『まぼろしの雨』は飯田晴(1954 - )の第3句集。
著者は「雲」主宰、「墨 BOKU」同人。
街若し芝居のあとに月の出て
野の神もわれも草餅なら二つ
三日月の白さを帰る枯野人
傷あとに糸の手ざはり去年今年
葉桜の東京が透きとほる傘
牛肉に脂の重さ初しぐれ
冷房の部屋かなしみに似てゐたり
山蕎麦というて茸のぬめりけり
水取の八方けものらの呼吸
まつくろな山は菌をふやしをり
ゆくさきに伊勢うどんあり秋の雲
夕ざくら鏡花の町にしだれけり
月浴びに行かう舟ある処まで
月のバスをりをり人をこぼしけり
地にひらくものに遺跡や鳥帰る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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