「堊」(発行:高石直幸)2014年8月号から。三千頭の白象のこと昼寝覚め 高石直幸太陽は切りし匂ひの蕃茄かな 城 松喜蛍袋に老人の声がする 大隈チサ子麦秋の空港に杖突いてたつ 山角和代*****************************************************Depeche Mode - Everything Counts (Remastered Video)
「陸」(発行:中村和弘)2014年9月号から。台風の奥に塩壺冷えており 中村和弘アセチレン灯で海鞘売る東大門 太秦女良夫芒種なりバターのように木を削る 小木曽あや子幻覚幻聴頭は夏のおもちや箱 武信正子冷麦の箸先にある佐渡島 大類準一ソプラノの空や少女の麻酔薬 佐々木貴子*****************************************************Handel - "Messiah"/ The Choir of King's College, Cambridge.
「紫」(発行:山﨑十生)2014年7月号から。 巻頭に「龍門集」という主宰を含む7人ほどの同人作品欄があるのだが、この欄の句については「紫」誌上に鑑賞を連載することになったので省略し、それ以降の句のみ引く。春寒し十五歳とは犬の事 相馬なぎさ分身に任せる悲哀四月馬鹿 福井ちゑ子未来にも過去にも行ける糸柳 依田壽子夏木立亜細亜の空を支へけり 稲垣恵子ぞんざいに刃を入れられし夏蜜柑 山根麻耶*****************************************************Haydn: Symphony No.104 Jansons/BRSO(2009Live)
ふらんす堂のPR誌「ふらんす堂通信」141(2014年7月)で、なんと吉増剛造の新連載「蕪村心読」がスタートした。4ページほどの、例のルビ、カッコ多用の自由詩である(打ち込みでの引用は困難)。 愛読していた詩人と、思いもかけない同じ誌面での連載になってしまって、それはいいのだが、「BLな俳句」などではなく、もう少しふざけていないテーマの方がよかったかとチラッと思わないでもない。 今号は第5回田中裕明賞を受賞した榮猿丸と西村麒麟の新作10句とエッセイ、そして私家版のため入手困難だった西村麒麟の受賞句集『鶉』が全句掲載されているので、これだけでも買う価値あり。 もう一つの目玉記事は、揃って第1句集を上梓した長嶋有・榮猿丸・野口る理のトークイベント「春のお辞儀がしやりりと点滅」の完全収録。互いの句集から選句(逆選あり)をしあっている。 これ私は不調で行けなかったのだが、いい意味であまり俳句のイベントっぽくなく、ラジオでも聞き流しているような雰囲気。 「ふらんす堂通信」は「ふらんす堂友の会」入会者でなければ見られない雑誌だったのだが、最近、都内の書店、以下の12店舗で取扱いを始めた。手に取って中味を確認する機会ができたわけである。本体価格556円。◆ジュンク堂書店 池袋本店◆紀伊國屋書店 新宿本店◆紀伊國屋書店 新宿南店◆東京堂書店◆八重洲ブックセンター 本店◆オリオン書房 ルミネ立川店◆オリオン書房 ノルテ店◆紀伊國屋書店 札幌本店◆丸善&ジュンク堂書店 梅田店◆ジュンク堂書店 京都朝日会館店◆ジュンク堂書店 新潟店◆ジュンク堂書店 那覇店台風情報ジムノペディを夜どほし掛け 榮 猿丸(「呟く男――新作10句」から)扇風機余白の多き句集歌集 西村麒麟(「扇風機――新作10句」から)*****************************************************Prefab Sprout - All The World Loves Lovers
「のいず」第1号(2014年上)というのを澤田和弥氏からPDFファイルでもらった。高井楚良・澤田和弥発行の超結社同人誌で年2回発行。この創刊号のみ見本誌で無料、第2号以降は年間購読料500円。 1人20句を発表していて、各篇に同人による鑑賞が既についている。他にエッセイ数篇。 以下全作から1人1句ずつ抄出。泥団子無間の闇に溶融す 園田源二郎(招待作家)春眠の津波は音を立てて来し 高井楚良落雁は古銭の形さくら散る 金子 敦猫の仔の風に吹かれてゐるやうな 林 浩世二人立てば春のキッチンいつぱいに 兵藤惠さまざまにうごくお尻や山登り 大西孝德深海に深海魚ゐて星涼し 杉 美春中国の娘は細身韮の花 早川恵美子初期化せよあぢさゐの一切を捨てよ 牧田治子きみの肛門はそろそろ夏ですね 澤田和弥*****************************************************Tears For Fears - Head Over Heels
