彩流社から『荒巻義雄メタSF全集』の刊行が始まったので、30年ぶりくらいで荒巻義雄の初期作品をまとめて読み返している。山尾悠子やアンナ・カヴァンの復刊に比べてマニア人気が沸き立っていないように見えるのだが、後年、伝奇ものや艦隊ものを量産していたイメージが強いためか。
しばらく離れていたBLものなどもぼつぼつ読み始めた。
江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』春陽文庫・1987年
《下宿屋東栄館の屋根裏を歩きまわるのはだれか? それは犯罪嗜好癖をもつぶ気味な男・郷田三郎であった。かれは天井裏の小さな節穴から毒薬を落とし、下に寝ていた同宿者のひとりを殺した。自殺としてかたづけられようとしたこの事件を、郷田三郎が犯した奇妙な犯罪と見破った明敏な推理力の持ち主こそ、しろうと名探偵明智小五郎であった。
おなじみ明智小五郎探偵が登場する傑作中編「屋根裏の散歩者」(大正十四年発表)!
内部を鏡ではりつめた奇想天外な球体の中で発狂する青年の恐怖を描いて、読者のキモを冷やす名作として世評も高い「鏡地獄」(大正十五年発表)! 等々……。
七編の秀作短編を収録し、江戸川乱歩(1895~1965)の妖美な世界を構成する傑作集!》
収録作品=鏡地獄/押絵と旅する男/火星の運河/目羅博士の不思議な犯罪/虫/屋根裏の散歩者/疑惑
江戸川乱歩『魔術師』春陽文庫・1987年
《探偵小説の一大金字塔! 不滅の足跡を遺す巨星・江戸川乱歩の長編傑作!
しばしの休養のため湖畔のホテルにやってきた名探偵明智小五郎は、東京の大宝石商の娘玉村妙子と知り合ったが、それが玉村家の怪事件へかかわり合うことになる始まりだった。
玉村宝石王の実弟福田得二郎のところへ簡単な数字の幽霊通信がきはじめた。それが「三」となったとき得二郎は自室で殺され、血まみれの死体から首が奪われていた!
白鬚橋付近の大川を生首が流れ、その首をのせた板には「獄門舟」とかかれていた!
悪魔の手にとらえられた明智小五郎の運命は風前の灯であった! そこへ出現した怪しの道化師! 玉村家を次々に襲う復讐鬼のねらうものは? 尽きせぬ興味で物語は核心へ!》
松本清張『波の塔』カッパ・ノベルス・1960年
《青年検事・小野木喬夫は結城頼子という美しい女と知り合った。偶然のめぐり合いから二人は深く愛し合うようになったが、連絡はいつも頼子からなされる一片通行であり、住所や生活は何も知らされていない。彼女の落ちついた動作や身につけている着物は贅沢な環境と人妻であることを推察させた。小野木は何度か頼子の境遇を聞こうとしたが果たせない。一方、小野木の所属する東京地検特捜部は密告からR省の汚職事件を摑んだ。内偵をすすめる小野木は、思わぬ場面で頼子の素性を知った……。》
《『波の塔』は、松本清張がはじめて世に問う異色の長編恋愛小説であり、千二百枚の本格的ロマンである。
“女性を描くこと”そして“恋愛を描くこと”これはやはり作家にとって永遠のテーマであろう。
本格長編推理小説『点と線』の著者が、『日本の黒い霧』のような仕事を押しすすめながら、一方では、この作品において、純粋な恋愛が現実の機構の中で敗れ去る姿を描いたことは、じつは、非常に意味のあることと言える。というのも『波の塔』は、「推理小説の手法を応用することによって成功した恋愛小説」だからである。》
《松本清張の文学の魅力には旅が犬きな要素を占めている。本書でも、ヒロインが最後に姿を消す青木ガ原の樹海は、一躍自殺の名所となったほどである。小説の舞台としてある場所を選ぶ場合、作者は一度は行ったほうがよいが、二度は行くべきでないというのが氏の持論である。第一印象の新鮮さを尊重するからだろう。》
