新葉館出版
新家完司川柳集（六）『平成二十五年』から。
駅の名を覚えて忘れ旅続く
おもしろい空だいろいろ降ってくる
黙禱をすると津波が現れる
被災地の寒さを思いながら寝る
花の下ぼくは割り箸配る役
トトロとかポニョになろうよぼくたちも
生態は知らぬがうまいホタルイカ
経本のどこを開けてもわからない
褒め言葉だけを反芻する涎
飲み屋から飲み屋へ優雅なる散歩
宝だが身体に悪い飲み仲間
ゴキブリが旨けりゃ飼育するのだが
ゴキブリに生まれかわればどうしよう
ぼけたのかみんな美人に見えてきた
歳の差婚ごくろうさまでございます
最近はカラスばっかり撮っている
トンボにはトンボのほとけさまがいる
度が過ぎる風呂の鏡のリアリズム
その句ではあきまへんなと言うポスト
きたないねシュークリームのはんぶんこ
卒寿まで生きてメザシの味になる
あきらめたとき美しくなるこの世
川柳作品集は機知が中心となる分、俳句などよりも作者のキャラクターがわかりにくいものという印象があったが、新家さんの本は、生活感情と言葉が混然一体となって作者の風貌がどっしりあり、しかも作品として自立している。
大柄で茫洋たるユーモアが心地良い。
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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Peter Gabriel - Sledgehammer
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