「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年8月号から。
おどろきは蜥蜴の色の中にあり 山口昭男
草書には余白の多し五月雨 立川由美子
注射器の血のくらくらと若葉光 山崎 英
「川柳カード」(発行:樋口由紀子、編集:小池正博)第12号(2016年7月)から。
マイナンバー忘れあの世の戸が開かぬ 草地豊子
じゃがいもの顔をしていて怒られる 樋口由紀子
1960年代に鬆が出来て 石田柊馬
誰にでも身体をよじる絆創膏 湊 圭史
味噌風に仕立てられたらもうおしまい 兵頭全郎
「紫」(発行:山﨑十生)2016年8月号から。
風薫る指の動きで解りあふ 山﨑十生
逃水に帰巣本能らしきもの 鈴木紀子
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2016年8月号から。
春やゴリラ人拒むよう祈るよう 金子斐子
緋牡丹の怖い人だけ通れます 下村洋子
花だいこん母は母喚(よ)びさまよへり 伊藤道郎
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2016年6月号から。
新企画「この人を読みたい」スタート。
睡眠障害手花火しては母に逢う 翠 雲母
輪ゴムごと紫蘇を刻みし人と寝る 喪字男
ラブドール背負ひ花屑踏みにけり 登貴
饐飯に近く救急車が止まる 島田牙城
蛇の衣とはしなやかな一である 月野ぽぽな
予報ではときどき雨の日のプール 小林苑を
手のひらに路地数多あり梅雨晴間 長谷川晃
貌のない人形貰ふ夏の暮 倉田有希
割れタイル重ねてありし夏の菊 上田信治
自転車がとんぼうよりも光り過ぐ 青本瑞季
性的に枇杷の実のなる空家かな 佐藤文香
その家に炉の二つある昼寝かな 堀下 翔
美男子に溺るる漢アマリリス 丸岡正男
八月の ら の群泳がノートまで 男波弘志
「絵空」vol.16(2016年夏)から。
山崎祐子、茅根知子、土肥あき子、中田尚子の4人の同人誌。
病葉の人間じみてゐたりけり 土肥あき子
色悪の座り込みたる円座かな 中田尚子
栗の花地図なき道に踏み込めば 山崎祐子
うつすらと砂のひろがる夜店かな 茅根知子
「古志 青年部作品集 2016」古志青年部作品集第5号(2016年7月)から。
バンコクといふ大いなる蜃気楼 イーヴン美奈子
少年の血より生まれしヒヤシンス 伊藤 空
どつかりと蛇笏の秋の立ちにけり 関根千方
太陽の大きな土佐や遍路笠 西村麒麟
雪深き方へと続く雪の道 三玉一郎
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2016年8月号から。
栗林浩「昭和・平成を詠む(13)」は柿本多映インタビュー前編。
夏雲や牛の眼にある被爆以後 高野ムツオ
原子炉も弥勒菩薩も梅雨の闇
垣なき蔓薔薇モハメド・アリ死せり 津髙里永子
死ぬ時は幼き顔に夾竹桃 浪山克彦
帰還とは蛙千匹笑ふこと 坂本 豊
あふりかまひまひ生家は野面積み 中村 春
心臓はいかなる匂い片かげり 渡辺誠一郎
「都市」(発行編集:中西夕紀)2016年8月号から。
肌脱の来るなと言つてゐる背中 中西夕紀
五キロ先故障車ありとかぎろひぬ 桜木七海
「ねうねう」(編集責任者:家登みろく)vol.1(2016年8月)から。
よぢ登る仔猫全身爪にして 金崎雅野(萬緑)
猫が飲む水のさざなみ鳥雲に 金子 敦(出航)
恋猫を蹴散らしてゆく夜勤明け 仲 寒蝉(港・里・群青)
恋猫の化猫となり妻の顔 堀田季何(澤)
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