「鷹」(発行:小川軽舟)2016年8月号から。
舶来の時計重たき卯波かな 小川軽舟
夫待つ妻の宵寝や夏蒲団
田を植ゑて夕空広くなりにけり 奥坂まや
家系図の先細りなる冷酒かな 加藤静夫
雷を獲るものが独歩を轟かす 竹岡一郎
卓の上伏せし団扇の少し浮く 髙柳克弘
「らん」(発行:鳴戸奈菜、編集:五十嵐進、水天、皆川燈)No.74(2016年夏)から。
特集は「嵯峨根鈴子第三句集『ラストシーン』を読む」。
風光る彼の世の妣のオルガンも 水天
山百合の香にまみれ円卓の騎士 片山タケ子
オリーブ油にパン浸し肺うすみどり 服部瑠璃
乱鶯と音あわせする父と母 藤田守啓
たったひとつの花文字探す旅なのか 皆川 燈
牙欠けた般若はずかし春の月 M・M
川に泳げば汝は天啓を受けし蛇 岡田一実
牡丹の首落ちて地の豊満よ 金子 彩
桜冷え同性のやうな夫とゐる 嵯峨根鈴子
「円座」(発行:武藤紀子、編集:小川もも子)2016年8月号から。
関悦史「平成の名句集を読む」第12回は、高山れおな句集『荒東雑詩』について。
円座五周年シンポジウムの補足企画、パネリスト各人が当日話しきれなかったことなどを書く「遅れてきた大団円」の連続掲載が開始。其の一は松本邦吉。
巨船ゆくごとく藤波動きけり 武藤紀子
くらげてふ自在な君よ夏来る 小川もも子
白靴のつぎつぎふえて展望台 中村幸子
百千鳥いつか睡りてこともなし 小森邦衞
「秋草」(発行編集:山口昭男)2016年8月号から。
おどろきは蜥蜴の色の中にあり 山口昭男
草書には余白の多し五月雨 立川由美子
注射器の血のくらくらと若葉光 山崎 英
「川柳カード」(発行:樋口由紀子、編集:小池正博)第12号(2016年7月)から。
マイナンバー忘れあの世の戸が開かぬ 草地豊子
じゃがいもの顔をしていて怒られる 樋口由紀子
1960年代に鬆が出来て 石田柊馬
誰にでも身体をよじる絆創膏 湊 圭史
味噌風に仕立てられたらもうおしまい 兵頭全郎
「紫」(発行:山﨑十生)2016年8月号から。
風薫る指の動きで解りあふ 山﨑十生
逃水に帰巣本能らしきもの 鈴木紀子
「遊牧」(代表:塩野谷仁)2016年8月号から。
春やゴリラ人拒むよう祈るよう 金子斐子
緋牡丹の怖い人だけ通れます 下村洋子
花だいこん母は母喚(よ)びさまよへり 伊藤道郎
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2016年6月号から。
新企画「この人を読みたい」スタート。
睡眠障害手花火しては母に逢う 翠 雲母
輪ゴムごと紫蘇を刻みし人と寝る 喪字男
ラブドール背負ひ花屑踏みにけり 登貴
饐飯に近く救急車が止まる 島田牙城
蛇の衣とはしなやかな一である 月野ぽぽな
予報ではときどき雨の日のプール 小林苑を
手のひらに路地数多あり梅雨晴間 長谷川晃
貌のない人形貰ふ夏の暮 倉田有希
割れタイル重ねてありし夏の菊 上田信治
自転車がとんぼうよりも光り過ぐ 青本瑞季
性的に枇杷の実のなる空家かな 佐藤文香
その家に炉の二つある昼寝かな 堀下 翔
美男子に溺るる漢アマリリス 丸岡正男
八月の ら の群泳がノートまで 男波弘志
「絵空」vol.16(2016年夏)から。
山崎祐子、茅根知子、土肥あき子、中田尚子の4人の同人誌。
病葉の人間じみてゐたりけり 土肥あき子
色悪の座り込みたる円座かな 中田尚子
栗の花地図なき道に踏み込めば 山崎祐子
うつすらと砂のひろがる夜店かな 茅根知子
「古志 青年部作品集 2016」古志青年部作品集第5号(2016年7月)から。
バンコクといふ大いなる蜃気楼 イーヴン美奈子
少年の血より生まれしヒヤシンス 伊藤 空
どつかりと蛇笏の秋の立ちにけり 関根千方
太陽の大きな土佐や遍路笠 西村麒麟
雪深き方へと続く雪の道 三玉一郎
最近のコメント