「あまい!!!」(編集発行・小早川忠義、2014年4月)から。 ネットプリント雑誌だが、一回限りの企画らしく、金子敦と山田耕司の各10句を掲載。立春やビタミン剤の萌黄色 金子 敦すぐ折れる色鉛筆や猫の恋服を着て逢ふほかはなし宵桜 山田耕司この桃をひでおと名付くひでお剥く卵黄は背泳ぎなりや春深空*****************************************************Art Of Noise - Dragnet 1987
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2014年4月号から。涎鼻水瓔珞として水子立つ 高野ムツオ寒夜無限地底の放射能無限人類も森へ帰れと遠雪崩生き残る覚悟はあるか風花よ 上野まさい大雪や繃帯のごと被災港 俘 夷蘭縄跳びの縄の音する前世かな 佐藤成之*****************************************************Shostakovich Symphony No 9 E flat major Georg Solti
「鏡」(発行編集:寺澤一雄)第12号(2014年4月)から。鉄パイプ組む音春の吹雪かな 中村 裕焼く人も生体系にゐる野かな 遠藤 治ラヴと言ふ口を見てたのでした(桑) 佐藤文香が しかし まるで 硝子の春景色するめ奪ひ合ふとききらきらと鈴の音先生のゐない青空桜東風 森宮保子三月のデモで久闊叙す人ら 大上朝美対幻想につぎつぎと立つ白障子 羽田野令溺るるをただ見てをりぬ蝶の昼 笹木くろえふらここをハーフの少女漕ぎにけり 東 直子憧れの原始共産月冴ゆる 村井康司水筒にウィスキー入れ年惜しむ 寺澤一雄*****************************************************怪奇大作戦 第06話 「吸血地獄」
「麟」(代表:山下知津子、編集:駒木根淳子)第48号(2014年4月)から。 特集は染谷佳之子句集『橋懸り』で、村上瑪論による句集評他。 前号から始まった高村幸治による連載「一期一会 本作りの中の出会い」は、日本から亡命したジャーナリストを描いた岡村春彦『自由人佐野碩の生涯』(2009年)を紹介。 山下知津子による連載「現代俳句鑑賞 潮流'14」は、黒田杏子『銀河山河』、高野ムツオ『萬の翅』、野木藤子『青山河』、中村正幸『絶海』から。 駒木根淳子連載「女性俳句研究」は橋本多佳子研究の第1回。浅草に海鼠を食うて別れけり 山下知津子裸電球ひとつ切れゐる飾売り 染谷佳之子明日壊さるる牛小屋の軒つらら 飯野きよ子人日のいたるところに警察官 駒木根淳子三四郎池岩の割れ目のすみれ草 野口明子*****************************************************怪奇大作戦 第05話 「死神の子守唄」
「らん」(発行・鳴戸奈菜、編集・五十嵐進、西谷裕子、皆川燈)No.65(2014年春)から。 特集は「詩の原郷へ 永田耕衣/西東三鬼」。聖樹の箱解くやつぎつぎ星溢れ 片山タケ子冬薔薇の一茎昼をつらぬけり生身魂ペースメーカー入れ換えて 下田静子草陰に碧いビー玉晩夏光電子原子空気にんげん底冷えす 服部瑠璃五秒前四三二一バリンと他界 皆川 燈燃やす句のあまりに多き炎編む 森川麗子台所に木が生えてきた聖家族 五十嵐進狂宴の天井わたる蟲の腹 伊東聖子寒紅をさしちらかして髑髏かな 金子 彩百物語かがみに皺の寄る部分 嵯峨根鈴子身の内の鬼は外鬼は外 鳴戸奈菜*****************************************************Peter Gabriel - I Don't Remember
「鴫」(発行人代表:井上信子)2014年4月号から。 この号は「看経抄」(先々月の掲載句からの10句選と句評)を担当した。お隣のご不在ながし桃の花 井上信子飯代の大きすぎたる菜飯かなマスクして小さき業界より知らず 高橋道子ほのぼのと私小説めく初便り 中村恭子化かされに王子の狐見にゆかな 荒井和昭大寒の灯を透かし見るロゼワイン 田村園子凍星や光どこまで透明に 高田令子パソコンにリオデジャネイロより御慶 山口ひろよ*****************************************************1000 knives - ymo (07/07/12)
