放置してあった11月分。毎年の冬季鬱で寝てばかりとなり、起きていても眠くて仕方がないので本を読める時間がかなり減った。
ネットでアニメの二次創作SSばかり読んでいる。
ハヤカワ文庫のアガサ・クリスティーは絶版になっている真鍋博装幀のものを見つけると買っているが、最近見つかるペースの方が早くて溜まる一方となっている。
古井由吉『この道』講談社・2019年
《祖先、肉親、自らの死の翳を見つめながら、綴られる日々の思索と想念。死を生の内に、いにしえを現在に呼び戻す、幻視と想像力の結晶。80歳を過ぎてますます勁健な筆を奮い、文学の可能性を極限まで拡げつづける古井文学の極点。》
収録作品=たなごころ/梅雨のおとずれ/その日のうちに/野の末/この道/花の咲く頃には/雨の果てから/行方知れず
高階秀爾『エラスムス 闘う人文主義者』筑摩選書・2024年
《稀代の風刺文学『痴愚神礼讃』を世に送り、宗教改革の狂乱の時代に理性の普遍性と自由な精神を信じ続けた人文主義者エラスムスを描き出す渾身の傑作評伝。》
山本芳久『世界は善に満ちている―トマス・アクィナス哲学講義』新潮選書・2021年
《怒り・悲しみ・憎しみ・恐れ……どんなネガティブな感情も、丁寧に解きほぐすと、その根源に「愛」が見いだせる。不安で包まれているように思える世界も、理性の光を通して見ると、「善」が満ちあふれている。中世哲学の最高峰『神学大全』を、教師と学生の対話形式でわかりやすく読み解き、自他を肯定して生きる道を示す。》
丸谷才一『世紀末そして忠臣蔵―丸谷才一対談集』立風書房・1987年
《役者は揃った!
異色のテーマ・絶妙のテンポ
丁丁発止の名対談
……世はまさに世紀末!!》
山本七平『ある異常体験者の偏見』文春文庫・1988年
《「強大な武器を持っていた日本がなぜ中国に敗れたのか。それは偶然に負けたのではなく、負けるべくして負けたのである……」この発言にショックを覚えた著者が展開する一大論争。みずからの異常体験をもとに論理術のかぎりを尽して、日本人を条理に合う人間と合わない人間に峻別すべきことを緻密に証明してみせてくれる。》
黒井千次『枝の家』文藝春秋・2021年
《熟練の技で描く、日常に潜む怪異小説集
老夫婦が暮らす郊外の平凡な家にふと現れる、怪しきものの影――「老い」や「記憶」をテーマにしながら、リアリズム小説でもあり幻想譚でもあるような文学の深みを覗かせる。練達の技で磨き上げられた八編の小宇宙。》
収録作品=紙の家/枝の家/次の家/同行者/報告/二人暮し/空の風/多年草
山折哲雄『涙と日本人』日経BPマーケティング・2004年
《古来育んできた生老病死にかかわる無常感覚を忘れ、カミ隠し、ホトケ隠しの行きつく先は―。巷にあふれる泣かずに流す涙の意味を探ることで、日本人の不安の根源を辿る。》
辻邦生『美しい夏の行方―イタリア、シチリアの旅』中公文庫・1999年
《真夏の光と陶酔があふれる広場、通り、建物、カフェ……。ローマからアッシジ、サン・ジミニャーノ、シエナ、フィレンツェ、そしてシチリアへと、美と祝祭の国の町々を巡る、甘美なる旅の記憶。カラー写真27点収録。》
アガサ・クリスティー『検察側の証人』ハヤカワ文庫・1976年
《人好きのする愛想のいい青年レナード・ボウルは殺人罪で起訴された。仕事を手伝っていた金持ちの婦人を撲殺したというものだった。犯行のあったと思われる時刻に、家政婦がレナードの話し声を耳にしているらしいし、レナードは妻がいることを隠し、金目当てで婦人に近づいたふしもある。案の定、裁判は弁護側にとってあくまで不利だった。しかも、レナードのアリバイを証明できる唯一の証人である彼の妻はなんと夫の犯行を裏づける証言をしたのだ! 英米でロングランを記録するあまりに高名な裁判劇。衝撃的な結末は思わず読者をうならせる。》
斎藤環『ヤンキー化する日本』角川oneテーマ21・2014年
《いつから日本はヤンキー大国になったのか?
気合いとノリ、母性に絆、バッドセンス。日本人は急激にヤンキー化している!現代日本に巣くうヤンキー性を村上隆、溝口敦、與那覇潤、デーブ・スペクター、海猫沢めろん、隈研吾と徹底対論! 》
古井由吉『夜の香り』新潮社・1978年
《都会のはざまに生起消滅する濃やかで奔放な人間ドラマ!
過去と現在が触れ合い、土地と人間が共振する地縁のあやかし……。孤独な男女の結ぼれを巧緻な筆に描いて、現代生活の暗部を照射する異色の純文学作品集。》
収録作品=街道の際/畑の声/駆ける女/夜の香り
斎藤幸平編『未来への大分岐―資本主義の終わりか、人間の終焉か?』集英社新書・2019年
《利潤率低下=資本主義の終わりという危機は、資本の抵抗によって人々の貧困化と民主主義の機能不全を引き起こしたが、そこに制御の困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。
我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代。マルクス・ガブリエルら世界最高峰の知性たちが、日本の若き俊才とともに新たな展望を描き出す!》
森内俊雄『午後の坂道』講談社・1995年
《家族で平和に鍋を囲んでいる夜、幼い男の子が泣いて父親らしい声の男に何か訴えて通り過ぎる。泣きじゃくる声が心に沁みる…。「影の声」ほか、つつがない食卓の光景の彼方を、生きる切なさの遠近法で描いた短編8編を収録。》(「MARC」データベースより)
収録作品=影の声/食べる/煙草を吸う女/真珠婚式/極楽/冷たい夏/翼の垂氷/八四一三号室/遠景の家族
南里征典『東京魔界』サンケイ出版・1986年
《必殺見切人・立野龍介は、東京のどこかに眠っている元満州国皇帝の数兆円に及ぶ莫大な残置資産の法定受取人というパリジェンヌ・ジャクリーヌの護衛を依頼された。しかし、たちまち立野は襲われて、残忍な拷問をうけた。また一方、孔雀と呼ばれる謎の美女からの猛烈な官能攻勢にもさらされる。―――戦後四十年間、密かに眠り続ける“皇帝の遺産”をめぐって展開される一大バイオレンス!》
ショウペンハウエル『読書について』岩波文庫・1960年
《「読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費す勤勉な人間は次第に自分でものを考える力を失ってゆく。」――一流の文章家であり箴言警句の大家であったショウペンハウエル(1788‐1860)が放つ読書をめぐる鋭利な寸言、痛烈なアフォリズムの数々は、出版物の洪水にあえぐ現代の我われにとって驚くほど新鮮である。》
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