歌誌「Es崖線」(編集発行:加藤英彦)第27号(2014年5月)から。 なお、この雑誌名「Es」の後の部分が毎号異なる。 特集は「プロパガンダ」。 大津仁昭訳のルネ・シャール詩抄あり。 山田消児「佐村河内になりたくて―物語の中の作品と作者―」は角川「短歌」2014年4月号の「緊急特別企画 佐村河内氏問題を受けて」にまつわるエッセイ。 俳句関連では、江田浩司による高原耕治『絶巓のアポリア』書評を掲載。冷蔵庫はかすかに音をたてながらさながら真夜を臓器のごとし 加藤英彦空き瓶を電信柱にぶつければ遠き裸体の初夏のひびきす 大津仁昭陶器市やがて壊れるものたちは日暮れほのかに朱(あか)をたたえて 松野志保原因はどうあれナントカ腺癌は若いもんほど死ぬ おら知らね 山田消児(特集「プロパガンダ」) 特集「プロパガンダ」の作品は、山田消児以外は概ね、先の大戦の頃のドイツ、ソ連、日本その他に材を取っていた。*****************************************************RENE CHAR Champ Libre part 1
「里」(発行:島田牙城、編集:仲寒蝉)2014年8月号から。 「2014美濃大吟遊入選全句」というのが載っているが、それとは別に、去る7月6日に根岸の西念寺で「TOKYO俳s」なる大規模な句会があり、私も小林苑をさんの招きで何だかよくわからないまま朝顔市でごったがえす根岸に行って参加してきて、その時の入選句一覧まで掲載されている。私は時間ぎりぎりで朝顔市はほとんど見られなかった。 上田信治さんが来るはずだったのだが当日発熱で欠席、代わって浴衣姿の北大路翼が司会をやっていた。 私は句会には年に一回出るか出ないかなので、今年は多分これで終わり。 島田牙城さんにも久々に会って、そのときはお元気に見えたのだが、今号の「吾亦庵記録」を見ると、難聴による対人トラブルをきっかけとした心身の失調のため、二か月半ほど仕事にならなかったらしい。邑書林存続のため、句集・評論集等の出版を考えている方はぜひ邑書林をよろしく。人形に乳首がふたつ半夏生 狼耳泉まで行くに女体となるイエス 男波弘志梅雨ふたり同じ長さの煙草吸ふ 上田信治アセチレンの灯や空蝉の爪の土 田中雅己目高飼う人は優しき人なりけり 小桃何ものかすでに寝てゐる蚊帳の中 仲 寒蟬夏の雲カレーライスに醤油かな 瀬戸正洋清水呑む御託ならべてゐる國の 島田牙城ギターソロ夏の銀河がたちあがる 佐藤文香*****************************************************firecracker - ymo (07/07/12)
「澤」(発行:小澤實、編集:望月とし江)2014年8月号から。鮭燻製尾部をくれたり尾鰭断ち 小澤 實衿口から抜くブラジャーや花疲れ 村上佳乃金魚の糞くびれのありて繋がれる 岡本春水行春の朽ち傾ける海上遊戯場(パビリオン) 川上弘美女子マラソン日焼け止め塗る腿から脛 嶋田恵一ねころびたき屋根減りにけり柿若葉 榮 猿丸*****************************************************Yello - Goldrush
「小熊座」(発行:高野ムツオ)2014年8月号から。奥羽山系その一襞に緑雨受く 高野ムツオ日刈忌のはるかなり野に杭打たれ 越髙飛騨男 ※八田木枯忌「アイロンをかけられたペニス」梅雨に入る 水月りの六月の空の暗さの変電所 佐藤成之*****************************************************1983 East-Berlin GDR Art Farmer - Fairy Tale Country Side / Context / Round About Midnight
「陸」(発行:中村和弘)2014年8月号から。出水跡清水寂(しず)かに湧きてをり 中村和弘大噴水次々珠産み少子国 杉山鮎水麦の秋馬の埴輪に尻の穴 小木曽あや子アメリカンチェリーの血の色が好き 青木夢子
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