2009年
先々月刊行の第6句集。
著者は1939年(昭和14年)生まれで「遊牧」代表、「海程」同人。
1999年(平成11年)現代俳句協会賞。
一月の水辺薄着の母が居る
柳生街道 二句
柳生街道水仙はきれいな筋肉
野鍛冶の火真夜はたんぽぽと点るや
白神山地花烏賊かじりゐて眠し
太古より雨は降りいて昼螢
大海人(おおあま)は夏茱萸中大兄は枇杷
大海人皇子は天武天皇、中大兄皇子は天智天皇。
人物像がイメージできないという方は里中満智子の漫画『天上の虹』を読んでください。
湖北なりひとり寝はいつも斜め
あるだけの灯の点されて四月馬鹿
白玉のそのさびしさの昼を眠る
いちまいの白紙怖れる夏の家
山に霧窓に灯人の動くかな
倒されている自転車を寒という
かくじつに階段は果つ天の川
眠れぬからこの世に落す紙風船
白鳥来真夜中はスプーンに限る
あまりにも空蝉近すぎて踏めず
行方不明の鉈を探して銀河まで
雅と俗といずれも小粒八つ頭
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