「遊牧」(代表・塩野谷仁)2012年2月号から。
初めて実見する雑誌だが82ページと結社誌としては厚め。
巻頭の「遠交近交(33)」に塩野谷仁による『俳コレ』の紹介あり。《……今の俳句界に投じた一石とみて間違いあるまい。大きな波紋が生じることを大いに期待したい》。
以下、「特別作品」から。
動物園前この列はうどん屋へ 矢野千代子
象の足裏肉に塩ふるよう獣医
ぞんぶんに複眼である山茶花さかん
ことだまのなかに天狗のたまごかな 坂間恒子
デューラーの視線たしかに虫の闇
爬虫類太らせている陽の骨片(かけら)
白山茶花突然左利きとなる
被爆川岸ときどき動き蛇の衣 みちのくたろう
以下、「同人作品」から。
唇はしずかな廃墟冬の蜂 清水 伶
家は愛蒲団は恋と思し召す 鈴木孝信
炎天にマラカス響きブラックコーヒー 田井淑江
指美しき手袋 葉巻 指ぎつね 高野礼子
地球儀が自転しそうな寒月光 田浪富布
鯛焼や上杉謙信女性説 峠谷清広
理不尽の階段終る冬青草 蓮田双川
冬帽子とうにマンボは終わっていた 大畑 等
短日の回転ドアからオウムガイ 黒田 崖
あたたかしハシビロコウを見にゆこう 小髙桂子
「好句を探る(44)」で大畑等さんが拙句集から《祖母を押さえその肉襞を父と見き》という胃カメラ検査中の介護句を取り上げてくれていたが、「父と」が「父とともに」ではなく「父のように」と読まれていたのが意外だった。
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Grace Jones - Love Is The Drug
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