「駒草」(発行編集:西山睦)2014年4月号から。 これも拙句の鑑賞が載り送ってくれた初見の雑誌。A5判72ページ。 エッセイ、西山睦「高野ムツオ氏の読売文学賞贈賞式に行ってきました」掲載。室の花焚きひとひらの灰あらず 西山 睦春の雪また足跡を消しに来る割る音を身内に残す寒卵 蓬田紀枝子落葉焚き大き袋を引き摺つて 市島月美去年より少なき年賀束ねけり 影澤陽子鉄塔の下何もなし初詣 阿部敏子投げ入れしものに鈴音どんど焼 太宰和子*****************************************************J. S. Bach Variaciones Goldberg (BWV 988) Glenn Gould (1981)
「香天」(編集発行:岡田耕治)2014年3,4月号から。 主宰による拙句の鑑賞が掲載されたので初めて送っていただいた。A5判56ページ。 特集は「五周年記念合同句会」。 岡田耕治連載「鈴木六林男の技術」が第23回。風花や横へゆくとき速くなる 岡田耕治春の雲久しく草に寝ておらずフラスコが割れそれからの春休白線が地上に引かれ冬鴎 森本恵子のぞき見る海鼠の口というものを 谷川すみれどの猫も太り漁港の秋まつり 澤本祐子セーターの洗い立てなる縮みかな 中村静子シュレッダーの中に棲みつく虎落笛 釜田きよ子よぎりたる影の大きく白椿 藤川美佐子宙に浮くふぐの張りぼて去年今年 石井 冴*****************************************************怪奇大作戦 第04話 「恐怖の電話」
「鷹」(発行:小川軽舟)2014年4月号から。 第九回五人会賞というものの発表号。五人一組のチームを組んでもらい、応募の十句を競わせる賞らしい。立呑みの肘ぶつかつて二月かな 小川軽舟白酒の引つ込んで注ぎ終りけり初夢に茫と飯島晴子さん 星野石雀肉塊に肋突き出て寒に入る 奥坂まや泥鰌皆泥にねむれるみぞれかな 南十二国女正月日だまりせまき畳なり 中岡草人何用と言はず上がり来頬被 髙柳克弘弁当は隅から喰へり冬の山 有澤榠樝晴天の焚火神父と青年と 永島靖子外套に守られぬ頸ほそすぎる 竹岡一郎雪降るや光の中のパチンコ屋 蓜島啓介 黒澤あき緒の俳句時評が拙著『六十億本の回転する曲がつた棒』を近作ともども取り上げてくれているのだが、一点間違いがあり、《カップめんの縁に乾びし葱一片》は震災詠ではない。震災詠は最後の章に百句まとめて入れてあるが、これはそれより前の章の句である。 後記。兼城雄が編集部入り。*****************************************************Lalo Schifrin & BBC Bigband - Jazzwoche Burghausen 2006
「円座」(発行:武藤紀子、編集:中田剛・小川もも子)2014年4月号から。 円座三周年記念「魚目句集」特集号。 「魚目句集」からの一句鑑賞を、大串章、小澤實、恩田侑布子、角谷昌子、岸本尚毅、鈴木豊一、関悦史、高山れおな、辻桃子、中岡毅雄、馬場駿吉が執筆。 ほかに森川昭、武藤紀子のエッセイ、高橋睦郎による魚目百句選。冬木より翔ちて干潟の鳥となる 武藤紀子冬干潟暮れてほのかに白きもの自らをこなごなにして枯葉かな 中田 剛キリストと紛ふチェリスト冬ぬくし 牛嶋尚子剪定や空ひろげゆく鋏音 浅野春生 主宰・武藤紀子へのインタビューが連載二回目。インタビュアー・橋本小たか。 《男はなぜかしら無駄なぼーっとしている時間が要るんだと思う。だから吟行の場合、男女差があると思うわ。》*****************************************************Miles Davis - Around The Midnight (1967)
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