「俳誌五七五」は高橋修宏編集発行で今月創刊。
創刊号は宗田安正、谷口慎也、江里昭彦、高橋修宏の俳句に、高橋裕の短歌、さらに評論では高橋修宏の柿本多映論と、高島裕による高橋修宏句集『蜜楼』論を掲載。少人数ながら重量感がある。
巻頭にジャズサックス奏者阿部薫の「季節を超えるスピード感を持ちたい」の言を掲げる。
ひとり野に雲雀あやつる吉岡実 宗田安正(「冥府」30句から)
そこに着くまでに燃えなむ蝸牛
山河のこと解き明かす空蝉は
ゆらゆらと落日あがる夏の原
永遠に厠は病みぬ竹の秋 谷口慎也(「流離譚」30句から)
花冷えの押せば倒れる峠かな
蝸牛踏まれ三界はみ出しぬ
花氷死して手脚の開き方
膝曲げて脱ぐわかものに百合の意志 江里昭彦(「人生は美しい」27句から)
産卵のはじまる海に靴を投げ
グァテマラに蘂湧きあがる花を見き
来るわ来るわ魯迅の家鴨集いたり
オゾンホール抜けて蓬莱島眺む 高橋修宏(「電子地母」94句から)
あかときの試験管より春怒涛
蝶ひそむ衛星写真祀らばや
電波受け陰陽石の大旱
はんざきの君や銀河を産湯とし
会つてすぐ剖(ひら)いて見せてくれるのか。胸の裡なる錆の王国 高島裕(「終日(ひねもす)の水」30首から)
煤けたるステンドグラス、裏庭に黒百合か否鴉(カラス)の屍骸
軒先の護符気に入つて撮つてゐるあなたを匿(かく)さねば――世間(セケン)から
創刊号は宗田安正、谷口慎也、江里昭彦、高橋修宏の俳句に、高橋裕の短歌、さらに評論では高橋修宏の柿本多映論と、高島裕による高橋修宏句集『蜜楼』論を掲載。少人数ながら重量感がある。
巻頭にジャズサックス奏者阿部薫の「季節を超えるスピード感を持ちたい」の言を掲げる。
ひとり野に雲雀あやつる吉岡実 宗田安正(「冥府」30句から)
そこに着くまでに燃えなむ蝸牛
山河のこと解き明かす空蝉は
ゆらゆらと落日あがる夏の原
永遠に厠は病みぬ竹の秋 谷口慎也(「流離譚」30句から)
花冷えの押せば倒れる峠かな
蝸牛踏まれ三界はみ出しぬ
花氷死して手脚の開き方
膝曲げて脱ぐわかものに百合の意志 江里昭彦(「人生は美しい」27句から)
産卵のはじまる海に靴を投げ
グァテマラに蘂湧きあがる花を見き
来るわ来るわ魯迅の家鴨集いたり
オゾンホール抜けて蓬莱島眺む 高橋修宏(「電子地母」94句から)
あかときの試験管より春怒涛
蝶ひそむ衛星写真祀らばや
電波受け陰陽石の大旱
はんざきの君や銀河を産湯とし
会つてすぐ剖(ひら)いて見せてくれるのか。胸の裡なる錆の王国 高島裕(「終日(ひねもす)の水」30首から)
煤けたるステンドグラス、裏庭に黒百合か否鴉(カラス)の屍骸
軒先の護符気に入つて撮つてゐるあなたを匿(かく)さねば――世間(セケン)から
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