2014年
ふらんす堂
『幻燈』は岩崎信子(1940 - )の第1句集。序文は矢島渚男。
作者は「梟」同人で、1959年テレビ・ラジオ草創期以来の信越放送のアナウンサー。
点々と春竜胆のクリスタル
寄居虫の貝着せ替える男あり
春寂し録音室の残響も
花あんず遠回りして御覧なんし
虫動くほたるぶくろの幻燈機
蛇が寄る女の髪を焼きし穴
物憂げなちいさき瞼蛇の衣
五・一五事件
拘禁に狂いし父や青嵐
手捻りの陶土くったり手毬花
うまいかと問えば首肯(うなず)く秋のゴリラ
土塊と化し鈴虫の卵あり
ピラニアの釣り捨てられて蓼の花
チュウチュウと寒蜆吸い夫が居る
中村真一郎さん
純文学(ジュンブン)は食えないよ君冬の薔薇
榾ゆらぐピザ職人にみみず腫れ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Beethoven: Piano sonata no. 17 in D minor - The tempest | Maria João Pires
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