近藤書店
1958年
古舘曹人の第1句集。「妻の灯」(昭和25年以前、学徒出陣の句なども含む)「蟷螂の屍」(昭和26-27年)「森の色」(28-29年)「翁の碑」(30-31年)「ノサップ岬」(31-32年)の5部から成る。序文・山口青邨。
灯を入れて燈籠の絵のなきところ
蟲の戸を叩けば妻の灯がともる
涼しと言へば天文台に反響す
人われを蟷螂と呼ぶ許すまじ
掻き集むわが子の骨と菊の灰
蟷螂の一枚の屍のうすみどり
火事を見るわが獣心は火を怖れ
火事の夜は狐の影絵して遊ぶ
惜春の妻を黒白にして撮す
寝台車に朝刊が来る青田の中
古暦焼き生涯を雇はるる
地に響き屍ほどの雪落ちぬ
蜆売に開かぬ戸そこに犬も濡れ
春日おく駅と乞食と事務所(オフィス)の間
皿に蝦髭立て雪に降りこもる
踊り散じ山の何処かに土星の輪
蛸の眼と蛸の足屑柱冱て
鱈下げて駅の鏡に背を写す
いま手元にあるのは昭和59年の再版本だが158ページがなく、代わりに148ページが2回出てくる。その裏側にあたる157ページはまともに印刷されているので、製本時の乱丁ではなく印刷時の間違いか。
なお打ち込みの際に大部分新字体にしてしまったが原文は全部旧字。
1958年
古舘曹人の第1句集。「妻の灯」(昭和25年以前、学徒出陣の句なども含む)「蟷螂の屍」(昭和26-27年)「森の色」(28-29年)「翁の碑」(30-31年)「ノサップ岬」(31-32年)の5部から成る。序文・山口青邨。
灯を入れて燈籠の絵のなきところ
蟲の戸を叩けば妻の灯がともる
涼しと言へば天文台に反響す
人われを蟷螂と呼ぶ許すまじ
掻き集むわが子の骨と菊の灰
蟷螂の一枚の屍のうすみどり
火事を見るわが獣心は火を怖れ
火事の夜は狐の影絵して遊ぶ
惜春の妻を黒白にして撮す
寝台車に朝刊が来る青田の中
古暦焼き生涯を雇はるる
地に響き屍ほどの雪落ちぬ
蜆売に開かぬ戸そこに犬も濡れ
春日おく駅と乞食と事務所(オフィス)の間
皿に蝦髭立て雪に降りこもる
踊り散じ山の何処かに土星の輪
蛸の眼と蛸の足屑柱冱て
鱈下げて駅の鏡に背を写す
いま手元にあるのは昭和59年の再版本だが158ページがなく、代わりに148ページが2回出てくる。その裏側にあたる157ページはまともに印刷されているので、製本時の乱丁ではなく印刷時の間違いか。
なお打ち込みの際に大部分新字体にしてしまったが原文は全部旧字。
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