「ジャム・セッション」(編集発行・江里昭彦)第3号(2013年6月)から。
江里昭彦と、中川智正死刑囚2人の同人誌だが、第3号はゲストとして高木晶子の10句が巻頭に。
梅雨の傘うねり無遅刻無欠勤 高木晶子
中川、江里はそれぞれ16句、8句と、エッセイを掲載。
河馬にさも似ん 服薬確認に口開けて 中川智正
雨含み雲湧く 松本の夜のごとく
中川智正の句は長い前書きを持つものが多く、1句目には以下の前書きあり。
《動物園の河馬は、歯を磨いてもらうとき、口を開けていた。拘置所にいる私は、配られた薬を確かに呑んだかどうか、刑務官に口を開けて見せなければならない》
エッセイには立て替え以前の拘置所の話が出てくる。虫が多いが、猫も餌をねだりに来たようだ。
《餌をやってはいけないという規則が印刷されてありましたので、そういう事をしていた人も沢山いたのでしょう。実際、猫に餌をやったために、一人部屋の中で何日かじっと座り続ける懲罰を与えられた人もいました。猫は窓毎に収容者が違うということも知っていました。また、私が餌をやらないと分かったら、二度と窓枠には乗ってきませんでした。》
心臓のような球根平壌(ピョンヤン)へ 江里昭彦
はばたきを聴くため母と橋に佇(た)ち
*
「ジャム・セッション」は年2回のみ発行、部数は250部、しかも非売品。
江里氏のあとがきによると、この禁欲的な数字は、遺族の処罰感情などに配慮し、死刑囚作品の発表の仕方に一定の節度を求めるべく、あえて課したものという。
江里氏本人は普段インターネットはやらないそうなのだが、外山一機氏と私がネットに記事を上げたので、それを見て問い合わせた人が何人かいたらしい。
読まれたい(であろう)作者と、発表時の節度とのジレンマを緩和する可能性を江里氏はネットに見出している。
江里昭彦と、中川智正死刑囚2人の同人誌だが、第3号はゲストとして高木晶子の10句が巻頭に。
梅雨の傘うねり無遅刻無欠勤 高木晶子
中川、江里はそれぞれ16句、8句と、エッセイを掲載。
河馬にさも似ん 服薬確認に口開けて 中川智正
雨含み雲湧く 松本の夜のごとく
中川智正の句は長い前書きを持つものが多く、1句目には以下の前書きあり。
《動物園の河馬は、歯を磨いてもらうとき、口を開けていた。拘置所にいる私は、配られた薬を確かに呑んだかどうか、刑務官に口を開けて見せなければならない》
エッセイには立て替え以前の拘置所の話が出てくる。虫が多いが、猫も餌をねだりに来たようだ。
《餌をやってはいけないという規則が印刷されてありましたので、そういう事をしていた人も沢山いたのでしょう。実際、猫に餌をやったために、一人部屋の中で何日かじっと座り続ける懲罰を与えられた人もいました。猫は窓毎に収容者が違うということも知っていました。また、私が餌をやらないと分かったら、二度と窓枠には乗ってきませんでした。》
心臓のような球根平壌(ピョンヤン)へ 江里昭彦
はばたきを聴くため母と橋に佇(た)ち
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「ジャム・セッション」は年2回のみ発行、部数は250部、しかも非売品。
江里氏のあとがきによると、この禁欲的な数字は、遺族の処罰感情などに配慮し、死刑囚作品の発表の仕方に一定の節度を求めるべく、あえて課したものという。
江里氏本人は普段インターネットはやらないそうなのだが、外山一機氏と私がネットに記事を上げたので、それを見て問い合わせた人が何人かいたらしい。
読まれたい(であろう)作者と、発表時の節度とのジレンマを緩和する可能性を江里氏はネットに見出している。
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