2008年
沖積舎
『硝子器に春の影みち』は、攝津幸彦の盟友にして「豈」創刊同人でもある大本義幸(1945 - )の、実質上の全句集。
大本義幸の来し方等については豈weeklyの高山れおな評が詳しい。
刃物研いで顔写してみる母の留守
ひとりで歩くと闇がつめよる思春期の
泥土に生まれて母かやわらかき唇をもつ
飽食の島よ傷んだ虹を国ともよんだ
少女と逢う陰茎のやや美しき美術館
硝子器に風は充ちてよこの国に死なむ
愛咬の歯型となりし鰯雲
不眠都市、血管は錆びたまま佇っていたか
マフラーを頂きまする幸彦の
月光の 微量の 死 海の雪(マリンスノー)
三島忌の花屋の奥の波止場かな
肛門にどこかしたしい赤トンボ
桜前線すこし遅れて装甲車
初夢や象がでてゆく針の穴
海をてらす雷(らい)よくるしめ少年はいつもそう
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The John Coltrane Quartet My Favorite Things Belgium, 1965
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