竹中宏編集発行の「翔臨」第69号(2010年10月31日発行)から。
虎杖が立ち廃屋にギプス立ち 竹中 宏
炎えて棄てし館素(しら)みぬ竹の秋
出家羅睺羅(らごら)したたりの引く赤土(はに)の香(かざ)
羅睺羅は釈迦の十大弟子の一人で、十六羅漢の一人。出家前に釈迦がもうけた実子で、仏像としては自分の手で腹を両側へ開き、体内に蔵した仏を顕した奇怪な形にも造られる。
パソコンを日々とり囲み竹が散り
地はわびし百合よこたはる大工箱
◆
初日記殺したものらに囲まれて 今小路小百合
鉾建つる縄の血管切れまじく 岩井未知
浮く龜に夏の終りの空の音 中島 博
嬰のセーターケーキのやうなひよこ色 中野真奈美
蛇の目傘開き破るる虎が雨 上羽美津子
甘藍切れば羅馬落つる日のコロッセオ 小笠原信
端午かなボクシングジム女子一人 八島惠理
まつたくは暮れぬ山なみ夏料理 島田刀根夫
玄関を横切る光と秋の蛇 小林千史
音立てず蝉の殻降る二つ三つ 中田 剛
熱帯夜動画サイトの特攻機 上野遊馬
てのひらの蚊の血は母の血ならむ 小山森生
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