邑書林
2010年
頂いた本に添えられていた挨拶状によると、編者畑毅氏の奥様畑洋子さんは去年52歳の若さで亡くなったとのこと。
『花心』は亡くなった奥様の生け花の写真集に句友たちの句を添えた追悼の一冊で、他に編者の師匠中原道夫の句集『緑廊(パーゴラ)』にも弔句《はるあさしもどりてこぬかゆめぢより》があるという。中身の見本が版元の掲示板に出ている。
四季順の配列で、編者自身の収録句は《生初(いけぞめ)の水にしづもる相(すがた)かな 畑毅》《待春や花心に触るる花鋏》の二句のみ。
椎の花満開鰹来てをらむ 谷口智行
あぢさゐを白に戻れぬゆゑ愛す 亀田憲壱
音立てて蓮(はちす)の露のこぼれけり 三浦尚子
秋草の花とも見えぬ花ゆたか 櫂未知子
くつきりと群青色の鉢に菊 原 和人
戦(そよ)ぐとは露草のこの花の数 仲 寒蝉
氷湖に活けむ一本の赤き花 島田牙城
写真と俳句の他に、色鮮やかな野菜等のスケッチ、それと統計情報教育に関する短い論文「野菜の秘密」を併収。これは野菜嫌いの子供たちが給食の野菜各種の残量やその栄養上の働きを発表していくうちに、結果として意識が変わり野菜を残す量が減っていく経過をまとめたというもので、統計学の知識がなくとも読める平易なもの。
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関 悦史 様
邑書林のHP以外に紹介していただいたページがあることを知りました。
最後にもう一句の載せています。
待春や花心に触るる花鋏 畑 毅
銀化と里でぼつぼつ俳句をやっています。
掲載を感謝申し上げます。
投稿情報: 畑 毅 | 2010年11 月23日 (火) 12:22
畑 毅様
あ、見落としがありましたか。失礼しました。
コメントありがとうございます。
私も祖母を看取ってから一人暮らしですが、喪失感の深さが伝わる一冊でした。お悔やみもうしあげます。
投稿情報: 関悦史 | 2010年11 月24日 (水) 00:48