【十五句抄出】河内静魚句集『風月』

2014年
文學の森


　『風月』は河内静魚（1950 - ）の第5句集。

　河内静魚は「馬酔木」「寒雷」を経て2004年「毬」創刊主宰。



どの雲もスローモーションソーダ水

碧すぎて動かぬ海やバルコニー

一月の光チーズの切口に

倒れ込む岬の影や花菜畑

更衣雲のかるさになつてゐる

濡れてなほ豪華水着の花模様

蒲公英の上をいくども人の影

ふらここに清少納言なら乗らん

貝がらに影つきやすき晩夏かな

ラーメンのとんと置かれて秋来たり

傾いてかさと音する冬菜籠

点滴の針新しき二日かな

帆のやうに照らされてをり夏の月

さくさくと西瓜の空気噛まれけり

陶磁器の簡潔をもて秋に処す






※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。






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