「塵風」は斉田仁発行、西田書店発売の雑誌でサブカルチャー雑誌風の誌面作りで第2号の特集は「風景」。一見して俳句雑誌には見えず、今号では漫画家高野文子へのインタビューなども掲載している。
創刊号の特集テーマは「無頼」だったらしい。巻末に山口優夢と谷雄介が創刊号の読後評を寄せている。
色道に堕ちたる亀の鳴きにけり 斉田仁
べたつきし蠅捕紙と大東亜
新宿に富士山遠し十二月 雪我狂流
あをぞらや竜舌蘭を鉈で打つ 長谷川裕
高さうなホテル大きな作り滝 さいばら天気
県道に俺の毛布が捨ててある
レプリカの巨鯨春風駘蕩区 烏鷺坊
老狼の老婆喰らいて池の月 宇野亞喜良
緑陰に置かれて蓋のない薬缶 啞々砂
湯豆腐や小さくなって地方都市 井口吾郎
百円で奈良の某家の柿を買う 井口栞
変死体型の流木天の川 烏鷺坊
毛布着て遠い目ごつこして遊ぶ
思春期ののつぴきならぬ獅子頭
秋高しカンバスに海鳥の影 加藤浩平
手のひらにのりて頭蓋や万愚節 笠井亞子
工場は夜を灯せり貝割菜
山眠りたり鍋肌にこすり跡
出目金に見つめられてか猫座る 小林暢夫
百年を上野の森に棲む冬日 小林苑を
木の実落つハシビロコウの屈託に
夕暮れの散歩すべてのドアの秘密 近藤十四郎
便所にて昼の時間のまま死ぬる
ふふふふと笑えば椿落ちにけり 斉田仁
どんみりと縄を垂らして暮春の木
屏風絵にうなづく毛皮娘かな さいばら天気
毛皮娘月島くらゐまでは徒歩
こおろぎが赤く小さく舌出せり 三枝ことり
文庫本河原に朽ちし梅雨晴間 子青
コスモス揺れて自己中心の男なり 鈴木真理子
描きかけの古いカンヴァス明治節 赤土
白魚や病もありて四姉妹 貞華
貝割菜育つ老婆の八百屋かな
マゼランの留守の鳥籠夏光る 月犬
菊人形を見てゐる大川周明 東人
平和裡に敬老会は終りけり
電車から見る大阪の運動会
水の輪に小蟹の迅さ交叉せり 中嶋いづる
新涼や並びて光る軍鶏の肉
オムレツの月がくたりと跨線橋 長谷川裕
詩を読まむ映画を撮らむ鰯雲 槇
雑木のごとき鳥かご暗原小鳥店 皆川燈
雨月なりかつて神棚なりし棚 村田篠
虫の夜の蔵の階段上りけり
捨てし湯に地の痩せたるや冬隣 桃児
ハシビロコウ
創刊号の特集テーマは「無頼」だったらしい。巻末に山口優夢と谷雄介が創刊号の読後評を寄せている。
色道に堕ちたる亀の鳴きにけり 斉田仁
べたつきし蠅捕紙と大東亜
新宿に富士山遠し十二月 雪我狂流
あをぞらや竜舌蘭を鉈で打つ 長谷川裕
高さうなホテル大きな作り滝 さいばら天気
県道に俺の毛布が捨ててある
レプリカの巨鯨春風駘蕩区 烏鷺坊
老狼の老婆喰らいて池の月 宇野亞喜良
緑陰に置かれて蓋のない薬缶 啞々砂
湯豆腐や小さくなって地方都市 井口吾郎
百円で奈良の某家の柿を買う 井口栞
変死体型の流木天の川 烏鷺坊
毛布着て遠い目ごつこして遊ぶ
思春期ののつぴきならぬ獅子頭
秋高しカンバスに海鳥の影 加藤浩平
手のひらにのりて頭蓋や万愚節 笠井亞子
工場は夜を灯せり貝割菜
山眠りたり鍋肌にこすり跡
出目金に見つめられてか猫座る 小林暢夫
百年を上野の森に棲む冬日 小林苑を
木の実落つハシビロコウの屈託に
夕暮れの散歩すべてのドアの秘密 近藤十四郎
便所にて昼の時間のまま死ぬる
ふふふふと笑えば椿落ちにけり 斉田仁
どんみりと縄を垂らして暮春の木
屏風絵にうなづく毛皮娘かな さいばら天気
毛皮娘月島くらゐまでは徒歩
こおろぎが赤く小さく舌出せり 三枝ことり
文庫本河原に朽ちし梅雨晴間 子青
コスモス揺れて自己中心の男なり 鈴木真理子
描きかけの古いカンヴァス明治節 赤土
白魚や病もありて四姉妹 貞華
貝割菜育つ老婆の八百屋かな
マゼランの留守の鳥籠夏光る 月犬
菊人形を見てゐる大川周明 東人
平和裡に敬老会は終りけり
電車から見る大阪の運動会
水の輪に小蟹の迅さ交叉せり 中嶋いづる
新涼や並びて光る軍鶏の肉
オムレツの月がくたりと跨線橋 長谷川裕
詩を読まむ映画を撮らむ鰯雲 槇
雑木のごとき鳥かご暗原小鳥店 皆川燈
雨月なりかつて神棚なりし棚 村田篠
虫の夜の蔵の階段上りけり
捨てし湯に地の痩せたるや冬隣 桃児
ハシビロコウ
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