「里」2010年11月号から。
「小林苑を句集『点る』出版記念会参加記」森泉理文という一文があって、私も当日参加していたのだが、これのおかげで顔と名前が一致したという人が何人かいた。
昭和史の半分に居た穴惑 小豆澤裕子
買ひだめの煙草身に入むいのちかな 太田直之
これは直前の「癌告知」の句があり境涯と時事を詠み込んだものらしい。
牛レバーの中の空洞秋の暮 松本加代子
君が故郷は枕より雪出づる國 佐藤文香
全員が7句1組で発表しているのだが、これは7句全体の前書きとして「高橋睦郎『百枕』を読みて」とあり、全句「枕」入り。
石ころに小鳥の温みありにけり 小林苑を
秋麗にボタン電池を解放す 本田鈴雨
秋風や毛虫這ひずる大広間 長谷川晃
空一面女体をおほふ鰯雲 伊嶋淡々
秋出水漫画を買ひに行けぬなり 上田信治
真葛原よりコトコトと小海線 狼耳
柱より壁のしたしき秋の暮 仲寒蝉
三人はひとりとふたり曼珠沙華 河西志帆
友に似る案山子のそばを通りけり 高橋達幸
ある時は墨の匂ひの花野かな 椎史果
月光のやがて分厚き野面かな 男波弘志
これは7句全体に「「ライオンとキリスト」舞踏 土方巽」の前書きあり。この男波弘志氏と先の上田信治氏は来月出る『超新撰21』の入集作家。
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