波の塔 - Wikipedia
松本清張『点と線』カッパ・ノベルス・1960年
《中途でやめられない 作家曽野綾子
私はこの小説のおかけで風邪をひいてしまった。早く眠ろう眠ろうと思いながら、気になってどうしても中途でやめられない。一息に読んで、翌朝目がさめたら、喉が痛かった。全く罪な小説である。
私は暗号符丁や見取り図や数字の出てくる探偵小説が無性に好きなのだが、久しぶりでそのダイゴ味も十文味わうことができた。とにかく、恐ろしくそくそくと身近に感じられる探偵小説だ。》
《九州は博多から北海道にまたがって列車時刻表を駆使した、いわゆる本格ものの新風である。キビキビとしたわかりやすい“文章を鍛えた魅力”も大切な要素になっている。(昭和33年2月20日朝日新聞評)
よくもこんなめんどうな調査をと感服する。足で書いた推理小説といってよかろう。意外性を好む読者への配慮もあって、本職の推理小説家をタジタジさせる風格である。(昭和33年2月20目毎日新聞評)》
《『点と線』は、長い本格的なものを書きたいという、私の最初の試みである。長編として習作程度のものと思っていたが意外に多くの反響があった。その後『眼の壁』『蒼い描点』『ゼロの焦点』など長編もいくつか書いたが、やはり『点と線』はぼくにとっては一番なつかしい作品である。
「著者のことば」》
荒巻義雄『白き日旅立てば不死―定本荒巻義雄メタSF全集 第3巻』彩流社・2014年
《1972年に発表された荒巻義雄の原点ともいうべき作品。1973年、第1回泉鏡花文学賞の最終候補作品でもある。》(「BOOK」データベースより)
荒巻義雄メタSF全集 | 彩流社
荒巻義雄『聖シュテファン寺院の鐘の音は―定本荒巻義雄メタSF全集 第4巻』彩流社・2014年
《第1回配本の『白き日旅立てば不死』の14年後の世界が描かれた長編小説。荒巻ファンには、「白樹シリーズ」として知られている。永遠の恋人であるソフィーを求めて、ウィーン、そして“異界”を彷徨う主人公・白樹直哉の行く先は…。純文学とSF作品の間を行き来しているかのごとき傑作が完全版で! 》(「BOOK」データベースより)
荒巻義雄『時の葦舟―定本荒巻義雄メタSF全集 第5巻』彩流社・2015年
《『時の葦舟』は、日本SFの一つの到達点を示した“連作長編”。四つの世界を、時空を超えて漂い流れる「時の葦舟」…。時空が変わるたびに変転する登場人物たち…。夢を通して語られる世界の秘密とは…?“幻想SF”とでも呼ぶべき独特な荒巻ワールド! 》(「BOOK」データベースより)
フィリップ・K・ディック&レイ・ネルスン『ガニメデ支配』創元SF文庫・2014年
《星間戦争に敗北し、ガニメデ人に占領された地球。だが人類には希望があった。テネシーの山中で、戦前から抑圧されてきた黒人たちを率いる抵抗勢力の指導者が反撃の機会を窺っていたのだ。一方、異端の天才精神科医が開発したものの、だれも使用したことのない最終兵器が発見された……。種の生存を賭けた空前の幻覚兵器大戦! 本邦初訳長編。訳者あとがき=佐藤龍雄/解説=牧眞司》
赤瀬川原平『オブジェを持った無産者―赤瀬川原平の文章』河出書房新社・2015年
《美術史上最大のニセ札事件!法廷、メディア、社会をも「作品」と化した戦後最大の芸術作品=模型千円札事件。被告である赤瀬川みずから事件を記述し、文筆家・赤瀬川原平の誕生を告げる幻のデビュー作。1970年の現代思潮社版を復刻!付録=瀧口修造による零頁「原型的な黒いユーモア」》(「BOOK」データベースより)
中沢新一編著『吉本隆明の経済学』筑摩選書・2014年
《吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとまったかたちで取り出されなかったその思考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。》(「BOOK」データベースより)
G・ガルシア・マルケス+M・バルガス・ジョサ『疎外と叛逆―ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話』水声社・2014年
《厳密な理論派で文学への熱い情熱を隠さないM・バルガス・ジョサと、辛辣な知性から諧謔的ユーモアを繰り出すG・ガルシア・マルケス、現代ラテンアメリカ作家の頂点2人による若かりし頃の貴重な対談。“ラテンアメリカ小説の稀代の語り部らが、自作の秘密を明かす。”鼓直。バルガス・ジョサによるガルシア・マルケス論の白眉「アラカタカからマコンドへ」、文学への誠実な態度が垣間みえる「バルガス・ジョサへのインタビュー」を収録。》(「BOOK」データベースより)
多和田葉子『献灯使』講談社・2014年
《鎖国を続ける「日本」では老人は百歳を過ぎても健康で、子供たちは学校まで歩く体力もない―子供たちに託された“希望の灯”とは?未曾有の“超現実”近未来小説集。》(「BOOK」データベースより)
収録作品=献灯使/韋駄天どこまでも/不死の島/彼岸/動物たちのバベル
書評:献灯使 [著]多和田葉子 - 佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
『献灯使』をめぐって---『献灯使』著・多和田葉子 | 読書人の雑誌『本』より | 現代ビジネス [講談社]
パトリック・モディアノ『ある青春』白水Uブックス・2014年
《はたちになろうとしていた、あの頃…兵役あがりのルイと歌手志望のオディールは、パリのサン・ラザール駅で出会い、恋に落ちた。そして十代最後の日々を、ふたりは、夢を追いながらも「大人の事情」に転がされていった―。パリから遠く離れて、いまや山荘で幸せな家庭を築くふたりの過去には、はたして何があったのか?ゴンクール賞に輝いた『暗いブティック通り』につづく、受賞後第一作。醇乎たるパッションが胸を打ち、香り立つフェティシズムが読者の記憶をもよびさます、新ノーベル文学賞作家による青春小説!モーシェ・ミズラヒ監督による同名映画の原作。》(「BOOK」データベースより)
山村正夫『湯殿山麓呪い村(上)』角川文庫・1984年(角川小説賞)
《「語らざるべし、聞かざるべし」
出羽三霊山の一つ湯殿山の麓にある大師村弥勒寺には、古くからこの戒律が言い伝えられていた。だが、この謎めいた言葉の裏に、驚くべき事実が潜んでいたのである。
それは今から180年前、人殺しの罪で追われていた川普請人足を、匿まった寺の憎たちが謀殺しむりやり、即身仏(ミイラ)に仕立てあげたというものだ。そのミイラは、今だに弥勒寺の地下の石室に埋葬されたまま祀られ、幽海上人と命名されている……。
非業の死をとげたミイラの呪いが現代に甦り、恐怖の連続殺人を巻き起こす。角川小説賞受賞の伝奇本格推理。》
山村正夫『湯殿山麓呪い村(下)』角川文庫・1984年(角川小説賞)
《レトルト食品の大手メーカー『アルプス食品』の社長淡路剛造が、自宅の浴室で何者かに撲殺された。現場はいわゆる密室状態で、浴室のガラス戸は内側から施錠されており、小窓が開いていたものの、大人では絶対に侵入不可能な小さなものだった。
だが、この事件をさらに奇怪にしたのは、犯人がこれ見よがしに置いていった遺留品である。それは茶褐色にひからびたミイラ状の人間の指であった。淡路家と関りのある、光華学園大学史学科助手の滝連太郎は、親友の警視庁捜査一課の大曾根警部と事件解決に乗り出したのだが……。
角川小説賞受賞の傑作伝奇本格推理。》
