詩誌「ガニメデ」No.53(2011年12月)から。
俳句はこの何号か変わらない顔ぶれで、林和清、鳴戸奈菜、恩田侑布子、関悦史、増田まさみ。
短歌は槇弥生子、栃本泰雄、片野喜代美、和泉てる子、鳴海宥、川田茂が各々数十句(数十首)。
俳句時評・恩田侑布子、短歌時評・鳴海宥も載り、巻頭はたなかあきみつ訳のヨシフ・ブロツキイ(本誌の購読希望は三月書房へ)。
踏み入れて気づくここから霜の界 林和清
全焼の寺一本のまむし草 鳴戸奈菜
古池や水に濡れたる緋鯉に真鯉
三人でしゃがむが寂し萩明り
冬日和牛の居所は鳶に聞け
胎内にもどる竹林ふたつ抜け 増田まさみ
中空のまま死なせてと夕顔は
干からびて蚯蚓は国を逃れけり
天涯にしたたる糸瓜コロンかな
好きなのは青紫蘇、名誉なき男 恩田侑布子
瞑りても渦なすものを薔薇とよぶ
をろかなる恋枯瀧に落葉溜め
墨を磨る太刀打ちできぬ月光に
天空へ何を届けむ堆き積乱雲に立つスプライト 川田 茂
この「スプライト」は註がついていた。清涼飲料水のことではなく、《積乱雲(雷雲)から地上へはしる稲光と同様にして上空に放電される光》のことらしい。
レクイエム夏の扉をぎいと開けガラのなきがらダリのぬけがら 栃本泰雄
みだれ降る紙幣にまどふどの足もその泥濘に靴を汚して 鳴海 宥
巻末に新連載の告知。
次号54号より、「高岡修の俳句進化論講座《詠下ろしⅤ句自註》」が始まるとのこと。
高岡修氏からは近著『死者の鏡』を恵贈いただいているのだが、まだ何も書けていない。
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Leonard Cohen - Dance Me To The End of Love
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