「草樹」(発行:渡辺和弘)第69号(2017年5月号)から。
グエン・ヴー・クイン・ニュー「ベトナム語の俳句―季語が必要なのか―」他を掲載。
春の鳶われら一行輪の真下 宇多喜代子
竹の節光りてつたふ春の雨 佐々木えみ子
マフラーに溺れるように人を待つ 井上睦雄
「韻」(発行:後藤昌治、編集:永井江美子・小笠原靖和・前野砥水)第24号(2017年4月)から。
シャッターを鎧のやうに冬の夜 金子ユリ(特別作品)
骨壺は蛇の匂いのする部屋に 谷口智子
啓蟄やまた仮の世に出てしまふ 寺島たかえ
法科大学院全灯ともす無月かな 山本左門
いつまでのこと枯蓮の直立は 米山久美子
古タイヤ穴に土筆の犇きぬ 渡邊淳子
「里」(編集:中山奈々、副編集:小鳥遊栄樹、同人会長:仲寒蝉、発行:島田牙城)2017年5月号から。
春愁や貝塚になき蛸の骨 谷口智行
恥づかしく生まれて人や土筆摘む 野名紅里
接着剤遠くに匂ふ花見かな 青本瑞季
藪椿餡子の如くころげ落つ 堀下 翔
「藍生」(編集発行:黒田杏子)2017年4月号から。
第一句集のときに黒田さんにオビの選句をお願いしたので第二句集をお送りしたら、そのお返しの句が来た。
坐り癖つきたる椅子に冬深む 金子恵美
寒紅梅やがて白加賀月夜なる 黒田杏子
第二句集を頂く啓蟄の雨なつかしき関悦史
寒鯉やうす紫に一と屯 岩田由美
よく噛んで母の甘さよ寒の餅 鈴木牛後
俺のカレー一家で喰らふ聖夜かな 竹内克也
カレー屋の句座うす暗き冬座敷 牛嶋 毅
「円座」(発行:武藤紀子、編集:小川もも子)2017年4月号から。
関悦史「平成の名句集を読む」第16回は、小津夜景句集『フラワーズ・カンフー』について。
明日、4月22日(土)に現代俳句協会青年部の勉強会【読書リレー「ただならぬ虎と然るべくカンフー】という4冊合同の読書会があり、私はそこで小津夜景『フラワーズ・カンフー』の発表を担当します(家が一番遠いのになぜか一限担当)。
裸木を通り抜けたる日差しかな 武藤紀子
牛乳をあたためて冬愉快なり 中田 剛
松の根の崖にあらはや寒の入 山中多美子
待春のどの窓からも水平線 麻香田みあ
水餅や家ゆつくりと古びゆく 辻まさ野
「奎」(代表:小池康生)創刊号(2017年3月)から。
巻頭インタビューに《俳人 稲畑汀子》。
裏向きに問題配る冬青空 小池康生
外套のマネキン細き手首して 野名紅里
紀伊国屋句集売り場に春コート 大池莉奈
少年はピンクが好きで初氷 小倉喜郎
家出セヨと呼びかけてくる冬北斗 栗田 歩
「奎」(代表:小池康生)0号(2016年12月)から。
「創刊の言葉」によると関西の若手の受け皿がないとの声から立ち上げられた雑誌らしい。
初雪を眼鏡フレーム噛みながら 小池康生
借景てふ大菊のある小菊かな 仮屋賢一
室咲や母が勝手に買ふ下着 野住朋可
ひとのかたちを知るために編む毛糸 野名紅里
「鷹」(発行:小川軽舟)2017年4月号から。
インタビュー《俳人を作ったもの 第10回》は片山由美子(聞き手・髙柳克弘)。
向き合へる湯宿の座椅子春浅し 小川軽舟
傘の骨ほきほき畳む春の虹
裏山のある家羨し雛用意 布施伊夜子
悪女来てあやとりにつきあへといふ 竹岡一郎
スーパームーン寒林隅々まで応ふ 志賀佳世子
一塊の寒さのごとく猫戻る 黒澤あき緒
「らん」(発行:鳴戸奈菜、編集:五十嵐進、皆川燈、結城万)No.77(2017年4月)から。
特集は《岡田一実第一句集『小鳥』・第二句集『境界-border-』を読む》。
つぎつぎになりゆくいきほひ火の蠍 五十嵐進
未来は過去からやってくるという臓腑
一望にセブンイレブンという枯野 山口ち加
飛びおりるのにいいお部屋冬うらら M・M
春の地球や球形に空気満ち 岡田一実
指切の指ではないか春の小川 金子 彩
「都市」(発行編集:中西夕紀)2017年4月号から。
人のゐて火を作りをり春磧 中西夕紀
金箔の冴えもキトラの天文図 桜木七海
冬紅葉東京タワー縮みけり 砂金 明
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