「鬣」(代表:林桂、編集:水野真由美)2014年5月号から。
特集は第12回鬣TATEGAMI俳句賞。
この雑誌、評論や何かが毎号充実しているので、ゆっくり読もうと思っては後回しにして、結局取り上げられないで終わってしまったりもするのだが、今回は俳句時評で外山一機が第4回不器男賞のことを書いているので、紹介しておかないわけにいかない。
外山さんも私の呼びかけに応じて公開選考会当日、手伝いに来てくれていたのだが、他の結社誌等の時評と違い、選考経過への批判を含んでいる。
《(……)震災を詠んでいるとかいないとかいうことがそのその作品の評価に多少なりとも関わっているということを示唆しているのであって、そのような前提をもって行われる審査に僕は鼻白んだのである。(……)少なくとも、受賞者なしでは困る、と進行役が発言するような審査は異常だと思うし、受賞者というものがそのようにして捻りだされるものであるのなら、受賞とは名誉ではなく恥であると思う。》
《とはいえ、(……)同賞の功績は決して看過すべきものではあるまい。いわゆる俳句の「目利き」不在の昨今にあって、彼ら(引用者註、冨田拓也、御中虫他)のような書き手が登場するシステムは同賞以外にほとんど見当たらないのである。》
《最後に、そうした予選通過作品のなかから生駒大祐の作品をとりあげておきたい。もしも「田中裕明」以後という言葉があるならば、生駒はその以後において最も展開を期待すべき書き手の一人であると思う。
あやとりに橋現はるる夕立かな
鶏頭花手話に独言なかりける
にはとりの首見えてゐる障子かな
一目見ていさよひの夜は明るかり
洛外へ煙うつろふ菜漬かな》(外山一機 俳句時評「ひとつの不信感」)
峠
いまも
船霊煮える
狼煙あり 深代 響
*
空までの数列つづく遺書を書く 西躰かずよし
*
断崖(きりぎし)に
今生(こんじやう)の紺(こん)
極(きは)まりぬ 中里夏彦
*
海(うみ)遠(とほ)く
揺れをり
百合(ゆり)の芽(め)の
深紅(しんく) 林 桂
*
月光に影がしたたるお茶の水 齋藤礎英
全滅の馬あらはれて上洛す 堀込 学
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Eurythmics - This City never Sleeps
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