赤江瀑『オイディプスの刃』角川文庫・1979年(角川小説賞)
《惨劇は、明るい陽光のふり注ぐ夏の日の午後、大迫家に起こった。……
庭木立の、赤いハンモックにまどろむ、刀研師秋浜泰邦の若々しい肉体に振りおろされた名刀「次吉」の白刃、その刃で胸を突いた母の死、それに続く、父の割腹。白日夢に似た三つの死は、大迫家を一挙に瓦解させ、残された異母兄弟三人は別々の人生を歩むことになったが……。
美貌の母と妖刀「備前次吉」の魔力と、疑惑の花「ラベンダー」の芳潤な香りに魅かれて運命を狂わす三人の兄弟を描き、妖美華麗なロマンの世界を織りなす、俊英初の長編小説。第一回角川小説賞受賞作。》
フレデリック・フォーサイス『シェパード』角川文庫・1982年
《クリスマス・イブ、若いパイロットの操縦するヴァンパイヤ戦闘機が基地を飛び立った。故郷での楽しいクリスマスが待っている…。
事故は北海上空、高度1万フィートで発生した。すべての計器が止まったのだ。眼下は一面の霧の海。ヴァンパイヤは方向を失い、漆黒の空間を漂う無力な鉄の棺と化した。
その時、霧の中から一橋のモスキートが! 救援機“シェパード”だった。シェパードに導かれ、ヴァンパイアは無事生還した。だが、基地でパイロットを侍っていたのは、まったく意外な物語だった
「殺人完了」「ブラック・レター」を併録する、フォーサイス傑作中編集。》
収録作品=ブラック・レター/殺人完了/シェパード
横溝正史『大迷宮』角川文庫・1979年
《「あっ、ベッドの天井が!」滋の叫び声に振り向いた謙三は、思わず息を呑んだ。剣太郎少年が寝ている箱型ベッドの天井が、蓋のように音もなく下りてきたのだ。蓋がしまれば窒息してしまう。二人は慌てて剣太郎を助け出そうとしたが、もう遅かった……。
サイクリングの途中、激しい夕立ちに遭った立花滋少年と従兄の謙三は、丘の上の古びた洋館に泊めてもらった。剥製の動物がぎっしりと陳列された無気味な動物室をはじめ、奇怪な造りをしたその建物には、十年前、行方不明になった世界的なサーカス王の遺児、剣太郎が家人と共に住んでいた。
推理ジュブナイル不朽の名作!》
西村寿行『魔の牙』角川文庫・1983年
《生きるか死ぬかの状態に追い込まれたとき、人々の心に起きる凄絶な葛藤と、他を省みない非人間的な行為――
それは、台風を避けて、十数人の男女が閉じ込められた南アルプス山中の湯治場での出来事だった……。
風雨は荒れ狂って土砂は建物を押し潰そうとし、加えて周囲には、不気味な獣たちが襲撃しようと徘徊していた。そして人々の中には、銀行強盗とそれを追う刑事をはじめ、暴力団、女子学生、新婚夫婦らが含まれていた。
極限状態にある人間たちのその姿を非情に、そして赤裸々に描ききった、西村寿行文学の最高峰。》
谷村新司『蜩』角川文庫・1980年
《はかなく短い生命しか持たない蜩のように、青春は束の間にすぎさってゆく。人が気づいた時、それは美しく輝きながら、思い出のはるかかなたに飛び去っているのだ。
谷村新司の心に映った青春――コンサート会場で出会った人々、旅先でふれた暖かい心、街角の小さな喫茶店でのくつろぎ、そして、一人ぼっちの真夜中――。
迷い、怒り、泣き、笑い、傷ついた若さのありったけを、谷村新司がまるごと語る素晴らしきエッセー。》
荒巻義雄・合田一道『義経伝説推理行』徳間文庫・1993年
《彗星のごと歴史の檜舞台に登場し、天稟の機略によって平家一門を殲滅、しかし兄・頼朝の不興を蒙り、悲劇の最期を迎えたうたかたの英雄・義経。史書に記された足跡はわずか八年余。生涯の儚さゆえに数々の物語・伝説が生まれた。
義経生存を裏付ける伝承は、今も東北以北の各地に残る。長年月にわたる丹念な史料検索と伝承の渉猟により、陸奥の地にもう一つの歴史風景を望観する、歴史ロマン紀行。》
