三枝桂子氏の個人誌「SASKIA」の1~7号をある人からまとめて見せていただく機会があったので、そこから取りあえず抜粋のみ。
1号に収められた短文によると、三枝氏は投句し始めた「琴座」が一年もたたないうちに終刊になってしまい、永田耕衣には会わずじまいとなったとのこと。その後「らん」にも参加されている。
大寒だから身体から山姥 三枝桂子
凱歌かな骨見せ合つてゐる冬木
狂わされしは雪洞の灯と雪と
以上、「SASKIA」1号(2006年4月1日発行)から。
逢いにゆく青野の色のただならぬ
ゆうがおの白になるまで赦しあう
口中に白玉あんみつ雲遠し
うたたねしてまた泉からやり直す
池之端文化センター蓮の実怖い
母に似る父 父に似る母 星祭
以上、「SASKIA」2号(2006年10月18日発行)から。
うすうすと影を濃くして山の春
心臓の入り口開いている卯月野
あねいもと初夏の鹿啼かせ合う
水草のひんやり漂っているラジオ
青黴白黴正法眼蔵随聞記
対岸に薄暑かがやく天狗の眼
四万六千日しみじみ野良といる日なり
以上、「SASKIA」3号(2007年10月25日発行)から。
青二句
青桐に水の道ある薄暮かな
森を産む静けさである青蜥蜴
かきつばた翼なきこと美しく
ホルスタイン風たっぷり静かなる大暑
一夜にて古布となる蝉時雨
少年に少女苦しむトリカブト
冴え冴えと産声上がる女人が原
鳥海山ウヰスキーにほんのり寒夕焼
以上、「SASKIA」5号(2009年1月15日発行)から。
薄氷の嘆きの果ての縄梯子
くちづけは人のしるしよ豆の花
十薬や米磨ぐしぐさやや硬し
花あやめ長き廊下に乱れ帯
北へゆく薄羽蜉蝣と刺し違え
白百合の花粉まみれや肝っ玉
嘆きつつ蛇のなきがら拾いつつ
風呂敷に包みて冷やせ夏の月
祭笛トルコの国旗に月と星
一国の大事や朝顔の螺旋状
以上、「SASKIA」7号(2009年8月20日発行)から。
1号に収められた短文によると、三枝氏は投句し始めた「琴座」が一年もたたないうちに終刊になってしまい、永田耕衣には会わずじまいとなったとのこと。その後「らん」にも参加されている。
大寒だから身体から山姥 三枝桂子
凱歌かな骨見せ合つてゐる冬木
狂わされしは雪洞の灯と雪と
以上、「SASKIA」1号(2006年4月1日発行)から。
逢いにゆく青野の色のただならぬ
ゆうがおの白になるまで赦しあう
口中に白玉あんみつ雲遠し
うたたねしてまた泉からやり直す
池之端文化センター蓮の実怖い
母に似る父 父に似る母 星祭
以上、「SASKIA」2号(2006年10月18日発行)から。
うすうすと影を濃くして山の春
心臓の入り口開いている卯月野
あねいもと初夏の鹿啼かせ合う
水草のひんやり漂っているラジオ
青黴白黴正法眼蔵随聞記
対岸に薄暑かがやく天狗の眼
四万六千日しみじみ野良といる日なり
以上、「SASKIA」3号(2007年10月25日発行)から。
青二句
青桐に水の道ある薄暮かな
森を産む静けさである青蜥蜴
かきつばた翼なきこと美しく
ホルスタイン風たっぷり静かなる大暑
一夜にて古布となる蝉時雨
少年に少女苦しむトリカブト
冴え冴えと産声上がる女人が原
鳥海山ウヰスキーにほんのり寒夕焼
以上、「SASKIA」5号(2009年1月15日発行)から。
薄氷の嘆きの果ての縄梯子
くちづけは人のしるしよ豆の花
十薬や米磨ぐしぐさやや硬し
花あやめ長き廊下に乱れ帯
北へゆく薄羽蜉蝣と刺し違え
白百合の花粉まみれや肝っ玉
嘆きつつ蛇のなきがら拾いつつ
風呂敷に包みて冷やせ夏の月
祭笛トルコの国旗に月と星
一国の大事や朝顔の螺旋状
以上、「SASKIA」7号(2009年8月20日発行)から。
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