「草樹」32号(2011年3月発行、妹尾健編集・吉田成子発行)から。
巻頭の「桂信子の一句」は《花種を蒔いてみつめるただの土》(鑑賞文は吉田成子)。
作品欄がⅠからⅤまであり、一見薄い雑誌なのにかなりの収録句数。
作品Ⅰから。
三月の疎林親しきおもいして 宇多喜代子
炉の灰で「いろは」を教へ先に死ぬ 大西静城
かざはなや白磁を満たす能登の酒 貝塚放朗
息白く先ゆく我を遠見せり 沼尻巳津子
凩や菜屑埋めし土光る 吉田成子
作品Ⅱから。
作品Ⅱ、Ⅲは一人一句宇多喜代子の共鳴句に「※」印が振られる。
クリムトの絵をじっとみる三島の忌 上野草魚子
立冬の温めてゆるむ瓶の蓋 片岡由子
作品Ⅲから。
獣めくキウイフルーツころがり来 山根綾子
葉にくるみ泥の蓮根届けらる 横山ゑみ
風の中忘れられたる干菜かな 小畑陽子
函館の路面電車や秋の海 城戸よし子
宇野千代の下駄に残りし足袋のあと 縄岡千代子
作品Ⅳから。ここは渡辺和弘選で、注目句のみ太字で印刷されている。
雪吊の縄の混みあふ水の面 森岡一子
しばらくを沖の暗さに冬の虹 渡辺奈緒美
帽子屋の明治のミシン秋深む 井上百合子
石垣を割る松の根や水澄めり 藤井幸子
作品Ⅴから。ここは大西静城選。同じく注目句は太字で印刷。
立冬や洋酒に隣る皮表紙 小原芳子
かりがねや湖中の鳥居くれ残る 北野 妙
露草を描く遺品のガラスペン 前田典子
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「草樹」は、購入できますか。
購入できる方法を教えてください
猪塚廣海
投稿情報: 猪塚廣海 | 2011年12 月20日 (火) 11:26
猪塚廣海様
出句しない単純購入というのが可能かどうかはわかりませんが、発行所連絡先をお教えすることはできますので、お手数ですが下記の私のアドレスまでメールいただけますでしょうか。
[email protected]
投稿情報: 関悦史 | 2011年12 月20日 (火) 14:19