西村京太郎『オホーツク殺人ルート』講談社ノベルス・1984年
《アルバイトの北海道取材旅行を終えて行方を絶った女子大生の平田みどりは、サロマ湖畔の砂丘に埋められていた。同じ頃、行方不明になっていた作詞家の岩下久仁子も、伊豆下田の海に遺体となって浮かんだ。二つの殺人事件に翳を落す脚本家・有末吾郎。二つの地点を結ぶ殺人ルートの謎を追う新シリーズ旅行推理。》
《著者のことば
久しぶりの書下ろしということと、江戸川乱歩賞作家シリーズということで張り切って書きました。
舞台は、北海道。犯人が計画した殺人ルートを、十津川警部が、解明します。犯人と警察のチエ比べに、読者の皆さんも、参加して、楽しんで下さい。
昭和40年「天使の傷痕」で第11回江戸川乱歩賞受賞》
水戸泉『RING~恋愛連鎖~』白泉社花丸文庫・2005年
《不死王と恐れられた父がクーデターに斃れ、ユースは一転、惨めな囚われの身となった。それでも王子の誇りを失わない彼を、かつてユースが想いを寄せていた近衛隊長のライナスが冷たく蹂躙する。無理やり昂ぶらせた欲望を魔性のリングで封じる甘美な責め苦に、ユースは…。神秘の大陸・アガスティアを舞台に展開する3つのハードラブストーリー!》
斑鳩サハラ『月夜の恋奇譚』徳間AMキャラ文庫・1998年
《災難は招き猫から始まった――。親友の夜月から、由緒ありげな招き猫を貰った冬巳。その夜、なんとそいつが銀髪の美形に変化!! おまけに、やけに高飛車な態度で、「一発犯らせろ」だってェ!? なんとか逃げはしたものの、今度は夜月からも「好きだ」とキスされ、押し倒されて……。あ~ん、どうしてこんなことに!? ちょっとフ・シ・ギなハートフル学園ラブ❤ 》
橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司『おどろきの中国』講談社現代新書・2013年
《「中国が、こんなに存在感を増しているのに、私たちは中国のことを知らない。中国についてとてつもなく饒舌に語られているのに、日本人を含む中国の外の者には、中国という社会がわからない。……中国は、日本のすぐ隣にあって、歴史的にも深いつながりがあるのに、現在の日本人にとって、西洋以上に謎である。」(まえがきより)》
川田順造『富士山と三味線―文化とは何か』青土社・2013年
《富士山の「文化遺産」登録に沸く日本。一方で、猛威を振るうグローバリゼーションによって、数限りない民族の言語・伝統・習俗が消滅の危機にある。失われる文化・廃れる慣習が内包する豊かさを文化人類学者として目撃し、文化とは何か、人間とは誰かを、数多くのエピソードで思索する。》(「BOOK」データベースより)
横溝正史『毒の矢』角川文庫・1976年
《高級住宅街録ヶ丘町一帯に、突然、悪意に満ちた奇怪な密告状が舞い込み始めた。差出人は黄金の矢と名乗る謎の人物。はじめは、たちの悪いイタズラと笑い過していた人々も、殺人事件が起こるにいたり、たちまち恐怖のどん底に叩き落された。
被害者はアメリカ帰りの富裕な未亡人で、むき出しの背中に彫られたトランプ散らしの刺青のうちハートのクイーンの部分を、無気味なからす羽根の矢が深々と刺し貫いていた!
金田一耕助の名推理が冴える怪奇ミステリーの傑作、ほか一篇を収録。》
収録作品=毒の矢/黒い翼
高木彬光『人形はなぜ殺される』角川文庫・1974年
《衆人環視の中で、鍵のかかったガラス箱から蒸発してしまっだ“人形の首”。その直後、突発した殺人事件の現場には、無惨な首なし死体と行方不明の人形の首が転がっていた。名探偵、神津恭介への悪魔からの挑戦状か。
殺人を犯す前に、必ず残酷な人形劇で殺人予告をするという大胆不敵な凶悪犯の正体は?
