2014年
私家版
『磯貝碧蹄館 遺句集』は磯貝碧蹄館(1924 - 2013)の第10句集『未哭微笑』以後の作品約1,300句から334句を、「握手」編集長であった朝吹英和がまとめたもの。碧蹄館は第11句集の構想を練っていたが、実現を見ないまま亡くなったという。
心房に鉄臭こもる冬ざくろ
鼠蹊部より入りくる管に薫風あれ
志戸呂壺より弦楽鳴りぬ貝やぐら ※志戸呂壺は骨壺のこと
海の外れに心霊瓜を二つ持つ
水晶玉の霊視へ霧が立ちこめる
みそか蕎麦明日臨終の夜が白む 「【涅槃曲】妻 徳子元日に急逝」より
蠟人形の蹠に野火の猛り来ぬ
夜ざくらや膀胱にある水あかり
人身御供の娘に生えよ蝶の羽
遠花火河童の皿に映りけり
野ざらしの髑髏に餅の粉を化粧ふ
十二使徒の遺伝子蝉に受け継がる
鞦韆は首を切る音傾しぐ空
青野におかる無人オルガン我を俟つ
砂山や蛇は尻尾と遊びける
※本書は編者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Sofia Gubaidulina - Sonata for double bass and piano - Daniele Roccato, Fabrizio Ottaviucci
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