　島田牙城（及び邑書林）の転居に伴い、「里」の本拠地が長野県佐久市から兵庫県尼崎市に移った。メールアドレスは従来と同じ。

　特集は「佐藤文香『君に目があり見開かれ』の開かれ方」。執筆は上田信治、堀下翔、喪字男、田中惣一郎。

　他に佐藤文香の特別作品22句とぽえむ「星とは何か」1篇を掲載。

《一句は、過去の全ての俳句との関係において書かれる。しかし、書くことはレッスンではなくダンスなのだから、俳句との距離や立ち位置は、流動するものとしてその都度選び直されるのでなければ生命を失う。俳句に選ばれるのも結構なことだけれど、書き手は、選ぶ立場で俳句をくるくる回すくらいのことをしていいのだし、それができる間だけ作家でいられるのだ》（上田信治「世界に「私」を与え直す」）

　喪字男は、一回だけ会った佐藤文香が、放送禁止用語を滑らかにアナウンスしてみせるさまに驚愕したエピソードを紹介。慣れないと驚くでしょうね。



多角形的にスキーの靴があり　　　佐藤文香（出版記念特別作品22句）

曲がれず君を巻き込み転ぶスキー我

肉塊として起き上がるスキー我


服を脱ぐとき真つ暗に紫木蓮　　　田中惣一郎

消火器の期限の中や雪の宿　　　勝又樂水

焼酎を作る午前の梅の枝　　　島田牙城

軽の皇子などじきに死ぬ懐手　　　森　貘郎

クシャミする猫の傍ら白日夢　　　高畑公鱚





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William Forsythe - Impressing the Czar Bongo Bongo Nageela

 

「陸」2015年3月号

　「陸」（発行：中村和弘）2015年3月号から。

　九堂夜想による「佐々木貴子句集『ユリウス』小論」掲載。


耕運機の轍するどく氷りおり　　　中村和弘

火祭の巨骨となりて滝氷る

胃も腸もうごめくほどに焚火かな


耳ふたつ大地悴む音の中　　　泉風信子（特別作品）

大氷柱神の指紋のやうな縞


原発の文殊菩薩へ猪独活(うど)の花　　　岩崎嘉子（特別作品）

火山灰(よな)を着しアンドロメダ荘雪来るか


寒禽や何も映さぬ水たまり　　　永井アイ子（特別作品）


心臓も干されて潤目鰯かな　　　大石雄鬼

身に入むや猫の瞳孔刃となりぬ　　　石川真木子

しぐるるや呼ばれたるごと階のぼる　　　冨田栄子


微笑いま喉を切り裂く無尽光　　　佐々木貴子

紐ひくと雪の手くびがおりてくる






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Ultravox Concert 2010 - Return To Eden Full Show

 

「草樹」第56号（2015年3月）

　「草樹」（発行：吉田成子）第56号（2015年3月号）から。

　大石悦子のエッセイ「『桂信子文集』祖述」を掲載。


戦なき世の萬歳や年忘れ　　　安澤静尾

割り切れぬ偶数として鏡餅　　　宇多喜代子

霰野や少女が光り過ぎしのみ　　　沼尻巳津子

玄関に真ッ黒な猫冬うらら　　　西村　明






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Duran Duran - New Moon On Monday

 

「紫」2015年3月号

　「紫」（発行：山﨑十生）2015年3月号から。

　巻頭の「龍門集」（主宰を含む同人作品欄）は、一句鑑賞を誌上に連載中なので省略。


風吹けば瓦礫の音すポテトチップス　　　細井美人

一本の白菊とせり冬花火　　　山田都詩

なにもかも聴いてくれそう寒卵　　　大滝徳美

枯蟷螂護摩の煙をかぶりをり　　　篠田日織






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Genesis - Abacab

 

「円錐」第64号（2015年1月）

　「円錐」（編集委員：山田耕司・今泉康弘・澤好摩・橋本七尾子）第64号（2015年1月）から。

　特集は「今さらながら前衛を語る」で同人4氏の評論のほか、澤好摩×山田耕司の対談「前衛よ さびしくはないか」他。


口笛をふく鮟鱇の白き骨　　　佐藤獅子夫

おほどかな蝶の飛びたる音を聞く　　　江川一枝

大海鼠話すとすればふらんす語　　　栗林　浩

献燈の明るむ三輪の冬の杜　　　澤　好摩

特急南風真葛ヶ原へ突っ込みぬ　　　味元昭次

交番に鯛焼の来て帰らざる　　　山田耕司

消火器は秋の日暮を喰ってきた　　　原田浩佑





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Frankie Goes To Hollywood - Welcome To The Pleasuredome (The Escape Act)

 

「連衆」No.70（2015年2月）

　「連衆」（編集：谷口慎也）No.70（2015年2月）から。

　今号の巻頭言は五島高資。


蝶二頭重なる沼の荒涼に　　　後藤貴子

くじらを森に帰す時間だ鐘が鳴る　　　内田真理子


黒南風や木馬が数騎走りだし　　　夏木　久（特別作品）

梟は永遠の駅長である影絵　　　谷口慎也（特別作品）


サントリー「角」牡蠣飯は熱し　　　瀬戸正洋

気がつけば空にマネキンいなくなり　　　萩　瑞枝






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herb alpert - rise 1979

 

「秋草」2015年3月号

　「秋草」（発行編集：山口昭男）2015年3月号から。


煤の紐見事に水を弾きをり　　　山口昭男

寒林へいつもの日ざしとはちがふ


かはたれの雨に狐の匂ひなど　　　橋本石火

羽つかふことのさみしき冬鴎　　　三輪小春

忘年や大きな窓に夜があり　　　飯島かほる

冬ざくら戸をあけてゐて誰も居ず　　　宗方やよい

真二つの林檎蜜濃き降誕祭　　　岡村りつ子





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Thelonious Monk in Oslo (15-04-1966),Charlie Rouse,Larry Gales,Ben Riley

 

「澤」2015年3月号

　「澤」（発行：小澤實、編集：望月とし江）2015年3月号から。


かがみもちは大蛇のまなこしらじらと　　　小澤　實

老い神の腰おろしたり鏡餅

寒鯉の心の臓呑みおろしけり


あな面白あな清(さやけ)とぞたゞあそべ　　　高橋睦郎（新竪題）


交尾後の蟷螂雄の喉より食ぶ　　　松本孝子

電柱にイタコの案内津軽冬　　　片岡昌子

豆餅にブルーチーズと生醤油と　　　中井亜由






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Roxy Music - Avalon

 

「鷹」2015年3月号

　「鷹」（発行：小川軽舟）2015年3月号から。

　特集は「『ここが知りたい！俳句入門』を読む（上）」。

　黒澤あき緒の俳句時評は望月周句集『白日』、鴇田智哉句集『凧と円柱』について。


便箋はインクに目覚め冬の山　　　小川軽舟

遊ぶ子を知らぬ砂場よ日脚伸ぶ


冬木立そこに飯島晴子さん　　　星野石雀

イヤホンのラヴェルのボレロ冬北斗　　　細谷ふみを


初春や酒に国の名峠の名　　　永島靖子

ぼんやりと抱かれてをれば木菟が鳴く　　　三代寿美代

月光の押し通りけり梅の村　　　兼城　雄

人形に靴やリボンや冬館　　　髙柳克弘

ソドムは滅び渋谷は栄え冬薔薇






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Robert Palmer - Full Concert - 10/13/79 - Capitol Theatre (OFFICIAL)