「岳」2012年3月号

「岳」（宮坂静生主宰）2012年3月号から。


セーターに顔出るまでの自己嫌悪　　　宮坂静生

皹(あかぎれ)のその深淵に父と母


越年を蝶の如くにもつれをり　　　小林貴子

流雪溝水の暗きに雪投ず　　　久保美智子

己が頸に引かれ白鳥飛びゆけり　　　ビュニャールしづ子


以下、第12回ケルン賞発表から。
ケルン賞は同人の年鑑業績の顕彰で前山賞（同人賞）と岳俳句会賞（新人賞）の中間に位するという。


大き貌もて寒鮒の釣られたる　　　五味真穂

猫の眼の翡翠色や雪催


初氷高さの違ふ杭に鳥　　　野口美智子

山襞のはきはきと晴れ更衣



巻頭に主宰近刊句集数冊から一句ずつ引くページがあり『六十億本の回転する曲がつた棒』からは《六月や輝くものに可燃ゴミ》が採られた。
今まであまり馴染みがなかったが、160ページを超えており結社誌としてはかなり厚い。




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