『小さきもの』は三石知左子(1955 - )の第1句集。序文:西村和子。
著者は「知音」同人。東京かつしか赤十字母子医療センター院長。
仄暗き分娩室の淑気かな
聖職の白衣を脱ぎて春闘へ
初刷の存外読みでなかりけり
風光りオリーブオイル量り売り
熊本地震救護支援 五句 より
阿蘇緑雨赤き救護の合羽着て
学会のホテル水着のゆきかへる
会議振り返りホームの風涼し
集落は滅びゆくとも天の川
病院は不夜城となり台風圏
出張も旅と思はむ初時雨
煮凝掬へず人間も救へない
三歳児親父のやうな咳をして
結晶を見せてゆつくり雪の降る
蓑虫や釘一本も打てぬ夫
みどりごの頬のごとくに春の月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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