閑中俳句日記(別館) -関悦史-
日々つれづれの中、目にした句集などについて取り上げていきます。
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2013年6 月11日 (火)
「陸」2013年6月号
「陸」(発行、中村和弘)2013年6月号から。
長滝を雲に架けたる熊野かな 中村和弘
瓦礫といふ言葉の中の彼岸かな 町山直由
巨船発ちゆきし空間二月尽 淺沼眞規子
いくつもの電極つけて春眠す 淺見玲子
教会の窓は縦長雪降れり 大石雄鬼
蜆汁縄文びとも殻のこす 今田 述
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Morphine - Early To Bed
「東大俳句」第1号(2013年3月)
「東大俳句」第1号(2013年3月)から。
東京大学学生俳句会から発刊されたばかりの、若手中心の冊子。発行=村越敦、編集=今泉礼奈、イラスト・デザイ
ン=野口ま綾。
創刊号の参加者は、有馬明人、日原傳、岸本尚毅、明隅礼子、生駒大祐(※)、上田信治(※)、大野道夫、栗林浩
、佐藤文香、澤田和弥、しなだしん、野口る理、山口優夢、今泉礼奈(※)、越智友亮、小野あらた、千倉由穂、野口
ま綾、平井岳人、福田若之、堀田季何、村越敦(※)、森篤史。
※印のついた4名は句+短文とは別にエッセイも寄稿。
必ずしも東大卒業者・在学者に限られるわけではないらしい。
算額の円の赤白去年今年 有馬明人
蠟梅の甘く冷たく昔めく 岸本尚毅
星探すとき紅梅を見上げたり 明隅礼子
梅林に水なかりける暮光かな 生駒大祐
石鹸玉作る機械と眼鏡の人 上田信治
藁干され好きな人ゐる心地かな 佐藤文香
入学やどの先輩もうさん臭い 澤田和弥
咲くものを見上げ見下ろし入学す 野口る理
ご飯おかはりテレビとは死を映さざる 山口優夢
永き日の家長のような顔をする 越智友亮
壺焼の一滴垂るる炎かな 小野あらた
平泳ぎ昨日の分も放電す 野口ま綾
学校がたくさんの窓だから蝶 福田若之
草摘みぬ舌を引抜く非情もて 堀田季何
iPhoneが世界のぜんぶつくしんぼ 村越 敦
卒業写真みな眩しげに笑ひけり 森 篤史
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Alice Sara Ott Liszt La Campanella
「円座」2013年6月
「円座」(発行、武藤紀子/編集、中田剛・小川もも子)2013年6月から。
橘の実のつめたさは鳥のため 武藤紀子
瀧音の谺のなかや蕗の薹
ぶらんこのはじめ並びて漕ぎにけり 中田 剛
部屋割りの図をもらひけり花の昼 牛嶋尚子
書に溺れ古書店出ればなごり雪 大西誠一
青木亮人の連載「刻まれた句、漂う夢」第5回では、新興俳句と同時期の、しかしそれらとは異なる埋もれた俳誌から
、暮らしの中の戦争を詠んだ句が拾われている。
戦線の映写を見て
雪に這へる兵士の気息にわれも触る 素歩(「樹海」)
支那事変聖戦博覧会所見
軽爆機翼休めたり春光に 照岳(「早春」)
凱旋の兵あり木ノ芽晴るゝ街 武包(「青嵐」)
さらに新興俳句の俳誌「広場」昭和13年6月号から渡辺白泉「支那事変群作」の一部を引いて注目すべき号だったとし
つつ、
《しかし、俳句史や新興俳句云々とは別のところで個人的に胸を打たれたのは、同じ「広場」の次の連作であっ
た》
と、飯島新松子なる俳人の、(事情不明ながら)子との別れを描いた連作が引かれている。
ひとりとなる 飯島新松子
春光に睫のながき児が笑ふ
春風に重たく腕にねぶりたり
車窓に振る手と別れ来てあをきうみ
しんかんと絵本が残り春の昏
春ゆふべ麦めしを噛むひとりとなる
たしかに大局ではなく個人の喜怒哀楽に基づきながら、表現は清新。
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Eric Dolphy and Charles Mingus - Live in Oslo 1964 - frammento
「小熊座」2013年6月号
「小熊座」(発行、高野ムツオ)2013年6月号から。
朧夜や何処に立ちてもマグマ上 高野ムツオ
生るることなかりし詩片春の雲
無くてよいものにこの世や花の闇
春嶺や追悼の青憤怒の青
きらきらと塩の結晶太宰の日 佐々木とみ子
息絶えてから白魚の光り出す 篠原 飄
地下鉄が繋がる都会雁帰る 越高飛騨男
生きるとは爪を切ること青葉騒 佐藤成之
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Tom Waits - Downtown Train
「都市」2013年6月号
「都市」(発行編集・中西夕紀)2013年6月号から。
都市五周年筑紫磐井講演会『題いろいろ』を掲載。
《ともかくここで言いたかったのは、季題が日本の俳句の根幹になったのは、やっぱり題詠と言うものが長いこと伝わって、それも短歌では明治維新の時に題詠とおさらばしたが、俳句だけは題詠を続けている、その結果、次々に新しい題を、現代を詠むために生んできました。》
蜂とても顔のいろいろ来ては去る 中西夕紀
内科三番声の良き医師朝桜
以下、「特別作品」から。
ふはふはとはぐれ蛍や岬みち 杉本奈津子
初燕仮設住宅案内図 三森 梢
鯉の来て池の深さや花筏 森 有也
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Aretha Franklin - Freeway Of Love
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