紀伊国屋書店新宿本店で俳句本フェア(という多分珍しいもの)が開催されている。
ただ俳句の本を並べたわけではない。
題して「アナザー文学の現在――俳句を読まなきゃ文学は語れない」フェアという。
企画したのは新宿本店の梅﨑実奈さん。
週刊俳句のSST特集のときに榮猿丸論を書いてくれた人である。
《このフェアは、二部構成です。
第一部は、これから俳句を読んでみようと思う方のためのいわば、「読書案内」です。今回は特に、ここ数年で登場しはじめた新しい作家の俳句を読むことができる本を選びました。(そのなかでも特に注目していきたい作家を紹介したフリーペーパーも別途、ご用意しています。)
第二部は、そもそもなぜこのようなフェアを行うのか、すなわちなぜいま俳句なのか、ということを考えるための本を選びました。俳句の本は、ほとんどありません。おそらく俳句は、"もうひとつの文学"と呼びたくなるようななにか不思議な魅力と、ほかにはどこにもない特徴とを持っている、そのことを探る手がかりになりそうな本たちです。》
この二部の本の選び方がクセモノなのだ。
ロラン・バルト、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、イタロ・カルヴィーノ、ヴラジ−ミル・ナボコフ、宮川淳、多和田葉子……(紀伊国屋のサイトにリストが上がっているので詳しくはそちらを参照)。
今までほとんど読者の視野に入ってくることのなかった現代の世界文学としての俳句が、選書という形をとった多方通行路により、浮上してくることになる。
そういう企みを秘めた、極めて創造性に富んだフェアである。
日程上、会期中に私も一度は立ち寄ることができそう。
それにしても
こうして、〈俳句〉のおかげで人類は救われた。
――J・L・ボルヘス『アトラス 迷宮のボルヘス』
『アトラス』は大分前に一度読んだはずだが、この文句、一体どこにどういう文脈で出てくるのであったか。
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サミュエル・ベケット『芝居』(Samuel Beckett - Play)
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