復讐に燃える犯人の陰惨な罠、奇怪な謎に挑む、本格推理小説の傑作!》
高将にぐん『魔女っ子サラリーマン』プラチナ文庫アリス・2009年
《平凡なサラリーマンの弘文に、ある日手渡された母の形見――それは【魔法少女るりか】に変身する魔法のステッキだった! 次々と起こる問題を魔法で解決する弘文。が、その変身後の姿に取引先の社長・江南が一目惚れ。普段は傲慢なくせに、実は恋に不器用な江南に、弘文は少しずつ惹かれていく。だけど、江南が好きなのはるりかで、本当の自分じゃない――。切ない気持ちを抱えた弘文に、いとこのトーヤ(マスコットのパンダに変身)が好きだと告白してきて…!? 豪華袋とじは、飛び出す立体カラーピンナップ。》
トニ・モリスン『ホーム』早川書房・2014年
《元兵士のフランクは戦争の悪夢から逃れられず虚ろな日々を送っていた。しかしある日、妹のシーが勤め先で病床にあるという知らせが彼のもとに届く。シーを迎えに行ったフランクは、ともに帰郷しようと決める。小さく息苦しかった故郷の町、ロータスを出たいがために、昔の彼は入隊したのだが…。1960年代のアメリカを舞台に傷を負った兄妹の旅路を描いた、ノーベル賞作家による静かな慰めに満ちた物語。》(「BOOK」データベースより)
坂本龍一・鈴木邦男『愛国者の憂鬱』金曜日・2014年
《教授、右翼と何の密談ですか?脱原発、天皇制、音楽の起源―。世間がアベノミクスに浮かれ、レイシズムの言葉が飛び交う中、危機感に駆られた2人が緊急会合!10時間にわたり思いを語り尽くした。》(「BOOK」データベースより)
荒巻義雄『殺意の明王―魔界戦記Ⅰ』ケイブンシャ文庫・1990年
《闇将軍の異名を持ち、党外にありながらも、依然として与党改憲党に巨大な勢力を維持する司婆栄。彼は次期合衆国大統領候補、カーリー・リンガムと手を組み、世界制覇の野望に燃え、配下の「ヒカゲ党」を繰り、闇の世界で暗躍していた。だが、その汚れた野望を知った秘密結社「アミダ党」は、司婆を阻止すべく立ち上がった。現代に甦る、善神と悪神の戦い! スーパー伝奇シリーズ第一弾!!》
荒巻義雄『悪魔の議定書―魔界戦記Ⅱ』ケイブンシャ文庫・1990年
《ニューヨークに本部をもつ新興宗教「アポカリプス」教団――は、全世界から選ばれた悪魔たちによって結成された邪悪な存在だった。この邪悪な教団の日本侵攻を察知した、不動明雄をはじめとする善神たちの秘密結社「アミダ」党のメンバーは敢然と立ち上がった……! スーパー伝奇シリーズ第二弾。》
中原昌也『知的生き方教室』文藝春秋・2014年
《世界文学を更新する、破格の長篇小説
文学の荒野をひとり行く中原昌也が、ついに長篇小説を世に問う。もはや世界のどこにも存在しない人間の意識の描出に挑む問題作。》
菊地成孔 中原昌也『知的生き方教室』を絶賛する
池田満寿夫・広中平祐『数学とエロチシズム』講談社文庫・1979年
《科学と芸術。一見、相反する性格を侍つ分野だが、実在に右方されない自在な発想が必要なのは、共通しているという。文化勲章受章の数学者広中平祐、美とエロスの追求者池田満寿夫。世界を活躍の場とする両者が、数学的思考について、美とエロスについて語る。異色の組合せを得て展開する華麗な知的饗宴の世界。》
星新一『きまぐれ暦』新潮文庫・1979年
《地震対策に東京で原爆を爆発させたらどうか。デノミの際には〈円〉のかわりに〈尺〉を単位にしてはどうか。歴史は現在から過去へと逆に教えたほうがいいのではないか。――旅、ギャンブル、食物、言葉、酒、漫画などの身近な話題をとり上げ、ひとひねり半の考察を加えたウィットあふれるエッセー集。頑固な頭もたちまちもみほぐし、発想の転換をうながす愉快な話のコレクション。》
嵐山光三郎『新廃線紀行』光文社・2009年
《廃線旅行は、ノスタルジアではなく、命がけの探険となる。写真・イラスト550点収録。平成廃線から戦前廃線まで全国26路線を踏破。》(「BOOK」データベースより)
内田樹『日本の身体』新潮社・2014年
《日本人には固有の身体技法がある。使うほどに発見がある、私達のからだ。運用の達人、12人との名物対談集! 》(「BOOK」データベースより)
*****************************************************
荒巻義雄「荒巻義雄メタSF全集」を動画で紹介!
荒巻義雄「荒巻義雄メタSF全集」荒巻義雄【紹介動画】
「定本荒巻義雄メタSF全集 時の葦舟」荒巻義雄
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。