「円錐」第51号(2011年秋)から。
編集後記に注目の告知。
基金を募って300部だけが制作された糸大八句集『白桃』に残部あり、購入希望者には1部2,000円(送料とも)で頒布するという。購入希望は「円錐」発行所(澤好摩氏)まで申込を。
『白桃』については週刊俳句時評の拙稿参照。
麦飯を大盛にして部屋広し 橋本七尾子
サンダルの革ひも長く砂丘かな 荒井みづえ
台風の目ルドンの目玉親父の目 大和まな
ぽろつくや鶯張りは賑えり 矢上新八
「ぽろつく」は画家のジャクソン・ポロックのことか。その場合、キャンバスを立てずに床に寝かせ、その上を絵具を垂らし歩いて制作した画家と、鶯張りの廊下との歩行の連想による取り合わせとなる。
それとは別に「ポロツク公国」というのも現在のベラルーシにあったらしいのだが。
渚ゆく馬が一頭広重忌 味元昭次
寂しさに熊笹アイス舐めてをる 澤 好摩
スカイツリーに檸檬もちゆきてもて帰る 今泉康弘
梶井基次郎に倣いつつ「爆弾」はしかけず、渡邊白泉をなぞってただ「もちゆきてもて帰る」。スカイツリーへの屈折した感情が表れているにもかかわらず句としては「スカイツリー」と「檸檬」とが妙に清新さを放散。今号発表の一連の掉尾には《父よ 沖には スカイツリーの廃墟かな》の句も。
レバーミノタンハツカシラヒヤシンス 山田耕司
ヒヤシンスまで焼いて食われそうで、そういう世界もあるのだろうという気にも少しなる。
原爆の煙は白し髪洗ふ 佐藤獅子夫
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NUSRAT FATEH ALI KHAN LIVE IN LONDON
(今泉康弘が、ヌスラット・ファテ・アリー・ハーンのコンサートで、先般亡くなった中村とうように遭遇したエピソードを編集後記に書いている)
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