「円錐」第50号は「戦後派俳人の出発と終焉(1)」と「「円錐」50号に寄せて」の特集2本立て。
前者は評論だけではなく、《戦後派と呼ばれる俳人の作品から100句を選出し、毎号にわたり、同人による句評を行う。多様な読解こそが企画の本体であるため、戦後派のベスト100句を決定版として開示しようとする主旨とは一線を画す。100句は、澤好摩同人を中心とする編集部で選出した》(編集部・山田耕司)という企画の第1弾。
毎号5句ずつで、100句完了に5年かかるという、歴史的立ち位置への意識に富んだこの同人誌ならではの遠大な企画で、初回に選ばれたのは《春宵の衣桁に何もなかりけり 清崎敏郎》《いつせいに柱の燃ゆる都かな 三橋敏雄》《本丸に立てば二の丸花の中 上村占魚》《かなしきかな性病院の煙突(けむりだし) 鈴木六林男》《火を投げし如くに雲や朴の花 野見山朱鳥》の5句。
以下、作品から。
兄の駅ははの停車場独活咲きぬ 柴勇起男
蛇の衣垂れて生家の消えにけり 味元昭次
青松(せいしょう) 横山康夫
緑苔(りょくたい)
ばうばうと鳴(な)る
壜(びん)の口(くち)
春逝くや匙もて均す砂糖壺 栗林 浩
発火点となれないあじさいばかり 大和まな
幽霊やからりと春の牡蠣フライ 山田耕司
冬の海生まれる前に見た光 今泉康弘
梅雨晴間背面跳びをする女 澤 好摩
黄金の蜥蜴を探す十五の夏 佐藤獅子夫
「円錐」創刊20周年同人総会のお知らせも掲載されていた。10月8日(土)の総会だけではなく翌日、シンポジウムもあるらしい。
2011年10月9日(日)
受付=午後1時、シンポジウム(午後1時半~4時)、祝賀会(午後4時半~7時)
会場=アルカディア・市ヶ谷(JR中央線・総武線市ヶ谷駅徒歩2分)、シンポジウム・祝賀会とも4F、鳳凰の間
テーマ=「俳句とメディア」
パネラー=恩田侑布子・高山れおな・岸本尚毅/司会=山田耕司
会費/シンポジウムと祝賀会=10,000円、シンポジウムのみ=1,000円
希望者により二次会、会費3,000円程度
申込は9月10日までに編集部まで(編集委員=糸大八・橋本七尾子・山田耕司、編集兼発行所=澤好摩)。
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