「麟」(代表:山下知津子、編集:駒木根淳子)第56号(2016年4月)から。
特集は「染谷佳之子・仕事を詠むⅡ」。
他に特別企画として「いまだフクシマ―『合同句集 いわきⅣ』を読む」駒木根淳子。
くちびるに麻酔残れり冬薔薇 山下知津子
ままごとの蓆跡なる薄氷 飯野きよ子
首太き鑑真坐像春氷 駒木根淳子
子のやうに春服の袖つかむ母 野口明子
芦刈りてあらはになりし屋敷跡 飯野きよ子(特別作品)
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2016年3月号から。
汁椀に蛤ひとつ奢りけり 嶋田麻紀
今生を刻々つらら雫かな 松浦敬親
目つむりて赤き視界の師走かな 鈴木了斎
つくし摘む理系の男ばかりなり 花森こま(客員同人)
「麻」(編集:松浦敬親、発行:嶋田麻紀)2016年2月号から。
紙にある横目縦目や光悦忌 嶋田麻紀
荒神へ一握の米赤蜻蛉 平野鍈哉
ぼろ市へ緑の路面電車降り 田中早月
「出航」(発行:石川久、代表:森岡正作、編集:菊川俊朗)2016年4月号から。
英彦山も眠りぼた山深眠り 森岡正作
奈落にも届く弁当文化の日 鈴木浩子
城壁の弾痕著き秋の声 神山節子
しんがりのなき観覧車秋うらら 中村君江
介護士は異性なりけり冬麗 松倉聖子
恋文のごと花種の封を切る 金子 敦
「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年5月号から。
春立つや牛乳瓶の紙の蓋 山口昭男
桃色の鳥の蹼大試験
ゆつくりと背骨ととのふ龍の玉 三輪小春
映画館二月の椅子の硬きかな 橘こごみ
料理屋の暖簾をなでし春の雪 田中暖人
どこかしこいかなご煮るやせはしなく 吉永美枝子
「鷹」(発行:小川軽舟)2016年5月号から。
鉛筆は木の軽さなり桜咲く 小川軽舟
山桜夕空に散り月に散り
歩行難に怒つて杖を折つた冬 星野石雀
ライラック子の夢にわれ現はるや 細谷ふみを
とほる人風を起こしぬしやぼん玉 髙柳克弘
花の昼写経の卓の一並び 永島靖子
新聞紙子猫もぐりて波打てり 岩永佐保
朧より生れし巨艦が東京へ 竹岡一郎
バレンタインデーダ・ビンチの鏡文字 喜多島啓子
単身赴任中の小川軽舟氏、ご家族の住まいの方が先月転居となったらしい。
「紫」(発行:山﨑十生)2016年5月号から。
憧れは火の鳥でした落椿 鈴木紀子
見覚えのある急坂や多喜二の忌 若林波留美
音のなきシンフォニーなる春銀河 渡辺まさる
媼來て踊れば山も踊るなり 関口晃代
歌誌「美志」(編集発行:さいかち真、嵯峨直樹)18号(2016年5月)から。
特集は《瀬戸夏子歌集『かわいい海とかわいくない海 end.』を読む》。
他に、さいかち真、江田浩司の評論あり。
とりどりの傘をさしたる人が見ゆ車窓より見し福島の街 江田浩司
菜の花の黄のひとかかえ闇に抱いて何の頼りになるというのか 嵯峨直樹
真夜中の街へと出れば見たことのない量感で異郷の雨は 柳原恵津子
象の背にカメラをつけよ中継は老人ホームの大画面テレビに さいかち真
「絵空」vol.15(2016年春)から。
山崎祐子、茅根知子、土肥あき子、中田尚子の4人の同人誌。
遠足は大人になつて帰りけり 茅根知子
腹に土付けてこの世に蟇出づる 土肥あき子
沢山の手紙出てくる朧かな 中田尚子
山笑ふ大仏の唇半開き 山崎祐子
「澪」(編集発行:松林尚志)2016年5月号から。
大根提げ類人猿のごとくなり 松林尚志
忘られし記念樹の桑萌えてをり 藤田 宏
生きすぎて白魚の目とたたかへり 阿部晶子
落椿己が走り根覆ひける 福田芳枝
時折はインコ苛立つ木の芽時 林美智子(特別作品)
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