『ちはやぶるう』は嵯峨根鈴子(1949 - )の第4句集。
著者は「豆の木」会員。
打ち水はさびしききはみたどりけり
しらたまのやうな弟くぼみあり
デモの靴しづかに揃ふ霞網
テンタカシ老若男女トリアージ
倒れたる独楽いつまでも蜜を垂れ
きょお!青鮫暗黒炎天の墓碑関東平野みな置き去り
原爆忌見渡すかぎりマネキン
煮凝の舌がまさぐる秘仏かな
大寒のかあんと消火器が倒れ
あさがほに世界は少しづつ縮む
ひとり立てば其処暗くなる牡丹鍋
殺られたる母跨ぎゆく水鉄砲
掘炬燵安井浩司でひきかへす
眠る斧いつも具象とは限らない
今生のノンとひとこゑなめくぢり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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