先日の朗読イベント「言葉を信じる 夏」でお目にかかった財部鳥子さんから「鶺鴒通信」という小冊子を頂いた。
ホチキス止めの薄い雑誌で全22ページ。
詩、俳句、随筆が並んでいて、目次は以下の通り。
鶫/記憶……加藤幸子
日は空に……鳴戸奈菜
きりぎりす……馬慶珍
葱嶺まで……財部鳥子
海上と陸上の交通の混じりあい……金山麻美
【航海日記】某月某日4……財部鳥子
あとがき
鳴戸さんは7句ほどを寄せている。
出る入るわたしの庭のかわゆい蛇よ 鳴戸奈菜
以前の「蛇」は象徴的な重みを担って出てくることが多かった気がするがここでは「かわゆい蛇」になってしまって、より軽い自在な境地に進みつつあるというべきか。
財部さんの「【航海日記】某月某日」は続き物らしくて、船旅のなか、図書室の「北海道新聞」で「福田首相突然の辞任!」という見出しを見て、「なんという恥知らずな」とつぶやく「八十歳の雪子さん」なる人物が出てくる。
前後の文脈がわからないので、むかしNHK-FMでやっていた、洋楽の間に朗読を入れるスタイルの「クロスオーバー・イレブン」を聴いているのに近い気分。
1996年にノーベル文学賞を受賞したポーランドの詩人、ヴィスワヴァ・シンボルスカは受賞講演で「どんな不出来なものでも、量をちょっぴりにして差し出せば、我慢しやすくなる」とユーモラスに述べたそうだが、じっさい冊子というものは、適度に薄いと、なんとなく端から端まで読んでしまう。
朗読イベント当日、財部さんにも名刺をお渡ししたが、財部さんは名刺を持っていないとのことだった。
今回わざわざ新しく作ったのを、冊子と一緒に送ってくださった。
出来たばかりの名詞は、左隅に鳥のカットが入っていた。
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